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新しい家

「だーかーらー、私は昼間に出歩けないのが嫌で、同じ吸血鬼ならなんか知ってるんじゃないかと思って訪ねて来ただけなんだってば!もう帰してよ!」


「ですが、まだ魔法の使い方に不慣れなのでしょう?私がお教えします。」


あのあと、アンディの頬に盛大な平手打ちを食らわせた私は、もう小一時間程こんな会話を続けている。

最初は帝国魔術師団長という肩書きも手伝って敬語を使ってたけど、変態ロリコンだとわかった今となっては、完全にタメ語だ。なんだかしつこいし。


昼間に出歩くには魔力を身体に纏わせて日の光を遮断すれば良いのだとわかった今、これ以上ここに居る理由はない。

実際やってみたら出来たわけだし、早く帰って寝て、明日はギルドの依頼を受けたいのだ。

だってファンタジーの醍醐味だし。

薬草採取とかー、魔物討伐とか!


なのにアンディが帰してくれない。


どうしてこうなった?!


「よし、じゃあ週に一回アンディに魔法の使い方を教えてもらう。それじゃダメ?」


必殺上目遣いウルウル目攻撃!

ついでに小首も傾げてみる。


「うっ!それでしたらそうしましょう。週に一回必ず私の所に来るという約束ですからね?」


ふん。チョロい。

日本に居る時、男へのおねだりの仕方特集読んでて良かったわ。


「はいはーい、じゃ、私は帰るから。その辺の宿に泊まってるからねー。」


「えっ?宿に泊まるのですか?それなら私の別邸がありますからそちらに泊まってはいかがでしょう?私はそちらには殆ど行きませんし、好きに使って頂いて構いませんので。」


「え?ほんとに?いいの?」


「はい。掃除も行き届いてますし、何よりお金もかかりませんので」


「じゃあそうさせてもらおうかな。ありがとね。」


かなしいかな貧乏人の性ともいうのだろうか。

私はその提案に飛びついた。

ニヤリと笑ったアンディにも気付かずに…。




「こちらが団長の別邸となります。」


ルーセウスさんに案内されたのは城から少し歩いた場所にある一軒の豪邸だった。

アンディは大事な用事があるらしく、「急いで準備しなくては」と言いながら驚くくらいアッサリと私を解放してくれた。


それにしても私の目の前には別邸とは思えないほどの豪邸が鎮座している。

お金持ちって凄い。


「中には執事がおりますので、私はこの辺で失礼させていただきますね」


「あ、はい、送ってくれてありがとうございました。」


ルーセウスさんにお礼を言って豪邸の扉を開けると、老執事といった表現がぴったりのおじいさんがいた。


「はじめまして、お嬢様。わたくし、この屋敷の執事をしておりますセバスと申します。」


(うん。期待を裏切らない名前。なんか親近感を覚えるわー。)


「お嬢様?」


「あ、はい。私はサーラといいます。今日から宜しくお願いします。」


セバスさんと挨拶を交わし、寝室へと案内された私はベッドへとダイブした。


「あー、なんか今日は疲れた。寝よ。」


冒険者登録にミーナとの別れ、アンディという変態同族との出会い。

全てが驚きだった私はそのまま夢の中へと誘われていった。




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