アンディの気持ち
私はアンディ・コールセン。
帝国にて魔術師団長をつとめています。
歳は、恐らく2000歳と少しでしょうか?
数えていないので詳しくはわかりません。
父と母も吸血鬼でしたが、100年ほど前に寿命で亡くなりました。
父と母がいつも言っていた言葉。
『異なる場所から始祖がうまれ、私達はかつての栄華を取り戻す』
その言葉を信じ、旅に出て同胞を探しましたが、1000年掛けて見付けられた同胞はたったの3名。
私達の代で種族は滅びると誰もが言っていたのを今でも覚えています。
そういう私もそう思っていた一人。
残りの生を帝国に捧げようかと悩んでいたのです。
そう、8日ほど前までは。
あれは丁度8日前の夜だったでしょうか?
身体中の血液が沸騰するような不思議な感覚に襲われたのです。
私は戸惑いました。
吸血鬼にそんな病気など存在しません。
それどころか、吸血鬼は病気などしないのです。
死ぬのは寿命か殺された時だけ。
ならばこの感覚はなんなのか?
私はあらゆる書物を読みふけりました。
8日間一睡もせずに。
それでも原因はわかりませんでした。
そう、今日までは。
日に日に強くなっていく不思議な感覚に変化が起きたのは30分ほど前。
今まで感じたことのない悦びが体を支配したのです。
それと同時に私の部屋へ訪問者が現れました。
訪問者はルーセウス。
なんでも吸血鬼の少女が城門まで私を訪ねてきているとのことでした。
私はすぐさま部屋を飛び出していきたい衝動を抑え、ルーセウスに少女を部屋へ連れてくるようにと命じました。
くれぐれも粗相のないよう丁重にと。
帝国魔術師団長という肩書きの今、私が勝手に動くことは許されません。
そのことを今日という日ほどもどかしく思ったことはないかもしれません。
20分ほど経った頃でしょうか?
私の部屋の扉をノックする音が響いたのは。
ルーセウスに促され、部屋に入ってきた少女を見た私は魂が震えました。
なぜか懐かしく、そして心の底からいとおしいと思える少女。
その少女が『始祖』だとすぐに気付きました。
少女は私の気にあてられて気を失ってしまいましたが、ベッドに横たわる姿ですら堪らなくいとおしい。
こんなにも誰かを求めたことはありません。
目を覚ました始祖様は名前をサーラ様と仰るそうです。
名前をお呼び出来る誉れを与えられ、私は臣下の礼としてサーラ様の手の甲に口づけを落としました。
ですがサーラ様は何故かお怒りになっているようです。
私が知らない内に、何か失礼なことをしてしまったのでしょうか?
サーラ様が落ち着かれたら理由をお聞かせ頂いて謝らなくては。
ああ、それにしてもお怒りになっているサーラ様もいとおしい。
私は壊れてしまったのかもしれません。
サーラ様、私は貴女が欲しい。
やっと見つけたのです。
決して逃がしはいたしませんよ?
きゃーん、ヤンデレキャラ追加です。