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冒険者ギルド

あれから馬車の荷台で過ごすこと三日、やっと待望の町へと到着した。


端折りすぎ?

いやいや、道中ほんとに何もなかったんですよ。

私に至っては荷台の中でも日中はぐったりだし、夜は夜でミーナが寝ちゃってぼっちだし。

あ、商隊の皆さんには良くしてもらいましたよ。

飴玉貰ったり。

なんか異常に切なくなったけど、仕方ないよね。

見かけは子供だから。


まぁ、そんなこんなで帝国の主都へ着きました。

一言でいうと『デカイ!』。


巨大な塀に囲まれている要塞都市みたいなのを想像してもらえばいいと思う。

私が縮んだせいかもしれないけど、石造りの塀は凄く高くて吃驚した。


町に入るとき、身分証明を持ってないことで何か言われるかと思ったけど、商隊の身元がしっかりしてるのと、ミーナが冒険者ギルドの職員だって言ったことで、すんなりと町へ入れた。



「それじゃあなー!」

「気を付けるんだぞー」

「また会おうなー」


商隊の皆さんの暖かい言葉にほっこりしながら別れを済ませ、ミーナと共に町を歩く。

今が夕方で助かった。

さっきまでのだるさは何だったのか?と思えるくらい具合がいい。



と、そんなことより、とりあえず目指すは冒険者ギルド!

ミーナの安否を知らせる目的もあるけど、何より私も就職をしなければいけない。

冒険者が職かと聞かれたら微妙だけど、お金を稼がなきゃならないからね。

知らない世界で無一文になるとか、想像しただけで怖すぎるし。


少し歩くと、大きな看板が目に飛び込んできた。

『冒険者ギルド』と書かれた看板だ。

見たこともない文字なのに読めるのは何故だろう?

まぁ、最初から普通に話せてもいたし、異世界補整だということにしておこう。

考えるの面倒だし。



「んじゃ、行こうか。ミーナ」


「は、はい。」


はじめての帝国という事で緊張している様子のミーナの手を引きギルドの扉を開ける。


そこで見た光景は私の今までの常識を完全に覆すものだった。


(凄い!あ、あの人はドワーフかな?あ、あっちの人はエルフ!?あ、あの人は鱗がある!)


予想とは違い広く開放的で綺麗なギルドの中は、正にファンタジーの世界とも言える多くの種族がそこには集まっていた。

キョロキョロとせわしなく首を動かす私は完全におのぼりさんだ。


「サーラさん!行きますよ!」


まだ興奮収まらぬ私の手を引きギルドの受付へ引っ張って行くミーナ。

さっきとは真逆である。


そうして連行された受付ではエルフのお姉さんが営業スマイルで座っていた。


「冒険者ギルドへようこそ!本日はどういった御用件でしょうか?」


(うわ、完全なマニュアル接客。)


そんな失礼なことを思っている私を置いて、ミーナとお姉さんの会話は進む。


「私は冒険者ギルドの職員なんですが、奴隷商に捕らえられまして逃げ出してきたのです。ですからネットワークで安否を知らせたいのですが…」


「まぁ!それは…大変でしたね。そういうことでしたらどうぞギルドの魔導鏡をお使いください。それで…あのそちらの方は?」


ミーナが魔導鏡とやらの方へ行ってしまったので、そちらの方とはどうやら私のことのようだ。


「あ、ギルドに登録したいんですけど。」


「そうですか。説明をお受けになりますか?」


「ミーナ…えっと、さっきの子に聞いたので大丈夫です」


「それでしたら説明は省かせていただきますね。では早速、この水晶の上に手を置いてください。」


出てきたのは大きな水晶玉。

占い師が持っていそうな。

それに手を置くとピリッと静電気のような刺激がきた。


「はい。これで終了です。ギルドカードはこちら…に…えっ?」


今までポーカーフェイスを崩さなかったお姉さんが驚いた顔でカードと私を交互に見る。


「どうかしたんですか?」


「い、いえ、何でもありません。失礼しました。これで登録は終了となりましゅ。」


いや、どう見ても何でもないって顔じゃないよね?

最後、噛んでるし。

首を傾げながら受け取ったカードを見て、私はお姉さんが驚いた理由を理解した。



********************

氏名 サーラ

年齢 測定不能

種族 吸血鬼(始祖)

魔力 測定不能

ランクE


補足

吸血鬼を統べる王

世界の祝福を受けし者


*************************


え?誰ですかこれ?

突っ込みどころが満載すぎる。

魔力が測定不能なのはいいとしても、年齢測定不能って…私いくつだよ!

ああ、花の青春時代が懐かしい……

いやそれよりも!!!

誰か早急に説明プリーズ!!





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