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甲虫討伐


巨大カブトムシ&クワガタに囲まれているため、皆で背を合わせるようにして警戒を続ける。

すぐにでも討伐!といきたいとこだったけど、目の前でカブトムシ同士が戦い始めちゃった。

もうポカーンだよ。

チームワークというものを教えて差し上げたい。

まぁ、私たちもチームワークがあるとは言いがたいけど…。


それにしても、敵前で堂々と縄張り争いっぽい戦いを繰り広げるカブトムシ…じゃなかった『甲虫』に対してどうすればいいんだろうか?

ラッキー♪なんて言って討伐しちゃえばいいのか?

うん。全然わからん。


「サーラさん、甲虫のこの行動は縄張り争いだ。」

「うむ。まぁさしずめ餌は妾たちといったところか…」

「ねぇねぇ、今のうちにやっつけちゃお!」

「でも弱ったところで討伐した方がいいと思うー」


どうすればいいのかはかりかねていた私に異世界の先輩方が説明してくれました。

ユリクさん、やっぱりこれ縄張り争いですよね。

リズ、私はカブトムシの餌になる気は更々ないから!昆虫ゼリーがわりになるのはまっぴらごめんです。

マリア、明らかにそれ不意討ちってやつだよね?

ジン君、一番まともな意見をありがとう。

そんな可愛らしい顔で一番エグい提案をしているような気がするのは私の気のせい…ということにしておこう。それがいい。


(うーん、終わるまで待つか…それにしても…角の威力半端ないな!おい!)


ご自慢の?角で戦う二匹の甲虫。

全部で八匹いる甲虫は、私たちを警戒しているようだけど、どうやら戦いが終わるのを待っているようだ。

こんなところで訳のわからないチームワークを発揮しないで頂きたい。

それに…森の木が角が当たるたびにガツガツ抉られてるんだけどさ、その度にユリクさんの眉間がピクピクしてるんだよね。


(ユリクさん、こわっ!!エルフは森を大切にするって言ってたし、私が昨日木を薙ぎ倒した時も怒ってたもんな…)


いきなり始まった縄張り争いにビックリして動けなかったけど、このへんが潮時だと思う。

…ユリクさんの美貌が崩れない為にも…


「皆!そろそろ討伐始めよう!」


私の言葉に待ってました!とばかりに頷く一同。

そして、戦闘(蹂躙)が始まろうとしていた。




「マリア、甲虫の討伐証明部位は覚えておるか?」

「うーん、たしか角?」

「でも甲虫って体が硬いから売れるところいっぱいあるんだよー」

「…そうだな、だが木を傷付けたんだ。角以外、跡形もなく滅していいだろう」

「ふむ。適当でよいのではないか?」


ゆ、ユリクさんが黒い!

いや、それよりも、私には言わなければいけないことがある。


「あ、あの!出来れば売れる場所は残しておいて貰いたいんですけど!」


お金は大事なのだ。

目の前にお金…もとい売れる素材があるというのに、何も出来ないままそれが無くなっていくのを見ていられるほど私はお金持ちでもなければ無関心でもない。

お母さんが他界してから節約生活続けてきた元貧乏人なめんな!

ということで、不満そうにする皆を出来うる精一杯の睨みで黙らせる。

てか、リズ、「せっかくの爆裂魔法が…」って聞こえたんだけど…。

何する気だったの!?




さて困った。

何がかって?

いや、素材を残して討伐するとなると弱点のお腹を狙わなきゃいけないんだって。

でもさ、ちょっと転がってくれません?って言えるわけないし、言ったとしても素直に転がってくれるとは思えないしね。

うーんうーん唸っているとリズが怪訝な顔で尋ねてきた。


「始祖様、何を悩んでおるのじゃ?」


「いや、お腹狙いたいんだけど、転がりそうもないなって思って…」


「……ならば転ばせればよかろう。ほれ!」


そう言うが早いか、リズが魔法を行使して風を巻き起こす。

その風になすすべもなく転がる甲虫たち。

そして好機!とばかりに飛び出していく皆。

慌てて私も飛び出したよ!だって働かないとお給料なしだからね!これ常識!



「あっけない…あっけなさ過ぎる…」


それからはものの何分かで決着がついた。

縄張り争い観戦の時間がなければもう一つぐらい依頼を受けられたかもしれない。…無念。

今日わかった事は、リズは『転ばぬなら転ばせてしまえカブトムシ』な織田信長的な考えを持つ3000歳越えの幼女だってことと…やっぱり剥ぎ取りは私が殆どやらされるってこと。

私の魔力手刀の前では『甲虫』が甲虫たる名前の由来を全く感じさせないほどサックリと切れましたとさ。

…ん?また私が一番働いてる気がするんだけど…気のせい…ではないよね?




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