三十六話
Side龍斗
今日千遥に会ったらびっくりした。いつもの野暮ったい眼鏡がないのだ。
よく眼鏡が無いとかわいい子って多いけど……、なんというか、千遥の場合はイケメン?
切れ長の目に鼻筋がスッとしていて優男みたいな?感じだ。
オシャレに目覚めたのかと聞いてみたら案の定、酷い罵声と共に否定されてしまった。
で、眼鏡を買いに行くらしいです。だから付いていくことにした。
前のは結構地味な眼鏡だったからもっとかわいいやつを選んであげたい。
そう思って色々選んであげていたのに……、全部却下されてしまった。
むぅぅ、結構大変だな。でも千遥はこういうのも似合うと思うけどけど……。前みたいな眼鏡を選ぼうとしているから頑張って説得していたのに……。
口論していると千遥に声をかける人がいた。
千遥と合コンで会ったらしい。……俺ほどではないけど結構男前だ。
早田と名乗り、いきなり千遥と会話をしている。
………気に食わない。
話している内容の中にやっと自分が口をはさむことが出来たと思ったら千遥の機嫌を少し損ねてしまった。
俺は本を読むより遊ぶほうが楽しいし。
とりあえず眼鏡選びを再開したら早田まで千遥の眼鏡を選んでる。
早田が選んだ眼鏡はうっすい色のもの。そんなものよりこっちの紫や銀のほうがいいだろ………。
進めようとしたら千遥は早田が選んだやつに決めてしまった。
ずるい、そいつより先に俺が選んであげているのに。
千遥が検査をしている間に「なぁ。」と、話しかけられる。
「お前は千遥ちゃんの……友達?」
「……認められてないけど友達だ。」
「そういうのって一方通行って言うよ。」
すっと目を細めて馬鹿にする様な声で言う。
コイツ………。
「早田はなんで千遥に馴れ馴れしいんだ。たかが合コンで会っただけの顔見知りだろ?」
「メアドを渡したんだ。まぁまだ連絡は無いが。」
「多分これから先も来ないぞ、千遥の性格なら家で破り捨てているハズだ。」
「………フフッ。」
「何笑っているんだ。」
「いや、失礼。最初に渡したら目の前で思いっきり破かれたよ。」
「じゃあ……、」
「だけどチャンスはまだまだある。まさに今なんか交換のチャンスだろう?眼鏡が出来上がるには時間がかかる。その間はどこかで時間を潰すだろう。」
くっ……、コイツ。
「えっと……「永島だ。」ああ、永島君。君は………。」
何かを言おうとして口を閉ざす。何を言おうとしたんだと睨んだら「戻ってきたよ。」と、千遥のほうを向いて言った。
千遥は時間を潰すために近くの喫茶店に行くみたい。