第九夜 「ガンディラ」
今回の表紙はAIがうまく線画を修正してくれなかったので手描きです。綺麗な線を引けるようになりたい…
ロベスとバードが息を切らして地面に座り込んでいると、眼鏡をかけた物腰柔らかな男が話しかけてきた。
「あのぉ… 大丈夫ですか…?」
「あ…?大丈夫そうに見えるか…?」
消耗しているバードは、男に八つ当たりする。
「…おい そんな言い方ないだろ」
ロベスがバードのきつい口調を咎めるが、男は気にしていなかった。
「い、いえ… 気にしないでください… それよりも、あなた達大丈夫ですか?西側から走ってくるのが見えたのですが…?もしかして誰かに追われているんですか…?」
男が心配そうに声をかける。
(こいつは一体何者だ…?マフィアには見えないが、繋がりが見えない以上俺たちの情報はあまり伝えるべきではないな… 適当にごまかすか…)
ロベスは警戒しているが、バードが勝手にベラベラと話し出す。
「そうなんだよ… 俺達ヒトラルタの連中に目をつけられててさ… お前ガンディラの一員か…?もしそうだとしたら、俺たちを仲間に入れてくれないか…?俺たちはきっとお前たちの役に立てる!」
「お、おい…!」
またヒトラルタの二の舞になるんじゃないかと心配していたロベスは焦ってバードを止めるが、男の反応は意外なものだった。
「ああ、そういうことか…!勿論です!ぜひ我々のボスに会ってみてください…!きっと歓迎してくれますよ!」
自分たちに何の疑念も抱かずにボスに合わせてくれるという男の心境を、ロベスは理解できなかった。
(な… 何なんだコイツ!?何でこんなにも純粋な目をしているんだ!?ここは牢獄だぞ…!?こいつだって望んでここに居る訳じゃないのに… 一体何でそこまで人を信じることができるんだ…!?クソッ…!調子狂うぜ…!)
男に導かれるまま、ロベス達は大きな木が一本生えた丘へ向かう。そこでロベス達は運命的な出会いをする。それは、後にこの世界を大きく覆すある一人の「賢者」との出会いだった。




