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洞窟とうちゃーく!

スカートで飛ぶサリアさんに説教をかましたあの日から四日が経ち、私とサリアさんは洞窟の前に立っている。


いやぁ、この四日間は大変だったよ…。

毎日野宿だったんだけどね、ピッタリと私にくっついて寝ようとするサリアさんと伸び伸び寝たい私との攻防が毎晩繰り広げられてさ、結果的には私が勝利をおさめたわけだけど、かわりに髪の毛を編まれたり頬擦りされたりとおもちゃにされたわけ!

最初は抵抗してたんだけど、さすがキラキラ王子を産んだ人なだけあって、全くめげないんだよ…。

最終的には「あーもうどうにでもしてくださいー」って私が折れたよね…。

今まで会った同胞では、ある意味サリアさんが最強だと思う。


とまぁ、そんな黒歴史は忘れることにして、今はドラゴンさんを治す事を考えよう。

私の精神衛生上、それがいいと思う!うん。


「サリアさん、入りますよ?」


「ええ、なんだか緊張するわね…」


え!?サリアさんでも緊張することなんてあるの?なんて失礼なことを考えながら、私達は洞窟へと足を踏み入れた。




「ドラゴンさん…うそ…」


洞窟内へ入った私が見たのは、ピクリとも動かないドラゴンさんだった。

眠っているのかと思った。

でも…私が何度呼び掛けても目を閉ざしたままのドラゴンさんの様子に嫌な予感がわき上がる。

それと同時に私の瞳から涙がこぼれ落ち、ドラゴンさんの顔を濡らした。


「っっ!!サーラちゃん!今、動いたわ!」


「…え?」


「だから今、サーラちゃんがこぼした涙に反応したのよ!瞼が少しだけど動いたわ!まだ生きてるわ!」


サリアさんの言葉を頭の中で反芻する。

ドラゴンさんが生きてる?本当に?

涙で前が見えない。

けど‥…本当に生きてるなら…泣いてる場合じゃない!

私は涙をぬぐって、キバで傷付けた手首から滴る血をドラゴンさんの口へと押し付けた。


(お願い!飲んで!)


祈るような思いで差し出した手首からはおびただしい量の血液が流れ出てて、頭がくらくらする。

その血をドラゴンさんが僅かに嚥下するのを確認してホッとした私はそのまま意識を失った。




「…ちゃん!サーラちゃん!」


「うーん、あと5分…」


切羽詰まったようなサリアさんの声に起こされ、なんとも気の抜けた返事をした私はハッと体を起こす。


「サリアさん!ドラゴンさんは?!」


「無事よ。今は眠ってるわ。ちゃんと呼吸もしっかりしてるようだから平気よ。それよりも今は私の血を飲んで!サーラちゃん、倒れたのよ?!」


そういえば、倒れたような気がする。

記憶が曖昧だけど。

私は顔をしかめたくなるような体のだるさに気付いて、本能のままサリアさんの首筋にキバを立てた。





「はぁ、楽になりました。サリアさん、ありがとうございます」


口を拭った私はペコリと頭を下げる。


「いいのよ。私達吸血鬼にとって始祖様であるサーラちゃんは希望なの。こんなところで死なせたなんて同胞に知れたら大変だもの!」


ウィンクしながらそう答えるサリアさんに救われた思いがする。

だってまだ慣れないんだもん。吸血行為に。

でもサリアさんは私が希望だって言ってくれた。

アンディだってそんなようなことを言ってたし、この行為にも慣れなきゃいけないんだろうな…。

そんな事を考えていると背後から声が聞こえた。


『そうか、お嬢ちゃんは吸血鬼の始祖じゃったのか…』


「ドラゴンさん!?もう大丈夫なんですか?体は平気ですか!?」


私がトコトコと駆け寄ると、ドラゴンさんは目を細め、静かに頷いた。


「よかったぁー」


『お嬢ちゃん…いや、始祖といった方がいいのかの?助かった。ありがとう。礼を言うくらいでは返せん恩じゃが…』


「ううん、ドラゴンさんが助かったならいいの!あと、私はサーラって名前があるからサーラって呼んでくれると嬉しいです。」


『ふむ。サーラ嬢ちゃんか…儂はバルディアンガルドじゃ。』


「バルデ?」


『…バルでよい、後、敬語も無しじゃ!…始祖というぐらいじゃから儂よりサーラ嬢ちゃんの方が歳上じゃろうに…』


ドラゴンさんもサリアさんも、そんなアホの子を見るような目で見ないでー!

うぅ、仕方ないじゃん!

元日本人だから横文字に慣れてないんだよー!!

あとバルさん!小声だったけどバッチリ聞こえたからね!

私の方が歳上かもしれないけどそれは地雷ですよ。

繊細?な乙女心に大ダメージだから!






















メリークリスマス!

読んでいただきありがとうございます。

今年もあと僅かです。

年末年始も更新しますのでよろしくお願いします!


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