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ドラゴンの里

あれから丸一日、バルさんの背中に乗っていた私達は、ようやく目的地付近についたらしい。

らしいっていうのは、バルさんが『この辺りからは歩いていかんとな。病に侵されておった儂が里へそのまま降りたら皆が混乱するじゃろうて』って言いながら着陸したからだ。


それにしても、バルさんの背中の乗り心地は凄かった!

全然揺れないんだよ!

飛行機さながらのスピードで飛んでるのに、安定感が半端ない。

それでもさすがに風の抵抗が凄かったから、私が皆に保護膜をかけたのもあるんだけどね。

まぁ、確実にわかったことは、いくら快適で保護膜付きだとはいっても、そのスピードの中で爆睡した私とクゥは大概図太い神経の持ち主だってことだ。

うん。クゥ、君は大物になるよ!


と、現実逃避もこの辺にして…私は目の前に視線を向ける。

何度見ても、見渡す限りの山脈が広がっているんだよね…。


『里は山を越えたところにある。急がねば日が暮れてしまうぞい。この辺りは夜になると魔物が出るからの…』


何ですと!バルさん、それを早く言ってください!

行きましょう!今すぐ出発しましょう!

てかさ…、この山、一日足らずで越えられるの?





そう思ってた時期が私にもありました。

いやぁ、ビックリした。

バルさんって足も速いんだね!

バルさんが通った所の山の木々がバッタバッタなぎ倒されていくけど、それはこの際気にしないことにしよう。

地球なら環境破壊の大問題にされそうな光景だが…。

とりあえず、私とサリアさんは置いてかれないように必死に羽根を動かしたとだけ言っておこう。




そのかいあって?、何とか夕方には里へ着くことが出来た。

けど…なぜか私とサリアさんは沢山のドラゴンに囲まれている。

青、緑、茶色、黒、中にはピンクのドラゴンまで。


(わぁ!ファンタジー!なんて言えるか!恐い恐い!何で皆威嚇してるのー!?なんか私、悪いことしましたか?!)


完全にパニックになっていた私をみかねて、バルさんがため息をつきながら口を開いた。


『はぁ…皆のもの、この少女達は儂の命の恩人じゃ!血気盛んなのは良いが、失礼なことをしたら噛み殺すぞい』


バルさんの言葉にびくりと巨体を震わせたドラゴンさん達は会議をはじめたようだ。


『長を捕らえて我々を脅そうというのではないのか?』

『だが長の命の恩人だそうだぞ!』

『そうだ!長は病に侵されていたはず…』

『ならばあの少女が長の病を癒したと言うのか?』

『長はそう言っておられるが…』

『でも…吸血鬼だ。』

『うむ。あいつと同じ吸血鬼だ。』

『だが長が噛み殺すと…』

『『『『よし!歓迎しよう!』』』』


こそこそ話しているつもりなのだろうけど、丸聞こえもいいところですよ!と教えてあげた方がいいのだろうか?

つーか、私達は誘拐犯か!!

そしてバルさんに弱いな君たち!


ん?それより今、聞き捨てならない言葉が聞こえたような…。


(吸血鬼って言ったよね!?てか、あいつって誰よ!?)


一気にドラゴンさん達の殺気が霧散したこの場で、私の頭はその事で一杯だった。



うーん?と唸りながらも私は迎え入れられるまま里へと足を踏み入れる。

サリアさんはバルさんと何か話しているようだけど

耳に入ってこない。

それより…


(ん?なんか騒がしい?)


騒がしさに視線を上げると【闘技大会】の文字が書かれた木製の立て看板が目に入った。


(闘技大会?ドラゴン同士で?さすがファンタジー!なんか面白そう!)


「私、ちょっと見てくる!」


私は完全に興奮状態だったといえる。

「ちょっと!サーラちゃん?!」というサリアさんの制止が聞こえないほどには。

だってドラゴン同士の戦いなんて見れる機会がまたあるとは思えないもん。

当たり前だが今まで見たこともないのだ。

興奮せずにいられようか?

いや、いられまい!

念のため、保護膜を三重にかけた私は人混みならぬドラゴン混みを掻き分けて、戦いが繰り広げられているであろう場所へ飛び出した。

そこにいたのはさっきまで、私達を威嚇していた茶色のドラゴンと…吸血鬼の男!?

茶色ドラゴンは傷だらけであるのに対して、男は無傷で立っている。

それを見た私は、さっきドラゴン会議で聞こえてきた言葉を思い出した。


「…あいつってお前かぁぁー!!」


私の興奮を返せと言わんばかりの大声が里に響き渡る中、男はこちらを向いて目を見開いた。


「げっ!!まさか始祖様か!?」


おい、げっ!とはなんだ!げっ!とは!

しかも君が始祖様とかバラしてくれたせいでドラゴンさん達の視線が一斉に私に向いたんだがね。

この落とし前、どうつけてくれるんじゃい!



サーラは期待していた光景が見れず、ヤ○ザのようになってますww

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