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古代遺跡?

「…てわけでな、この国の主都は森の中にあるんだ」


「へぇー、そうなんですか。ありがとうございました。じゃあ私はこれで!」


「おう!気をつけてな!」


宿屋を出た私は、今日も朝から村の入り口に立っていた虎耳ジークさんに説明を受けて空へと飛び立った。

ジークさんの話によると、どうやらサイラン国は国土が他の三国に比べて狭いらしい。

しかも、森の中に主都があるんだって!

それで魔物とか大丈夫なの?って思ったんだけど、

なんでも、この国はエルフの上位種であるハイエルフの人がおさめているらしくって魔物よけの強固な結界が張ってあるから平気なんだってさ。

ふーん、そうなんだーって思いながら聞いてたんだけど、村の近くに見えた森の中が主都だって聞いてビックリしたよ。

まさかこんな目と鼻の先に目的地があったなんて!


そう思ってたんだけどね、この森広すぎ…。

上空から見るとわかるけど…緑しか見えないもん。

主都っていうくらいだから大きいとは思ったんだけど、念のため見過ごさないように低空飛行してるからってのもあるんだろうけどさ。




(あ!あれかな?)


夕方になってやっと大きな町が見えてきた。

森の景色に飽きちゃってたから、すぐさま地上に降りましたよ?


(ここ、町?なんか古代遺跡って感じだなぁ…)


そんな印象を受けながら、そのまま町に入ろうとしたら入り口のお兄さんに止められました。


「おい!この町に入るなら身分証明を出せ!」


(何この人?何でこんな高圧的なわけ?耳が尖ってるからエルフだろうけど…)


「おい!聞こえてるのか!?身分証明を出せと言っている!」


はいはい、出しますよ。

なんかムカつくけど、それが町に入るルールなら仕方ないからね。

そう思いながらウエストポーチからギルドカードを出すと、奪うように取られた。


「ふんっ!最初から素直に出せばいいんだ…ったく‥‥ふん、吸血鬼かまあいい、よし入れ!」


ギルドカードを投げ返され、吸血鬼という種族を鼻で笑われ、しまいには背中をよろめくほどに強く押しながら町へと入れようとするお兄さんの態度に、私の何かがブチッと切れた。


「…ってかさ、あんた何な訳?人のギルドカード投げるわ吸血鬼馬鹿にするわ…ふざけんなよ!大体町の入り口でそんな態度とってたらこの国の品位が疑われるんじゃない?!」


まさか見た目子供な私にそんな事を言われるとは思わなかったのだろう。

赤い顔をして怒りを露にしているお兄さんを見て、私は思った。

あー、やっちまった…と。


「何だと!貴様!吸血鬼の分際でエルフである俺に逆らうというのか!」


やっちまったと思ったけど時すでに遅し。

完全に頭に血がのぼったお兄さんは今にも私に殴りかからんとしている。

てか吸血鬼の分際でって何よ?

え?もしかしてエルフのほうが偉いとかあるの?

だとしたら私、ヤバイよね…。

そんな事を考えていると町の中から声が掛けられた。


「何事だ!?」


出てきたのはこちらもエルフと思われる男性。

銀色の長髪に薄い緑の瞳が何となく高貴さを感じさせるイケメンだ。

眼福です。はい。

でも、あんまり耳が尖ってないような気がするなー。

ボーッと見ていると目があった。

笑顔で私のほうに近づいてきた男性は、なんとしゃがんで私に目線を合わせてくれましたよ!

はい!この人、イイ人決定!

だって子供の目線に合わせてくれる人はイイ人だって死んだお婆ちゃんが言ってたもん!


「お嬢さん、どうしたのかな?」


「きっ、騎士団長殿!なぜこのような所に…いえ、実はこの吸血鬼の子供が…」


「お前には聞いていない!」


なるほど。どうやらこの男性は騎士団長さんらしい。

焦りながらしどろもどろになって説明をしようとするお兄さんに一喝する姿も素敵です!

もっと言ってやってくださいって思ったけど、聞かれたことは答えなければと一部始終全部話しましたよ?

なんか話していくうちに騎士団長さんは顔が鋭くなってくし、お兄さんはどんどん顔色が悪くなってくけど気にしないもんねー。



あの後、騒ぎを聞き付けた騎士さんにお兄さんは連れていかれました。へっざまぁ!

私?私は今晩の宿を紹介してくれるっていうから騎士団長さんと一緒に町を歩いている。

私の歩幅に合わせてくれる所もポイント高しだ。


「済まなかったね。お嬢さん…ええと?」


「サーラです。」


「サーラさんか、僕はユリクという。あの者が失礼な事をしたようだ。」


「いえいえ!大丈夫ですから」


「だが、君は吸血鬼…しかもかなりの上位の者だろう?吸血鬼は結束が固いと聞く。そして吸血鬼であることを誇りに思っているとも…出来るならば一騎当千ともいわれる吸血鬼との争いは避けたいのだ。どうかこの事はここだけの話でおさめては貰えないだろうか?」


ユリクさんの言葉で、歩いていた私の足が止まる。

この人、今、何て言った?

私が吸血鬼、しかも始祖だってまさかバレてる?!

ギルドカードはお兄さんにしか見せていないし、名前と種族のところ以外は私が望まなければ見えないはずなのに。

それに吸血鬼がそんな強いなんて初耳だよ。

私の知ってる同胞なんて変人ばっかだよ?

あの人たちが強いって全く信じられないんだけど!



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