四人目
今回少し短いです。
「俺はハイエルフなんだ。だから魔力には敏感でな、その膨大な魔力は上位の吸血鬼だと思ったのだが…違ったかな?」
思わず足を止めてしまった私に戸惑うように言葉を繋いだユリクさん。
なーるほど。
私が始祖だって知ってるわけじゃなかったんだね。
いや、別にバレてもいいんだけどさ、堅苦しいのは苦手だし、厄介なことになりたくはないから、ここは上位の吸血鬼ってことにしておいたほうがいいだろう。
「はい、まあそんな感じ?ですけど、こんなことくらいで同胞を呼ぶとかはないですよ?」
「そうか…安心した」
うん。ユリクさんはイイ人だし、吸血鬼が好戦的じゃないことをわかってもらえて何よりだ。
微笑みあいながら止めた足を動かそうとしたところで背後から声が掛かった。
「あら?もしかして‥…始祖様かしら?」
恐る恐る振り返ると、そこには儚げな美人さんが居ましたよ!
黒髪に銀の瞳、間違いなく同胞、同胞なんだけどさ…空気読んで貰えませんかね?!
今、上位の吸血鬼って誤魔化したのにソッコー始祖だってバレたっぽいんですけど!!
「やっぱりそうね!カルロスから魔導鏡で連絡を貰って会えるのを楽しみにしてたの!いやーん!見れば見るほど可愛いわ!どうしましょう!」
いや、どうもしなくていいから少し口を閉じてください。
カルロスって名前が出てきたってことはキラキラ王子の母親ってことで間違いないだろう。
さすが親子、マシンガントークがそっくりだ。
ユリクさんは呆然としながら「始祖だって?!まさか襲来…」とか物騒なこと言ってるし?
美人さんはそれを気にする様子もなく目を輝かせて私を見てキャイキャイ言ってるし?
なにこの混沌…。
あー、なんか色々台無しになったけど四人目見つけましたー。
てか今、気付いたんだけど…ハイエルフって偉いんじゃなかったっけ?
虎耳ジークさんがそんな事を言ってた気がするんだけど。
そんな人に始祖とかバレていいの?
え!?まさかまた厄介事ですか?
勘弁してよ…。