一件落着
もうダメだ!
そう思ってギュッと目を瞑った私に来る筈の衝撃は来なくて…恐る恐る目を開けた。
『あんた!私達が見えてるのに攻撃してくるとはいい度胸ね!』
『ハイエルフが精霊に敵う筈ないじゃないか…』
『ふふ、少しおいたが過ぎるんじゃなくて?』
『ばっかじゃねぇの?』
『…だから人間は嫌い』
『…うん』
あぁ、納得。チート集団が守ってくれたんだね。
ありがとう。
それにしても精霊王′s…ちょっと怒りすぎじゃないだろうか?
いや、助かったしありがたいんだけど、魔力の放出が半端ないから皆、固まっちゃってるし…。
あ、一人倒れた…。
「えーっと…アクア、フレイア、フレイ、アース、ルミナリア、ダーク、守ってくれてありがとね。でもそろそろ魔力を抑えてくれないと皆辛そうだから…」
『えー!でもムカつくしー』
『そうだね。僕らの力を甘くみたんだから相応の報いを受けなきゃね』
『ふふ、久し振りに腕がなるわー』
『お?喧嘩していいのか!?』
『…いいの?』
『‥…わかんない』
おい、アクア、ムカつくって…あんたどこでそんな俗っぽい言葉を…。
フレイア、いつものプレイボーイっぷりが崩れて、なんか黒くなってるけど二重人格ですか?
フレイ、あんた何するつもり?アースを焚き付けるんじゃない!
ルミナリアとダークは…まぁいいや。
「…はぁ、とりあえず戻って!ところで王様?これで証拠も出来たし、捕らえられますよね?」
え?何故に王様、ビックリしてらっしゃるの?
もしかしてなんか間違えた!?
精霊王′sが実体化をといて発光体に戻ったのを見届けてから周囲を見渡す。
うん。こちら側の人間は全員無事ですね。
まぁ、精霊王′sの存在を元々知ってたからね。心構えが出来てたんだろう。
カチュアさんは驚きか魔力にあてられたかよくわかんないけど倒れてる。
それはまぁいい。どっちにしても命に別状はないだろうし。
それよりも…
「ダリア、何か言いたいことはあるか?」
「私は…私は悪くないわ!全部その女が悪いのよ!吸血鬼なんかの分際で!」
おおぅ!ダリアさん、あなたは今、ここに居る半分以上の人を敵に回しましたよ?
っていっても、もう全員が敵みたいなものか。
これ立派な反逆罪だもん。
だってそうでしょ?国を内乱寸前の危機に陥らせたのも勿論だけど、国王主催の夜会で騒ぎをおこしたんだよ?これだけで充分だし、しかも『吸血鬼なんか』って…その中に他国の側妃もいるのをわかってんのかね。
話に聞く限り、サリアさんとナディア国の王様は相思相愛みたいだし、これ下手したら国際問題に発展するよ?
「ダリア、お前は王族に生まれながらなぜこのような…」
「当たり前じゃない!この国を繁栄させる為よ!汚らわしい他の血が混じらないようにすれば魔力が高い優秀な子供が産まれるわ。そうすればどこの国よりこの国が有利に立てるじゃない!」
「…そうか…ならばもうひとつ。…なぜサーラ殿を狙った?」
「はっ!そんなのユリクが想いを寄せているからに決まっているでしょう?ユリクに相応しいのはこの私よ!」
「それはない!お前など死んでもお断りだ!」
「…な、なんで?ユリク…貴方と私なら素晴らしい子が産まれるわ!それに私はずっと前から貴方の事が…」
「煩い!喋るな!耳が穢れる!お前なんかとサーラさんを比べるなど……兄上!この女は牢に!これ以上の会話は不要です!」
「ああ、そうだな。おい!牢へ連れていけ!」
「なんで!何故なの!私は国とユリクの為に…なんでよぉぉぉー!!」
えーっと…何やらよくわからないけど、目の前で大○越前のようなやり取りが繰り広げられて、騎士様たちがダリアさんを引きずるように連れていって…とりあえず一件落着?のようです。
それより…ユリクさんが私に想いを寄せてるって…冗談だよね?
てか、何故に皆さん、そんな生暖かい視線を私に向けるの!?
え?まさか…えぇーー!!!!