第29話「さらば友よ」
漫画として週刊誌で連載したいので、作画担当をしてくださる方を募集中です。
001
人類を裏切り自分の前に立ちはだかるハナビの考えを、ツカサは理解できなかった。
「なぁ……お前は一体何を考えているんだ……?目的はなんだ……?なぜそこまでして俺たちの邪魔をするんだ?」
怒りや悲しみではなく、ただ理解できなかったソウスイはハナビに質問する。
早朝の静かな世界で、朝日に照らされた二人が対峙する。
「そうだな……俺は、ただ抗ってみたかったんだ──自分の『運命』に……」
「──くだらん……抗ってどうする……?それでお前は満足なのか?自分ではどうにもならないから運命というんだ。 鬼は人類の敵で仇だ。──無論、それに異を唱える者も敵だ……これが世界の真実で、どうにもならない運命なんだよ」
「そうだな……それでも──俺は、ヤマトを信じる」
ハナビが剣を構える。それをみてソウスイも仕方がなく剣を構え、襲い掛かる。
「ハァ……残念だ……──天国で俺の創る世界を見ていてくれ……『友』よ……!」
002
ハナビとツカサは剣の腕にほとんど差はなく、お互いのことを知り尽くしているため、なかなか決着がつかなかった。
「ツ……ツカサ様……!助太刀いたしましょうか……!?」
互いに消耗していく姿を見て、十影は助太刀を提案するが、ツカサが拒む。
「だめだ……!これは俺とこいつの問題だ……!俺が死ぬまで絶対に手を出すな……!!」
「は……はい……」
ソウスイの剣幕に圧倒された部下は、萎縮して下がる。
「ハァ……!ハァ……!──お前、全然衰えてないな……!」
ハナビも、ソウスイの予想外の強さに少し冷や汗をかいている。
「ハァ……!ハァ……!──当たり前だ……!」
それからさらに激しさを増し、どちらかが先に、あと一撃入れることができたら勝つ状況まで来た。
「なぁ……最後に一つだけいいか……?」
瀕死のハナビがソウスイに提案する。
「どうした……!」
「あいつらに……愛してるって伝えておいて欲しい……」
「なら……俺に勝つことだな……!」
003
激闘の末、勝ったのはソウスイだった。
ヒビの隙間から植物の生えたアスファルトの道路に、血まみれで仰向けで倒れ込むハナビ。
ほとんど虫の息だった。
「──さらば友よ……俺もすぐにお前の所へ行く……──その時はまた……昔のように、みんなで笑おう……」
そう言って戦友に別れを告げるソウスイの脳裏には、ハナビやミキオ、ゆきや様々な同期の面々が。彼らは学生時代からの知り合いで、鬼に日常を奪われる前から交友があったのだ。
(──ああ 久しぶりだな……この感じ……──ハァァ……長かったなあ……!けど……!──いい人生だった……!今日は死ぬにはいい日だ!俺もようやくお前らの所へ行けるよ……ミキオ……まつり……!)
こうして、藤原ヤマトの人生の兄貴分にして、憧れの存在、鬼丸ハナビの人生は幕を閉じた。
続く




