初めての乗馬
さてここで質問です。
あなたは捨てられた子犬にすがるような目で見られて踵を返し逃げ出せますか?
私は無理です。
ええ、子犬ではなく、15対の瞳、しかも全員が屈強そうな騎士であろうと…。
まぁ、そんなこともあって、私はリングル国の主都へ連行される事になったわけだ。
ルルシカさん曰く、「どうしても教皇様にお会いして欲しいのです!」とのこと。
最初は「もう帰らなきゃいけないので…」とか「仲間が心配してるので…」なんて言いながら、その場から逃げ出そうとしたんだよ?
でも、土下座のような体勢で涙ぐみながら拝み倒されたらさぁ…ねぇ?
「…はぁ、わかりました」って私が言った時は騎士さんたちがブンブン尻尾を振っている幻覚が見えたよ…(遠い目)
まぁ、精霊王′sが神の遣いだって教えられてる人達からすれば、嬉しいことなんだろう。
てか、精霊王′sだけ連れてけばいいんじゃ?とも思ったけど、どう考えてもフリーダムな精霊王′sが黙ってついていくとは思えない。
あちこちで騒動を起こされたらたまったもんじゃないし。
言うなれば、私は保護者の気分だ。
すっごい不本意だけどね!!
あ、それと、ルルシカさんが持っていた魔道鏡で一応サリアさんと連絡が取れたんだよ!
なんか手鏡持ちながらブツブツ喋ってるなーなんて危ない人を見るような目で見てたら苦笑しながら教えてくれた。
なんでも、手鏡タイプの携帯式の魔道鏡があるんだってさ!
携帯電話みたいなもんだね。怖くてお値段は聞けなかったけど、買える金額なら是非買いたい。
今度、シア婆に聞いてみよっと!
ちなみにサリアさんとの会話は殆どが説教でしたが何か?
最終的には『教皇はいい人らしいから会ってもいいんじゃね?とにかく皆心配してるから早く帰ってこい!』的な事を言われました。
とにかく怒ったサリアさんは怖かったとだけ言っておこう。
もう二度と怒らせないようにしようと固く誓ったのは余談である。
そんな感じで心配事が一つ減った私だけども、村の人たちと別れを済ませ…現在笑顔のルルシカさんに抱えられる様にして馬に乗っております。
「あのー、私、飛べるんですけど…」
「何を言いますか!要人を警護するのは当然の義務です!これだけは譲れませんよ」
「でも飛んだ方が速いし…お尻痛いし(ポソリ)」
「はい?何か仰いました?」
「イエ、ナンデモゴザイマセン」
キラキラ属性の人は笑顔にも迫力があって困る。
しかも苦手といえ、今のところ親切な美形を目の前に「お尻が振動で痛いんじゃ!」なんて事を乙女?としては言えるわけもなく…。
『オモシロイ』
おい!今面白いって言った奴出てこい!
発光体で浮いてるだけのあんたたちに何がわかるんだ!
後で覚えてやがれ!
何ともチンピラのような台詞を心の中で叫びながらこっそりヒリヒリするお尻を擦った。