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打ち明けた日

「…逃げちゃった…それにしてもさっきのあれは何?いやー!!思い出すだけで恥ずかしい!きっとあれだよ!失恋したとかそんなんで人恋しかった?とかだよね!うん!」


部屋のベッドの上でさっきの温もりを思い出していた私は、バタバタと手足を動かし、陸にあげられた魚のように飛びはねていた。

訪問者にも気づかずに。


「…サーラちゃん?何してるの?」


うぉぅ!サリアさん、いつの間に!?

それに妹さんまで!?


「いや、ちょっと脳内処理が追い付かない状態でして…」


「…まぁ、いいわ。サーラちゃんが変なのはいつもの事よね!」


何ですと!?

なんだかうんうん頷きながら納得してるサリアさんの態度にちょっと傷付いたんですけど…。

そんなに私、変なことしてるかなー‥…。

全面否定できないのが悔しい。


「…えーっと、何の御用で?」


「あ、そうだったわね。サーラちゃんに妹を紹介しておこうと思って。ほら、挨拶は?」


「あの!始祖様!私はマリアと言います!よろしくお願いします!」


なんかマリアさんがガチガチに緊張してるように見えるのは気のせいだろうか?

私なんかしたっけ?


「サーラちゃん、ごめんなさいね。マリアはさっきのサーラちゃんの魔力に当てられて気絶しちゃったのよ。だからサーラちゃんの事を尊敬しちゃったみたい。」


「はい!さすが始祖様だと思いました!強くて綺麗な魔力で‥‥私、感動したんです!」


うーん、なんか綺麗な魔力って言われてもわかんないんだよね。

それに気絶させちゃったってことは謝ったほうがいいよね?


「ありがとうございます?あと、気絶させちゃってごめんなさい。」


私がペコリと頭を下げると、マリアさんはアワアワしだした。


「そ、そんな!始祖様が謝る事なんて…」


「マリア、だから言ったでしょ!?サーラちゃんは変わってるって!」


「うん。お姉ちゃんの言う通りだった…」


あのー?

私を置いて勝手に納得しないで貰えますかね?




結局、あのあと血を与えてマリアは部屋へ帰っていった。

あ、マリアとは名前で呼びあう仲になった。ってか、した。

だって見た目年齢があんまり離れてないみたいだったし、敬語で話されるの慣れてないんだもん。

最初は「そんな!恐れ多い!」って言ってたけど、最終的には「うん、わかったよ!よろしくね、サーラ!」って笑顔で言ってくれましたよ!

「やっぱり変わってるわね‥.…」ってサリアさんが呟いた気がするけど気にしないもんねー!

私だって友達が欲しいんだもん。


まぁ、それはともかく。


「サリアさん?部屋に戻らないんですか?」


なぜか部屋から出ていく気配さえ見せないサリアさんが気になってそう聞けば、笑顔で返されました。

なんか笑顔が怖い気がするのは気のせい…だよね?


「サーラちゃんにね、聞きたいことがあるの」


ほら来た!

やっぱり気のせいなんかじゃなかったよ!

だって今も有無も言わせぬ迫力があるもん!

美人だけに余計に。


「えーっと、何ですかね?」


恐る恐る尋ねれば、全く予想もしていなかった質問を浴びせられて思わず呆けてしまった。


「サーラちゃん、ご両親は?」


「……はい?」


「ご両親はご健在なのかしら?」


「いや、母は八年ほど前に亡くなりました。父は…知らないです。母が私を身籠った時に事故で亡くなったと聞いてますけど…それがどうかしましたか?」


「そう…悪いことを聞いてしまったわね…ごめんなさい。」


「いえ、もう昔の事ですから…」


「それじゃあもう1つきかせてもらえないかしら?…サーラちゃん、あなたはどこから来たの?」


すぐには答えられなかった。

「異世界から来ました!」なんて言っても信じてもらえるかわからないから。

サリアさんになら話してもいいとは思う。

少しの間だけど、一緒に旅をしてきて信用できる人だって思えたから。

だから…


「少し長くなりますけど…聞いてもらえますか?」


私はこの世界に来てはじめてすべてを打ち明けた。




サリアさんは私の話を静かに聞いてくれた。

真剣なその瞳には、恐れていた疑いの色は見えない。

すべてを話し終えたあと、沈黙が満ちた。


「……にわかには信じがたいわね…でもサーラちゃんの言うことだもの。信じるわ。辛かったでしょう…知らない場所に来て、重い役目を背負って…」


「え?信じてくれるんですか?」


「当たり前よ!私がサーラちゃんを信じられないと思ってるの?」


嬉しかった。

自分でも信じられない事をサリアさんが信じてくれたから。


「ありがとうございます。サリアさん。でも、辛くなかったですよ?不思議なんですけど…私、この世界がなぜか好きなんです。懐かしいような気さえするくらい。ちょっと同胞の男性に変態が多いのが難点ですけど…」


「ふふっ、サーラちゃんは強いのね。本当にカルロスのお嫁さんになってくれないかしら?」


「断固お断りします!」


そんなことを言いながら、私達は笑いあった。

あ、同胞といえば…

あと二人見つけなきゃいけないこと忘れてたわ…。



サリアは色々鋭そうです。

頭の中では何を考えてるかわからない人物ですが、サーラの味方ですよ?

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