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017 自由と束縛と 2022年1月17日

 早朝の待合室。多くの人々が詰め掛けてワイワイと騒がしい。熱気と汗で雲が出来そうだ。


 今日はギルド加入希望者の適正検査の日。数ヶ月に一度、複数人纏めて行われている。フランツは丁度良いタイミングで街に訪れていた事になる。


「皆様おはようございます。加入説明書に書かれている番号でお呼びします。呼ばれた方から順番に各応接室へお入り下さい」


 職員の男性が丁寧にアナウンスを行った。集まった人々はソワソワしながら待っている。


「それでは1番の方。指定の応接室にお入り下さい」 

(呼ばれるまで時間がかかりそうだな。ダニーさんは、まだ来ていないか)


「2番の方。指定の応接室にお入り下さい」

(何だか緊張してきたな……)


 手が汗ばんできた。念の為もう一度説明書に目を通してみる。




 ※※※


自由職方組合 リーランズギルド

加入説明書


『会員加入のメリット』


☆組合が加入者の身元を保証します。

☆大陸全土で国境の移動時の身元確認が簡易になります。

☆大陸全土の支部でどこでも仕事の斡旋が受けられます。

☆提携の飲食店、宿等で幅広く割引サービスが受けられます。


『リーランズ心得』


一、安全第一で行動せよ

二、誠心誠意で遂行せよ

三、公序良俗を重んじよ

四、整理整頓を心掛けよ

五、報告連絡相談を怠るな


『注意事項』


・この説明書を含め、適性検査の内容は機密事項であり漏洩した場合は罪に問われます。

・加入後に支給される識別リングは外さないで下さい。

・三年毎に会員資格の更新が必要です。各国のギルド本部で更新手続きを行って下さい。

・通称又は偽名での登録も可能ですが、登録後の変更は出来ません。

・加入後に犯罪行為が確認された場合は、懸賞金がかけられ大陸全土において指名手配されます。


☆次回の適正検査は1月17日の朝八時からです。

 ギルド本部待合室にお集まり下さい。

☆あなたの呼出番号は【 403 】です。

 呼ばれましたら応接室【 C 】までお越し下さい。


 ※※※




(自由というより囚人に近いよな……)


 ギルドにある程度管理されるとは言え、基本的にどこで何をするのも自由なのは間違いない。これだけ多くの人が加入を目指すのは、やはりメリットが大きいからだろう。


 疑問に思いつつも、フランツは適性検査を受けるつもりだ。身元の保証という部分が大きい。逮捕勾留された場合に問答無用で死罪となる恐れが減るだろう。少しでも自分の話を聞き入れて貰えれば十分だとも考えていた。


「403番の方。指定の応接室へお入り下さい」

(思ったよりも早かったな……というか殆ど待たなかったぞ……?)


 フランツは訝しみながら【C】と貼り紙のされたドアを開いた。

 応接室に入ると、一人の人物が立っていて……


(なっ! これはッ‼)


 フランツは思わず身構えそうになるがグッと堪える。


「銀槍騎士団所属、フランツ・マークハリスだな」


 中にいたのは騎士服に身を包んだダニーこと、

 魔導騎士団特務隊隊長ダニエル・ウェイブスであった。


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