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イグスの洋服店

おはようございます。サーラです。

あの後、異世界にきて初めてのお泊まり会というイベントがあったわけだけど、記憶が曖昧ですよ。

もう頭の中がぐるぐるで。

せっかくの癒しを堪能しようと思ったのに…。

ミーナの家はギルドの寮だったんだけど、小綺麗で清潔感があったとだけ言っておこう。

ってか、それくらいしか覚えてない…ああ無念なり。


そんな私は今、町を散策中です。

時刻は午前8時。

仕事だっていうミーナと別れて、ブラブラとあてもなく歩いてるんだけどね。

アイザックさんとの一方的な約束の時間まで余裕があるから。

それにしても、こっちの世界の朝は早い。

もうほとんどの店が開いてるんだもん。

8時だよ?地球じゃ考えらんない!

その分、閉まるのも早いみたいだけどね。


そんなことを考えながら歩いていた私は一軒の洋服店の前で足を止めた。


(着替え…買っておこうかな…)


腐っても元女子高生。

お洒落に興味はある。

実際、昨日と今日、ミーナが着ていたワンピースはシンプルで可愛かった。

旅だからって動きやすい服を選んで着ている私だけど、昨日の高級レストランでは明らかに浮いてたような気がする。

アンディに貰ったヒラヒラドレスは着る気にはなれないけど、町用に洋服を買っておいておいた方がいいかもしれない。

そう思った私は洋服店の扉を開けた。


「あらあら!可愛らしいお客様ねぇん!洋服をお求めかしらん?」


「あ、は、はい。町用の洋服を…」


回れ右をしなかった自分を誉めてあげたい。

私の目の前にはヒラヒラのワンピースに身を包んだ背の高い筋肉質な男の人が立っている。

大事なことなのでもう一度言おう。男の人だ。


(まさかこの世界にもオカマさんがいるなんて…)


軽くカルチャーショックを受けている私を置いて、嬉々として洋服を選び出すオカマさん。

顎が青いのはご愛嬌なのだろうか?


「うん!あなたには赤がよく似合うわん!でも髪の色と同じ黒も捨てがたいわね!」


「いや、私はもう少し地味な色…」


「ダーメーよ!あなたの可愛さを最大限引き出すような色を選ばなきゃ!神への冒涜だわん!」


凄い勢いで否定されましたよ。

顔を近付けないで下さい!迫力が半端ないっす!

はぁ、もうこうなりゃ、どうにでもなぁれだ。



40分後、あれから着せ替え人形と化した私のライフはゼロだ。

やりきった感で満足気な顔をしている店員さんが憎い。


「これであなたも立派なレディねん!またいらっしゃい。次はもっと可愛くしてあげるわん!」


鏡の前に立たされ、私は目を見張る。

赤いフレアのノースリーブワンピースと、黒のぺったんこ靴は今まで着たことのあるどんな服よりも、私に馴染んでるような気がする。

悔しいけど腕は確からしい。

しかも、値段を聞いて更にビックリ!

黒いワンピースと肩掛けポシェットも一緒に買ったのに、何と銀貨4枚だよ?

驚いてオカマさんを見ると、ウィンクつきでこう言ってくれた。


「あなた可愛らしいからサービスよん!」


ありがとうございます。

でもウィンクは結構です。


洋服店を出た私はルンルン気分で町を歩く。

今買った洋服に身を包んで。

また来よう!って思いながら…。

店員さんはちょっとあれだけどね。


そんなとき、後ろから声がかかった。


「失礼、サーラ様ですか?」


その声に振り向いた私は、自分がいつの間にか冒険者ギルドの前にまで来てたことに気付く。


「お迎えにあがりました。」


ニッコリ笑うアイザックさん。

町の住民は国の重職につく有名人の登場にざわめきたっている。


あ、洋服買ったのが嬉しくて、この人の事すっかり忘れてたわ…。

それにしても‥…私、名前言ったっけ?














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