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そうだ!ギルドへ行こう!

一晩ゆっくり寝て、色々落ち着いた私は、町へ降りてギルドで依頼を受けることにした。

『働かざる者食うべからず』って言葉もあることだし、このまま好意に甘えて王城に置いてもらってるのは嫌だもん。

それに町の人にも謝りたいしね。

ということで、猫耳侍女のハイジに冒険者ギルドの場所を聞いて、さぁ!出発しよう!って思ったんだけどね…

何で皆、着いてくるの!?


「サーラだけじゃ心配だもん。お姉ちゃんにも頼まれたしね!」

「サーラさんに何かあったら困るからな」

「僕もサーラお姉ちゃん?と一緒に行くー!」


マリア、私は危険物かなんかかい!サリアさんにも頼まれたって…そりゃ他国の側妃が冒険者になるわけにはいかないだろうしね。

サリアさんならやりかねないけど。

ユリクさん、何もないと思いますよ?依頼受けるだけだし…。むしろ何が困るんでしょう?

えーっと…犬耳?狼耳?の君はどちら様でしょうか?


「僕はジン!銀狼族のジンっていうの!」


私、今、口に出してないよね?え?エスパーですか!?






「サーラさんに会いたいと今朝、詰所まで来たんだ。どうやら君の力に惚れ込んだらしい」


苦笑しながらユリクさんがジン君の説明をする。


「サーラの魔力綺麗だから仕方ないよねー?」


「ねー!」


マリアとジン君はどうやら気が合ったみたいで笑い合っている。

てかさ、私を置いて話を進めるなっちゅーに!


「…はぁ、まぁいいですけど…ユリクさん、騎士団長が町の外へ出て大丈夫なんですか?それにマリアとジン君はギルドに登録してるの?」


「問題ない。それに兄も賛成している。」


「私は登録してるよ!だって冒険者だもん!」


「僕も冒険者なの!えっと…孤児だから…」


私が折れて尋ねれば、ビックリな言葉がとびだしてきましたよ!

ユリクさん、兄って王様だよね?何で賛成してるの!?

マリアは冒険者だったんだ。そりゃサリアさんが探してもなかなか見付からなかった訳だわ…。

ジン君も冒険者か。まだ幼そうなのに…それに孤児って…。


「サーラさん、そんな顔をしないでくれ。ジンの身柄は王家が保護することになっている。本人の希望により、騎士見習いにすることが決まった。だから…」


すぐ顔に出るのは私の悪いところだ。

サリアさんにも「それは美点でもあり悪いところでもあるわ」って言われたっけ…。


「ユリクさん…ご心配かけてすみません。ジン君、良かったね!」


私がそう言えば、二人とも笑顔になってくれた。

まだまだ知らなきゃいけないことが沢山ある。

この世界の良いところだけじゃなくて悪いところも…そう思いながら、私はギルドへと歩を進めた。



「あれ?この間の嬢ちゃんじゃないか?」

「そうだよ!ジンも一緒じゃないか!」

「ユリク様まで!一体何事だい!?」

「エルフに突っかかってた嬢ちゃんもいるぞ!」


ギルドに行く道すがら、沢山の人に囲まれました。

どうやら先日、私が魔力を放出してしまったところに居た人達のようだ。

ユリクさんをチラリと見たら頷いていたから間違いないだろう。


(さて…どうするか‥‥悪意は見えないけど…謝るべきだよね!うん。)


「あの!この間はすみませんでした!皆さんに迷惑を掛けて…」


私が声を張り上げて謝り、ペコリと頭を下げれば、皆がポカーンとしている。

え?なんか間違えた?

私がパニックに陥っていると、ドワーフのおじさんが前に進み出て私の肩を叩く。


「お嬢ちゃん、俺達は感謝してるんだ。ありがとう。」


それを皮切りに、周りからも感謝の言葉が飛んでくる。


「そうだ!俺達はずっと虐げられてきた!嫌がらせを受けたり、時には暴力を振るわれたりな!」

「私だってそうだよ!宿を壊されて商売出来ないこともあったんだ!感謝してもしきれないよ!」

「あれはスカッとしたぜ!つっても俺も気絶しちまったけどな!ハハッ!」

「私はエルフが泡吹いて倒れたのを見たよ!」

「そりゃ傑作だ!ワッハッハ!」


戸惑った。

感謝されている事にじゃない。

憎しみすら感じられる言葉が出てきたことに。

そして今までこの人達がされてきた事に。


(何で…?種族は違っても同じ人間なのに…)


「…サーラさん、行こうか…顔色が悪い」


ユリクさんの言葉に頷いた私は、逃げるようにその場から離れた。


「サーラお姉ちゃん…元気だして?」


「ジン君…」


「あのね、マリアお姉ちゃんはこの間、僕がエルフに蹴られてたところを助けてくれたの…」


歩きながら淡々と話すジン君。

その言葉に私は衝撃を受け、声が出てこない。


「サーラさん、俺は君に謝らなくてはならない。この町、いや、この国はハイエルフである兄が治めているだろう?」


「…はい」


「悲しいことだが、そのせいでエルフこそが至高だと思う者がいるんだ。」


「じゃあ、私がこの町に来たときの門番のお兄さんも…」


「ああ、その一人だ。サーラさんは巻き込まれただけなんだ。この悪しき考えを持つ者が居るこの国の内情に…」


この世界は私に優しい。

でもたまに、突き落とすように嫌な気分にさせる。

思わぬところでこの世界に巣食う闇を垣間見てしまった私は、辿り着いたギルドの前で立ち尽くすことしかできなかった。


依頼受けられず…。

次回は戦闘?が書けるかも…。

果たしてサーラの訳のわからない魔法で戦闘と呼べるものになるかは疑問ですがww

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