第一夜 -朔月- 今度はきっと
今回から第2章が始まります。ETERNAL FLAMEは3部構成なので、是非最終章までお付き合いください。
ヤマトは、草原の傍にある壁にもたれかかった状態で目が覚める。曇り空が何とも言えない虚しさを醸し出していた。
傍には謎のぼんやりと青白く発光した女が。女は18世紀後半のフランスの貴族のような服装をしていて、とても美しかった。
「おはよう」
女が目覚めたばかりのヤマトにそう言った。そのとたん、ヤマトの目から涙が流れ落ちる。
「よかった… もう逢えないかと… ──ジャンヌ…」
ヤマトは女に抱き着こうとしたが、するりと通り抜けてしまった。
地面に叩きつけられたヤマトは混乱する。そんなヤマトに追い打ちをかけるように、女が不安そうにこう言った。
「ジャンヌって 誰…?」
それを聞いたヤマトは尋ね帰す。
「え?」
「──わからない… だけど、すごく嬉しい気がするんだ… 」
ヤマトの言っていることがよくわからなかった女はきょとんとする。
「?」
「お前にもう2度と会えないような… そんな夢を見た気がしたんだ…」
「『お前』って言わないで」
女は少しムッとしている。
「ごめん… 名前が思い出せなくって…」
ヤマトは申し訳なさそうに謝った。
そんなヤマトの様子を心配する女。
「ロベス… あなたさっきから何を言っているの?」
「え?」
その言葉を聞いたヤマトの思考は停止した。どうやら自分はヤマトではなく「ロベス」で、王との戦いに敗れ、この刑務所に収監されたらしい。
混乱しているロベスに、アルーンが丁寧にこれまでのことを教える。
「──てことは、俺の名前はヤマトじゃなく「ロベス」で、お前は「アルーン」、俺にはたくさんの仲間がいたけど、王との戦いに敗れたせいでここにバラバラに収監されたってことか?」
「そうよ… 本当に覚えてないの?」
「ごめん…」
ロベスは申し訳なさそうに謝る。
「まあいいわ。そのうち記憶が戻るかもしれないし、とりあえず今日は「バード」達を探しましょ」
「バードって…?」
「貴方の相棒よ… いつも一緒にいたから、多分見ればすぐに記憶を取り戻すわ」
そう言ってロベスとアルーンは、刑務所の中にある食堂へと向かった。
続く




