第14話 一時の帰還
今回はここで更新終了となります。なお本作の今後は現状未定となります。
なにぶん外交、政治をテーマとしているので現実の政治情勢を踏まえつつ、読者の方の意見も伺いたい。
ここまでの展開を踏まえて、こんな展開を見たい。
こんな題材を扱ってほしい。
素人の自分にどこまで扱えるかはわかりませんが、そんな御意見お待ちしています。
ゆっくりと後進するキスラ、司令艦の艦首が開き、キスラの艦後部を飲み込む。
二艦の各所が結合し、一隻の大型艦となる。
「接続完了」
「艦内の各部及び通信回線の接続確認」
「続けて護衛艦との接続作業開始」
二艦の周囲で警戒に当たっていた合計六隻の小型艦が巨大艦の側面や底部に結合、収容される。
「閣下、ご無事でなにより」
執務室にいたユリウスの端末に映る人物。
それは、司令艦の指揮を預かる鳥人の士官。
司令艦の役目が調査、研究であるため軍人と言うよりは研究所の所長といった方が良い。
「ああ。収集した情報の解析は進んでいるか?」
「はい、可能な限りまとめあげ、閣下の帰国までには間に合わせるつもりです」
「うむ。後で目を通させてもらおう」
「はい。それで閣下。今後はいかにされるおつもりですか?方針をお聞かせいただきたい」
ユリウスはうなずき、彼を執務室に招く。
「宇宙進出の可能性と原始核兵器の開発と実戦使用、いずれは起こりうると思っていたが、思っていた以上に早かった」
ユリウスはそう言うと用意していたカップにポットに満たされていた紅茶を注ぐ。
「ほほう、これはU.K.(英国)産ですか?それともバーラト(印度)?」
「いや、アマテラスだ」
その言葉に彼の手が止まる。
「テラ原産の品種改良の成果として送られてきたやつだ」
「いただきましょう」
鳥人の所長はカップを手にして嘴につける。
「ふむ、悪くはないですな。しかし、味と香りを楽しむ嗜好品としてはまだ物足りない。テラ産の代わりとはいきますまい」
「手厳しいな」
「職業柄ですよ」
そう言うと所長は傍らに用意されたミルクと砂糖をカップに投じる。
紅く澄んだ紅茶に白が混じる。
湯気がたつカップが置かれたテーブルを挟んで両者は会話を交わす。
「地球人の科学文明の発展速度はこちらの想定を越えておりましたな」
「特に実戦使用はな」
「閣下はやはりこの先地球人も核戦争を起こす可能性有りとお考えですか?」
ユリウスは即答しなかった。彼は澄んだ紅茶に満たされたカップに口をつけ、一息ついてから答える。
「残念ながら、な。
やはり人は失うべきでないものを失わなければ学ばないのだろう」
所長はうなずく。
「我々はそれに備えております」
「そう、核戦争で壊滅した文明を復興するために必要な記録、方法を我々は得ている。それが彼らとの取引材料となるのは事実だ。
だが、だからといってそれを望んでいるわけではない」
ユリウスの言葉に所長はうなずく。
「難しいところです。核戦争で壊滅してくれた方が我々にとっては御しやすいのですから」
「だが、対立と犠牲を恐れてなにもしなければいずれ彼らは宇宙に進出し、いずれ我々の勢力圏に踏み込んでくる。その前に先手をとって機先を制しておく必要がある」
「我が国の方針として、宇宙開発の初期段階であるロケットの実用化がその文明への接触の判断基準でしたな」
「そしてそのレベルの科学力があれば核兵器の開発もあり得る」
「はい。私も異星文明調査局の局員として多くの記録に接してきました。核戦争によって文明が灰塵と化した星と、そのありし日の姿の映像も知っております」
「そうだったな」
「はい」
二人は言葉を切るとテーブルにカップを置き、しばし無言となる。
そこに、
「閣下、全艦の結合完了しました。異常無し、いつでも発進できます」
司令室から連絡が来る。
ユリウスはうなずき、指示を下す。
「そうか、では、交代で乗組員の休養を行いつつポイント・ネモに向かう」
ポイント・ネモ、それはニュージーランドとチリの間の南太平洋に広がる、島一つ無い広大な海域の一点を指す名称。
ネモとは無人という意味のラテン語。
最も近い陸地からも2700キロ離れており、海の砂漠と呼ばれている。
また、人工衛星の墓場と言われ、役目を終えた衛星を落下させる地点でもある。
そこに彼らの海中拠点がある。
この地にて軍事作戦を行うには長大な補給線が必要となるだろう。
本国からイースター島、あるいはアルゼンチンやチリと言った南米大陸。
そこへまず艦隊を派遣し、作戦を遂行するための物資を輸送しなければならない、それも海路で。
空母艦載機以外の航空機も空中給油をして数千キロを飛ばなくてはならない。
海中、あるいは空中からの敵の驚異に備えながら数千キロの海路を行く輸送艦隊の護衛をする。
その負担は決して軽くはない。
何しろ、この広大な太平洋のどこに敵が潜んでいるか分からないのである。
核も無意味。彼ら自身の海を汚染するだけである。
軍事的に攻め落とすには経済的な負担が大きすぎる。
彼らがこの地を拠点として選んだのは、たとえ地球上で軍事衝突になる事態になったとしても大きな負担を地球側に強いるためである。
果たして地球側はこの負担に耐えられるだろうか?
それともゼフィルが地球の大国側の思惑に引き込まれてしまうのか。
続く。




