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塔の住人


「ふぉおー!」


いきなり奇声をあげているサーラでございます。

頭がおかしくなったわけじゃないよ?

ただ、ちょっと感動しちゃっただけ。

だってさ、見上げてると首が痛くなりそうな塔の中に入ったら!なんと!エレベーターがあったんだもん!興奮しちゃうよね!?

地球には当たり前にあったエレベーターだけど、この世界では初だよ!?

とは言っても、お兄さんが魔力で動くシステムって説明してくれたから、ファンタジーっちゃーファンタジーなんだけど…。


あ、お兄さんはタジールさんというんだそうな。

名前を聞いて、タジン鍋が頭に浮かんだのは秘密にしておこうと思う。

言ってもわからないだろうけど、失礼には変わりないからね。すみません、お兄さん…。


「着きましたよ。主は奥の部屋にいらっしゃいます。こちらへどうぞ。」


私が心の中でタジールさんに謝っているうちにどうやら着いたらしい。

ってか、今更なんだけど、ついてきてよかったんだろうか?

襲撃を受けたばっかりだってのに、危機感が足りなすぎやしないか?私!

でも、躊躇っている私を見て不思議そうにしているタジールさんからは全く害意は感じない。

それどころか、好意的にさえ見える。


(最悪、飛んで逃げればいいし…ええい!ままよ!)


そうして私はエレベーターから降りて促されるまま奥へと進んだ。




「…えーっと…これは一体どういう事でしょう?」


最奥にある大きな扉をタジールさんが開いた途端、なぜか魔道具屋さんのお婆さんに抱き締められました?え?何で?

タジールさんは困ったように笑うばかりで状況を説明してくれる気はないようです。


「あの!?お婆さん?」


「あ、ああ、すまなかったね。つい嬉しくて。」


何が嬉しいのかわからない私は益々混乱するばかりだ。

でもお婆さんが続けて言った言葉に体が強張った。


「襲撃を受けたのであろう?無事で良かった」


「…んで…なんでそれを知っているんですか!?」


私が絞り出した声は震えていたんだろう。

お婆さんはあわあわと慌てだした。

なんだか、それが無性に可笑しくなって思わず笑みがこぼれる。


「あぁ、良かった。笑ってくれて。始祖様を傷付けようなどとは欠片も思っておらん。それだけは信じておくれ」


「はい。それは大丈夫です。お婆さんからは害意を感じませんから…それより、何でそれを知っているのか教えてもらえませんか?」


事実、害意は全く感じなかった。

襲撃者達のような憎しみの感情も。

むしろ、お婆さんが何故、懇願するかのように『信じてほしい』と言ったかの方が気になる。

でもそれは後だ。

今は、限られた人しか知り得ない情報を何故知っているのかを聞かないと!


「ふむ。何から話せばいいか…まずは…」


そう言って話し出したお婆さんの話は衝撃だった。





「…という訳なんだが…ん?どうかしたのか?」


「…いえ、ちょっと衝撃的で脳の処理速度が追い付かないというか…」


えーっと、まずお婆さんの名前はヴァレンシアというらしい。

「シア婆とでも呼んでおくれ」って言ってくれたから、それは有り難く呼ばせて貰うことにする。

で、歳は12000歳で、ハイエルフで、『元』世界最強だ…と。

そんでもって王様の祖母にあたるんだそうな。

成る程。だから襲撃の件を知ってたんだね!

なんて言えるかー!!

意味がわからんわー!!

そもそも、ハイエルフの人ってそんなに生きるもんなの!?

しかも『元』世界最強って…『現』世界最強は誰よ!?

私がパニックに陥っていると、フワリと光が揺れた。


『あら!やっぱりシアじゃない!久し振りねぇ!』

『なんだと!シアだって!…あー、年取ったなぁ…』

『…シア?お菓子くれるシアか?』

『シアちゃん?あら、ちょっと老けたわね』

『…老けたね』

『…うん』


「!!!精霊王様方!!なんと!お久しゅうございます!始祖様に精霊様がお付きになっておられるのは気付いておりましたが…まさか精霊王様方だとは!」


おい、アクア、勝手に出てくるなって言ったよね?

フレイアはあからさまにがっかりしてるんだけど何でよ?

てか、アース、あんた餌付けされてたんかい!

フレイ、ルミナリア、ダーク、あんたたちちょっと失礼すぎない?

はぁ…なんか気が抜けたわ。


てかさ、シア婆、だいぶ失礼な事言われてましたけど、そんな状況でも涙ぐみながら再会を喜べるもんなんですね。

タジールさんは…ああ、駄目だ、固まってる…。


とりあえずシア婆と精霊王達が知り合いなのは分かったんだけどさ…私が魔道具買えるのはいつになるんでしょうか?

夜会始まっちゃうんだけど!!


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