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偽りの悪旗~地球(テラ)再調査編~序章 深海に潜む異邦の巨艦  作者: 新景正虎


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12 ゼフィル本国からの要請

 ユリウスが執務室に戻り、端末を立ち上げると複数の電文メールが届いているのを確認する。


 ユリウスは内容を目に通すとそれらに優先順位をつけ、処理していたが


「各国が閣下の行方を探る動きが目立ってきております。

 本国へお戻りになった際には公の場に顔を出されて目をごまかす必要があるかと」


 その一文を見ると彼は一度深いため息をつくと端末の音声記録ソフトを起動させる。


「承知した、予定通りに帰国するので日程調整を頼む」


 そう言って文面を製作しながら、出力された立体映像の紙片を丁寧に折り畳んで紙飛行機を作り、部屋の片隅にあるモニター目掛けて放る。


 立体映像の出力可能範囲を越えたところで紙飛行機は消失し、ややあって受信を伝える音が鳴り響くが、すでにユリウスは別の文面を見ていた。


「アマテラスに現れた並行世界の日本からの転生者の数は少しずつ増加。閣下には一度足を運んでいただき、御意見を賜りたく思います」


 アマテラスとは地球から100光年離れている恒星系で地球を監視するゼフィルの拠点があり、地球からの移民が住んでいる。


 ユリウスは腕を組んでしばし考えるがそれにも返信を送る。


 そこに、


「どうかしたの?」


 フェリウルが戻ってくるとユリウスは肩をすくめる。


「一時帰国してものんびりできなさそうだ」


「あらら、人気者は辛いねぇ」


 簡潔な一言で事態を察したかフェリウルはのほほんと答える。


 と、そこに司令塔からの報告が入る。


「閣下」


「どうした?」


「日本の哨戒機と思われる電波を傍受。警戒体制へと移行します」


「ほう…」


「どうしますか?」


 ユリウスはフェリウルと視線を交わし、頷くと、


「いい機会だ。奴らの索敵能力を確かめたい、蜃気楼を展開したまま半潜して様子を探る」


「了解、休息中の乗員を甲板から一時退避させます」


「うむ」


 そこで司令塔とのやり取りは切れる。


「どうかな?」


「通常ならともかく、こちらは隠密状態だ。気付かないのが普通だろう」


「なら、警戒体制に移る必要あるかな?」


「念には念だ。日本の技術の進歩速度がこちらの予想を上回っている可能性もある」


「それを見極めると?」


 フェリウルの言葉にユリウスは頷く。


 ややあって司令塔からの報告が入る。


「哨戒機の反応遠ざかります。警戒体制解除の許可を」


 その報告にユリウスは困ったように頭を掻く。


「懸念は現実とならずか。良かろう、休息を再開してくれ」


「了解」


「わたし達も行かない?」


「そうだな、久々に日を浴びるか」


 そういうとユリウスは残った仕事を片付け、フェリウルと共に執務室をあとにする。


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