表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/97

予感

「ははっはははっ!双子みたい…はははっ!」


狂ったように笑い転げているサーラでございます。


どうやってショタっ子に説明しようと悩んでたら、文字どおりショタっ子が部屋に飛び込んできたんだよね。ノックもせずに。

かなり焦ってたんだと思う。

私より日記を心配してのような気もしないでもないけど…。


それはともかく、「始祖様!無事か!?」なんて飛び込んできたのはいいけど、そこには知らない子供と老人が居たわけで…ポカーンとしちゃったんだよ。

勿論、凄い勢いで部屋に入ってきたショタっ子に対して、クゥもバルさんも唖然。

私以外の三人が『この人誰?』って状態なのと、バルさん除く二人が並んだ姿が双子みたいで、私は大爆笑中なわけだ。


(髪の色は違うけど顔つきとか目の色とかそっくり…ウケる!)


「…サーラ嬢ちゃん、そろそろ落ち着いてくれんかの?」


「お母さん、面白いの?」


「お母さん!?始祖様?この子供と老人は…?まさか始祖様の子と…伴侶…?」


バルさんも困ってるようだし、このままじゃ私とバルさんが夫婦ということにされそうなので、笑いを噛み殺して口を開いた。


「ククッ、はぁ、面白かった。ショタ…じゃなくて教皇様、この二人は人間ではありませんよ」


「始祖様?人間でないとは一体?」


「儂はバルディアンガルド、こっちの坊はクゥという。今の教皇とははじめましてじゃな」


「まさか!?竜王バルディアンガルド!?」


あれー?ショタっ子がかなり驚いてるけど何で?バルさんも『今の教皇とは』って言ってるし。どゆこと?




なんと、300年前に魔物大発生した国はリングル国だったらしい。

だから『竜王バルディアンガルド』って名前は英雄…英竜?としてこの国に根強く残っているんだそうな。

その時に教皇だった人、マラールっていうらしいけど、その人とはそれが切っ掛けで付き合いがあったんだってさ。

「そうか、マラールは死んでしまったか…」ってバルさんがシュンとしてるけど、普通の人間は300年も生きないからね!と突っ込みたい。

それより…完全に警戒をといて昔話をせがむショタっ子とバルさんの話が長くなりそうなので、私はクゥを撫でながら日記の解読を再開してもいいですかね?




二人を放置して日記を読み始めた私はクゥがいつの間にか眠ってしまっていたのに気付いて慌ててベッドへ運び、再び日記に視線を落とす。


結構な厚さがある日記だが、寝る間も惜しんで読み進めたお陰でページは残りわずかとなっていた。


後20ページ、後10ページとカウントダウンが近付くにつれて、ふざけた文章はなりをひそめ、はじめは数行で書かれていたものが、今では1ページが細かな文字でビッシリと埋まっている。


(この人は何を伝えたかったんだろう?)


明らかに後世にヒントを残そうとするような文章に変わっていっているのに気付いた私は嫌な汗が背筋を伝うのを感じた。


『神の怒り』『試練』『強固な絆』


意味はわからないけど、何かが起こることを予感しているであろう日記の書き手。

そして最後のページにはこう書かれていた。


『私がこの日記を書くのは今日で最後となるでしょう。もうすぐやつらが来る。私や仲間たちの力を全て使っても生き残れるか…。それでもこの世界を壊させる訳にはいかない。たとえ…命を引き換えにしてでも守らなければいけない。そのための私。吸血鬼始祖としての役目を果たさなければ…。もしこの日記を読める人が居たなら…強固な絆を世界に…決して私と同じ過ちを繰り返さないで。道は必ず残されているはず。それに気付いて!【賽は投げられた】この言葉を聞いたなら、もう時間は少ししか残されていない。だから少しでも出来ることを。M』


日記を静かに閉じた私の体からは止めどなく冷や汗が流れていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ