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やっと一息


「何ですか?この日記帳」


「やはり読めるのだな!これが!」


やっとこさ絞り出した言葉は多分震えてたと思う。

興奮しながら聞き返してくるショタっ子は気付いてないだろうけど。


「読めますけど…それが何か?」


くっそー、日記帳ってポロっと言っちゃったのは悪手だったか!?とか思いながらも、平静をよそおって尋ねるだけに留めておいた。

今さらショタっ子が私をどうこうするとは思えないけど、この日記帳を何で私に見せたのか目的がわからない内は迂闊な事を言わない方が良いと考えたからだ。もう手遅れのような気がしないでもないけど。


「それは、その本は誰にも読むことが出来なかったのだ…」


そりゃそうだろう。日本語だしね。

読めるとしたらその時点でお仲間決定だろう。異世界トリップの。


「古代文字かと思って研究してはみたんだが、研究は全く進まなかった…」


そりゃそうだろう。(以下略)


「この絵とその本は約一万年前の物だということと魔術で保存魔法が掛けられていることしかわかっていない。だが…時が来ればその謎を紐解く人物が現れるであろうと教皇になる者だけにずっと伝えられてきた。…始祖様、あなたがその人なのだろう?」


ホワッツ?

何ですと?この絵と日記が一万年前の物?

一万年前の物にしては随分保存状態がいいな。そんな魔法があるのにビックリ!じゃなくて、意味がわかんないんだけど…。


「いや、いきなりそんなこと言われても…」


「そうだな…すまない。つい興奮してしまった。その本は好きにして構わない。部屋で読むのもいいだろう。だが…あの…」


そう言いながらなんだかモジモジしているショタっ子が地味に鬱陶しい。

いや、可愛いけども!

言いたいことがあるなら言えばいいのに。


「なにか?」


「いや、その‥‥出来たらでいいんだが…内容を教えて貰えないだろうか?…勿論!!教えられる範囲で構わないのだ。無理ならば諦め「いいですよ」るが…って良いのか!?」


「はい。これは私のものじゃないですし、今まで保管してたのは教会でしょう?まだ内容を見てないので何とも言えないですけど、多分大丈夫だと思います」


「そうか!ありがとう!じゃあ部屋へ案内しよう!」


さっきまでの謙虚さはどこへやら、意気揚々と身を翻し私を部屋へ案内するショタっ子が尻尾をぶんぶん振りながらスキップする幻影が見えた。


幻影…だよね?





「急がずともよい。疲れているだろうからゆっくり休んでくれ!」


「はい。おやすみなさい」


案内された部屋の前で挨拶をして別れた私は、すぐさま部屋へ入り、ドレスを脱ぎ捨てる。

サイラン国を出たのが夜会のすぐ後だったから、無駄に豪華なドレスのままだったのだ。

保護膜を掛けていたから、あまり汚れていないだろうけど、さすがに一週間近く同じ服、しかもお風呂すら入っていないというのは女として…いや人としてまずい。

かといって、男だらけの道中だったのだ。水浴びや着替えなんて出来るわけもない。服だってないし。


部屋を見渡すと、下着やらワンピースが置いてあった。

浴室もある。


(これってルルシカさんが用意してくれたのかな?だとしたらすっごい恥ずかしいんだけど!!)


用意されていた下着を見て少し微妙な気分になったもののお風呂の誘惑に勝てなかった私は、日記をベッドにほっぽり投げていそいそと浴室へと向かった。









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