表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/97

息子

部屋の外が騒がしい。

日記を読みながらテーブルに突っ伏して眠ってしまっていたらしい私は、顔を上げて耳をすませる。


(んー?怒鳴り声と…剣が合わさる音…って!物騒だな!おい!)


ビックリして跳ね起き、乱れた髪や服を軽く整えてから、廊下へ飛び出した。

勿論、保護膜は三重にしてである。


廊下へ飛び出したのはいいものの、私は目の前で行われている事が信じられなくて呆然自失中だ。


(えーっと、何事!?聖騎士団が全員、子供と老人に遊ばれてる?わけわからん…)


剣を片手に子供と老人に斬りかかる聖騎士団メンバー。

それを手で!?叩いてかわす子供と老人。

遊んでいるかのような子供と老人に対して、聖騎士団メンバーは真剣で汗まで流している。

なんともシュールな光景である。


「あのー、何があった「お母さん!!」」


そーっと何が起きているか尋ねようとした私に飛び付いてきた子供によって言葉が遮られる。

てか、お母さんって!!

私はまだ処…げふんげふん。

とにかく子供なんて産んだことありませんけどー!!


「儂がわからんかの?サーラ嬢ちゃん」


ん?儂?

儂なんて言う人は一人しかあったことない…いや、人じゃないけど…


「…もしかして…バルさん?ってことは…」


チラリと私の腕の中で幸せそうに大人しくしている子供をみやる。

真っ白なサラサラ髪にアイスブルーの瞳の組み合わせは見覚えがありすぎた。


「えぇぇぇー!クゥ!?」


私の大声は教会中に響きわたったという。




ルルシカさん含む、聖騎士団メンバーは、二人が私の知り合いらしいと気付いて、謝りながら解散していった。

いや、謝るの多分こっちのほうだと思います。

なんかすみません。


心の中で平謝りしながら二人を部屋へ招き入れる。


「えーっと…バルさんとクゥで間違いないんだよね?」


「うむ」「うんっ!」


やっぱり二人はドラゴンさんらしい。

やばい。また、頭がパニックになってきた。


「サーラ嬢ちゃんに会いたいとクゥが泣くものでな。魔力を辿って会いに来たんじゃが…クゥが少しばかり暴走しての…」


「ぼく、お母さんに会いたかったの!暴走なんてしてないもん!」


うん。息子よ。私は君が男の子だった事実にビックリだ。

それに勝手に教会内に入り込んで騎士団とやりあうのは立派な暴走行為だぞ。

そんな可愛らしく頬を膨らましても……可愛いな!おい!


「ゴホンッ!あー、ちょっとお尋ねしたいんですが、二人ともなぜに人型なんでしょうか?」


「儂らは人化も出来るんじゃ。知らんかったのか?普通は覚えるのに10年程かかるんじゃが、クゥは昨日出来るようになってのう…」


あぁ、チートなんですね。

わかります。

私のまわりはチートばっかりだから今更それくらいでは驚いたりしませんとも。

つまり人化出来た→私に会いたい→今、となるわけだ。

いささか単純すぎる気がするけど、クゥはまだ赤ちゃんみたいなもんだからね。

ドラゴンのまま来なかっただけいいとしよう。


それにしても…

私にぐりぐりと頭を擦り付け、幸せそうなクゥを撫でながら考える。


ショタっ子になんて説明しようか…





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ