第二夜「バードを探せ!!」
アルーンとロベスは、かつての仲間である「バード」こと「シンドバード」を探すため、食堂へ向かった。
しかしそこでロベスはガラの悪そうな集団に絡まれてしまう。
「ヘヘヘ… お前、見ない顔だな… 新入りか? 俺がお前を守ってやるから、護身料として10000ゼニーよこしな…」
「んな金ねーよ… それに俺は今、混乱してて機嫌が悪いんだ… 頼むからどっか行ってくれ…」
ロベスはだるそうに不良たちをあしらう。しかし、それでは火に油を注ぐだけだった。
「テメェ… 口の利き方がなってねぇなあ… 決めた… 教育料100000ゼニー追加だ…」
「お前ら!」
「へい」
男が手下にロベスを殴らせようとするが、ロベスがカウンターを入れてこう言った。
「2度は言わねぇぞ… 失せろ…」
しかし、面子もあってか男たちは引き下がらなかった。
「テ、テメェ…!よくもやってくれたな…!!」
そんな男ともう一人の手下も殴り倒してロベスは、男の胸ぐらをつかんでこう脅した。
「今日中に『シンドバード』と言う名の男を見つけてここへ連れてこい… 『ロベスが呼んでいた』と言えばわかるはずだ… いいな…?今日中にだ… 一秒でも遅れたらテメェらの命はないと思え…!! わかったな!?」
ロベスの威圧感に押し負けた不良たちは、ロベスの言うことを聞くしかなかった。
「は、はい…!すみませんでしたァァ!!」
男たちが一目散に食堂を離れ、シンドバードを探しに行った後、アルーンがロベスに話しかける。
「ロベス… あまり目立つようなことはしないで… 貴方も知っての通り、ここに居るのはただの犯罪者たちだけじゃないわ… マフィアや能力者たちもたくさんいるのよ… 目をつけられたら、いくらあなたとはいえ危険だわ… いい?バードと合流するまでは絶対にさっきみたいな騒ぎは起こさないこと 約束して?」
アルーンの忠告を聞いたロベスは、申し訳なさそうに謝る。
「わかった… 約束するよ。 バードと会うまでは騒ぎは起こさない。心配させてごめんなアルーン…」
「気にしないで…」
「てか、さっき『能力者』って言ってたけど、それっていったい何なんだ?」
「そういえば能力者とマフィアの説明をしていなかったわね…」
「いい?『能力者』っていうのは、その名の通り、特別な能力を持つ者のことよ… 例えば、火を出せたり、空を飛べたり…」
アルーンの説明を聞いてロベスは興奮した。
「マジで!?そんな奴らが居んのかよ…!? てか空を飛べたら脱獄できるんじゃ…?」
「無理よ。監視塔から看守が見張っているから、空を飛んで脱獄しようものなら、即座に撃ち落されるわ…」
「そっか… ちなみになんだけどさ…?俺にも能力ってあったりするのかな…? 」
ちょっぴり恥ずかしそうに、ワクワクしながらロベスがアルーンに聞いたが、帰ってきたのは意外な答えだった。
「ないわ。能力はごくわずかの人間にしか発現しないの…」
それを聞いて悲しそうな顔をするロベスだったが、アルーンが付け加えてこういう。
「だけど、バードは能力者よ。あなたはバードの力を借りて、二人で戦っていたの。だから、バードに会えば、貴方もまた以前のように戦えるわ…」
「マジ!?」
一気にロベスの表情が明るくなった。
「ええ、本当よ」
「バードは『略奪者』の力を持つ特別な人間。そしてあなたは、略奪者が奪った能力を唯一付与できる『器』なの」
「器…」
ロベスは唾をのむ。
「ええ、そうよ… だから、今は一刻も早く、バードを見つけましょう!」
「おう!」
続く




