第28話「ETERNAL FLAME」
漫画として週刊誌で連載したいので、作画担当をしてくださる方を募集中です。
時刻は3時30分。まだ夜明けまでは少し時間がある。
満天の星空の下、誰も居ない荒廃した世界を、2人を乗せた軍用車が颯爽と走る。車のエンジン音だけが夜の世界に響き渡る。
「なあハナビ」
「どうした?」
「俺、今めっちゃ幸せだ…」
「どうした急に?」
突然突拍子もないことを言ったヤマトに対して、ハナビが笑いながらそう言った。
生暖かい、不思議な空気が世界に漂う。
「いや… なんてゆーかさ… ホント、ありがとうな!」
ヤマトが儚い笑顔でそう言った。まばゆい光を放つ満天の星空は、まるで二人を祝福しているかのようだった。
「気にすんなって…」
軽く受け流すハナビは言葉とは裏腹に、固い決心をしていた。
(違う… 逆だ… 逆なんだよ、ヤマト… 本当は、俺がお前にありがとうって言わなくちゃいけないんだ… あの日、お前が俺に勇気を与えてくれたんだ…! お前の勇気が、俺たちの世界を変えたんだ…! ──例え世界がお前に反対したとしても、俺だけはお前の味方でありたい! 藤原ヤマト…!お前はこの理不尽で残酷な世界を照らす『永遠の炎』だ! だから…! 今だけは…! 傍に居させて欲しいんだ…!)
それからしばらくが経過し鶴嘴にある扉までたどり着いた2人は、夜明け前の空の下で別れの言葉を交わす。
ヤマトが扉を開く直前、ハナビが口を開く。
「ヤマト…」
「どうしたんだよ… らしくねーぞ…」
言葉に詰まるハナビを微笑みながら見るヤマト。ヤマトはすでに心の準備ができているようだった。
「──ありがとう…!」
ハナビが涙を流しながらそう言った。
久しぶりにハナビの泣き顔を見たヤマトは、少し驚いたがすぐに気持ちを切り替えた。ハナビが自分の何に感謝をしているのかわからなかったが、感謝の気持ちは必ずしも他人に理解されるものではないことを知っていたヤマトは、素直に感謝を受け入れ、元気よく応えて見せる。
「おう!」
「じゃあ、行ってくるわ!」
始めて扉を開いた時とは違い、ヤマトの目には一点の曇りもなかった。
「ヤマト!! ──あんま無茶すんなよ?」
扉と開けようとするヤマトの背中に向かって、ハナビが上官として、人生の兄貴分として最後の忠告をした。
その言葉を聞いたヤマトは少し琴線が緩んだが、決して振り返ることはしなかった。そのかわり、ここ一番の大きな声で、自分を育ててくれた恩人への感謝の気持ちや、尊敬の念、別れの悲しみを込めて、返事をした。
「ああ!」
ヤマトが扉を開けて鬼の世界へと渡った後、ハナビは扉の前で泣き崩れる。
「どうか… 死なないでくれ…」
それからしばらくして朝日が昇るころ、ソウスイと部下を乗せた軍用車が現れる。
「動くな!爆師ハナビ!お前を反逆罪で逮捕する!」
ソウスイの部下が開口一番そう言った。
しかし、ソウスイがそれを咎める。
「待て! ハナビ… お前も俺を裏切るのか…」
ソウスイが残念そうな顔でそう言った。
しゃがみこんでいたハナビは腰を上げて刀を構える。
「悪いな、ソウスイ…!!ここは死んでも通さん!」