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はじめての魔法


藤崎 桜18才。

只今、今までの人生最大の危機にさらされております。


と、そんな軽口が頭の中で叩けるくらいには回復した精神力で今の現状とこれからすべきことを、決して良くはない頭をフル回転させて考える。



まず、ここは所謂異世界というところだ。

んで、私は何故か縮んでいる。そして縛られている…と。


さっきの男たちの会話から察するに奴隷として売られる寸前って訳だ。

隣の猫耳娘と一緒に。


それは何としても避けたい。


(異世界トリップってだけでも災難なのに、奴隷スタートとかどんな無理ゲーだよ)


と愚痴をこぼした所で状況が変わるわけではないことを知っている18才としては、これからどうするか?の方が重要である。


(先ずはこの体のスペックだよねぇ…)


自慢じゃないが、私は運動神経が特別優れているわけでもないし、剣道の達人でもなければ護身術を習っていたわけでもない。

はっきり言ってこの状況を打破出来るだけの力はない。


でも…落ち着いてきた今、不思議な力というか血の巡りとは違うものが、体の中を巡っているのがわかるのだ。


よくファンタジー小説で神様がチートを与えてくれるとか、そんな話がある。

私の場合、神様に会うというトリップでは一番重要なことをすっ飛ばしてここにいるのだから、そんなことには期待していない。

にしても、さっきの男たちの会話で出てきた『魔法』という言葉と、今まで生きていて感じられなかった体を巡る不思議な力が何か引っ掛かるのだ。


(これが魔力ってやつかな…いや、まさか…んー、でもこのままじゃ奴隷コースまっしぐらだし。試してみるかな…まずは縄を切ることから…えーっと力を指先に集めてー、ライター位の火を思い浮かべてー…)


ボワッ


「うわっ!ほんとに出た!っとやばっ!」


驚きすぎて思わず声をあげてしまった事にまずいと思いながら様子を伺うが、どうやら男たちには聞こえていなかったようだ。


(やばいやばい。とりあえず縄はどうにかなることがわかったけど…)


自分の体を縛っていた縄を火で焼き切って、体が自由になったところでチラリと猫耳娘を見る。


(まだ眠ってるみたいだけど…とりあえず縄だけでも外しておいてあげよう。)


猫耳娘の縄も焼き切ったが、新たな問題が出てきた。


(縄切ったのはいいけど逃げられんのかな?)


信じたくはないが、ここは異世界。

魔法があるなら、恐らく剣とかの武器を相手が携帯しているであろうことは予想がつく。

しかも、頭領と呼ばれていた男は眠りの魔法が使えるのだ。

他の魔法も使えると考えるべきだろう。


(片や私は魔法一年生だしなー。どうするか…)


先程使ったライター魔法。(勝手に命名)

あれくらいでは私の魔力と思われる力は全くと言っていいほど減っていない。

ならば、もっと大きな魔法を使えるのではないか?

そう考えもしたが、いかんせん、どれくらい魔力を込めればいいのかすら不明だ。


もし、もしもチートと言われるほどの力をこの体が有しているとすれば、この辺り一帯が焼け野原に…なんてこともあり得る。


(まぁ、売られるよりましか。)



藤崎 桜18才。

細かいことは気にしないが信条である。





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