襲撃
私は今、男の子と一緒に黒ずくめの男たち3人に囲まれている。
なぜこうなったか?
そんなこと私が知りたいよ!
さっきまで仲良く「サーラだよ。僕のお名前は?」「ぼくはねー、シリウスっていうのー!5さいなのー!」なんて自己紹介し合って、和やかな雰囲気だったのにさ!
その空気をぶち壊すかのように、いきなり弓が飛んできたんだよね。
シリウス君に向かって。
思わず保護膜をかけて庇った私は正しかったはず。
だってそうしなきゃ、弓矢はシリウス君に刺さってただろうから。
(この黒ずくめ戦隊は一体何者なわけ?あ、そういえばキラキラ王子が暗殺とかなんか言ってたっけ?厄介な…)
弓矢を防がれたにも関わらず、動揺すらしない。
しかも、素早く私達を囲む統率のとれた動きは、明らかに素人ではないであろうと予測できる。
(あー、なんでこう私は厄介事に巻き込まれるかなー!)
そうなのだ。
襲撃者が素人であろうが無かろうが、そんなことはどうでもいい。
魔法で蹴散らせばすむ話だからね。
問題は、この世界に来てから厄介事ばかりが私に襲い掛かるということ。
こちとら元一般ピーポーな女子高生。
奴隷として売られそうになったり変態に好かれたり…。
私は盛大な溜め息をつきながら黒ずくめ戦隊たちに雷を落とした。
伸びている襲撃者達を魔力の縄で縛り、誰かが来るのを待つことにする。
落雷の音で誰か気付いてくれただろう。王城だし。
私が動いたらまた迷子になりかねない。
シリウス君をここに一人にしておく訳にもいかないしね。
バタバタとこちらへ近付いてくる足音を聞いて、私はホッと一息ついた。
「シリウス!?何があった?無事か!?」
「おにいさまー!あのね、おねぇちゃんがたすけてくれたの!だからだいじょうぶー!」
息を切らして走ってきたのは全部で5人。
全員が私を見て驚いている。
(げ!!キラキラ王子に近衛騎士's、アイザックまで!?)
見覚えのありすぎる5人の視線が痛い。ってか怖い。
私、逃げていいですか?
「はーなーしーてー!!逃げないから!」
私の両腕はガッチリホールドされてますよ。
キラキラ王子とアイザックによって。
二人とも笑顔が怖いです。
シリウス君は、あの後駆け付けた侍女さんだと思われる人に連れてかれました。
ああ、私の数少ない癒しが…。
黒ずくめ戦隊は近衛騎士'sに連行されてった。
これから取り調べが待ってるんだろうね。
自業自得だよ!
私の癒しの時間を邪魔した報いを受けるがいい!
それよりもさ…私、どこに連れてかれるんですか?
まさかの牢屋フラグですか?
シリウス君を守ったってことで帳消しにならないかな?