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五人目見つけました。

どこの国にも属していない、いわば独立国家とも言えるドラゴンの里。

里と言うには相応しくない広大な敷地には50程のねぐら…つまりここに住まうドラゴンの家と言うべきものが、山々に穴をあけるような形で存在している。


その中の1つで、私とサリアさん、バルさんにクゥは旅の疲れを癒していた。

どうやらここはバルさんの家らしく、病に侵され洞窟に移り住むまでの間、住んでいた場所らしい。

そして…私は対面に怯えた顔で正座している見た目20才程の短髪男に視線を向け口を開く。


「で?あんたは私に見付かって叱られると思ったってこと?」


「あ、ああ。」


つまり話はこうだ。

こいつ…マクシミリアン・ヒューベルという恥ずかしながら同胞である男は、戦闘狂であるらしい。

「強いやつと戦いたくてここまで来たんだ」って言ってたことからもそれは確か。

そして約1ヶ月もの間、勝手に…そう勝手に!闘技大会なるものを開催して、戦いを楽しんでいたと…。

てかさ、それを受け入れるドラゴンさんたちもどうかと思うけど…こいつ、バカでしょ?

1ヶ月も闘技大会をするって幾らなんでも長すぎじゃね?

しかも、対一人でだよ?

頭おかしいの?


血気盛んらしいドラゴンさん達の事だから、そりゃ最初は喜んで戦っていただろう。

でもさすがに1ヶ月、負け続ければ不満にもなるし、吸血鬼に対して良い感情を持たないのも頷ける。

てか、ドラゴンに全戦全勝って…吸血鬼ってほんとに強かったんだね…。

まぁ、それはともかく、ここへ来たときに私たちが威嚇されたのは、この戦闘狂と同類だと思われたってわけだ。

うん。こいつが全部悪い!


しかもさ…私に叱られるかもって…いたずらした子供か!!

「俺もそろそろ帰らなきゃなーって思ってたんだけどよ…楽しくってなかなか…な?」って完全に自己中な理由だよね?

そんな事を考えながら、ピリピリしていた私にバルさんがなだめるように話し掛けてきた。


『まぁまぁ、サーラ嬢ちゃん。こやつも悪気は無かったんじゃろうて。里の者も最初は楽しんでおったようじゃし…その辺にしておいてやらんか?それにこやつのその格好はどうにも……』


格好?正座のことですか?

これは日本が誇る昔ながらの正しい座り方ですよ?

決して拷問なんかじゃありません!

サリアさんは痛ましそうに見てるし、マクシミリアンは冷や汗が止まらないみたいだけどね。

バルさんは甘い!甘すぎる!とも思ったけど、ここはバルさんに免じて許してやるとしよう。

バルさんに感謝するが良い!マクシミリアンよ!



とまぁ、そんな感じで仕方なくマクシミリアンもここへもう一泊することになった。

危険人物ですからね。ちゃんと明日には回収していきますよ。

旅に同行させる気はさらさらないけど、とりあえず里からは離れさせないといけないからね。

きっちりお灸を据えておいたからもう大丈夫だとは思うけど、このままじゃドラゴンさん達の吸血鬼に対する印象が悪くなっちゃうからさ。

もう手遅れかもしれないけど、バルさんがどうにかしてくれることを祈る。

丸投げですんません。


さすがに疲れが出たのか、眠るサリアさんとバルさんを見ながら、さっさとマクシミリアンに血を与えた私は眠りについた。

私の腕の中の小さな温もりに、少し…そう少しだけ…目頭が熱くなるのを感じながら…。







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