黒幕みっけ!
ハイエルフとエルフでは寿命も魔力量も違う。
ハイエルフが100とすれば、エルフは大体20といったところらしい。
これはユリクさんが以前話してくれた事だから間違いない。
「例外もいるが‥.」とは言ってたけど、それはハイエルフと一部のエルフらしい。
王様やシア婆、魔術師団長?とかが恐らくその例外に入るんだろうけど、王様とシア婆は敵じゃないし、魔術師団長?は変人らしくて滅多にこういった場には顔を出さないらしいので今のとこ、それはどうでもいい。
つまり何が言いたいかというと、私は美人さんたちの誰かが黒幕である可能性が高いと知った時、思いついたのだよ!
『エルフの人が私達に敵わない状況になれば痺れを切らして黒幕自ら出てきてくれるんじゃね?』と。
だからエルフの人が放つ魔法ではかすり傷さえつけられない程度の保護膜を掛けたんだよね。
仲間全員に。
今、地面に転がってる15人の襲撃者(全員エルフだけど)が、一斉に魔法を放ったなら私は危なかったかもしれない。
だって15×20、つまり300の魔力からなる魔法だよ?
それに引き換えこっちは80程度の保護膜だもん。
まぁ、でも、そんな事態にならないのは『わかってた』。
エルフ至高主義者だってことは、吸血鬼と獣人な私達は全員敵な訳で…いくら『我が君』の命令で私を殺すのが最優先事項だとしてもさ、敵が目の前に一杯いるんだよ?
一気に片付けてしまいたいって考えるのが欲と固定観念に縛られた人間だ。
つまり私達は全員が殲滅対象なわけ。
人数だけは私達に勝る襲撃者がバラけて倒そうとするであろうことなんてお見通しですよ。
私たち個人の実力を見誤ったそちらの落ち度です。
欲張った当然の結果ですね。はい。
それにさ、王族なら私のまわりに漂う精霊も見えるだろうに…何で襲撃なんて実行させたんだろう?
これはあれだ!完全にナメられてるよ!精霊王諸君!
とまぁ、それはひとまず置いといて…私は王様の近くに居る一人の女性を見つめた。
(あーあ、そんな顔してたら私が黒幕ですよーって言ってるようなもんじゃん。もう少しポーカーフェイスなら気づかれなかったかもしれないのに…)
そんなことを考えながらチラリと王様を見ると明らかに敵意ある視線を女性に向けていた。
ユリクさんも然り。
ちなみに戦闘が終わったこちらのメンバーの視線まで独り占めだ。
本人は全く気付いてないようだけど…。
これだけ見 られてて気付かないなんて、ある意味大物だと思う。
多分、怒りとか悔しさとかそんな感情が先立って周りが見えていないんだろうけど。
実際美人さんが台無しってくらいに醜く顔を歪めてるしね。
それにしても、この状況をどうすればいいのだろうか?
良くも悪くも膠着状態。
今にも怒り大爆発しそうな彼女を放置していいのだろうか?
(…うーん、王様も何も言わないし…状況証拠がなきゃ動けないってこと?)
仮にも王族を捕らえるとなれば、確固たる証拠が必要なんだろう。予想だけど。
誰が見ても黒幕は彼女だって一目瞭然なんだけど…これは私が一肌脱がなきゃいけないんですかね?どうなんでしょう?
「危ない!!サーラさん!伏せて!」
唸りながら考えてたら、ユリクさんから緊迫した声が飛んできた。
「え?」
驚いて視線を上げてみれば魔力で作られたであろう黒い塊が私の眼前まで迫っている。
(いや伏せて!って…伏せたらこれお城が崩壊するんじゃ…いやそれ以前にもう防御不可能な状態なんですけど!!どうしろと!?)
パニックに陥った私の視界に入ってきた彼女がニヤリと笑ったのを見て悟った。
あ、これ詰んだわ…。




