ETERNAL FLAME another story 第2話「それから」
鬼が扉を発見してから14年たった今でも、開拓者の帰りを待つものは少なくない。
何一つ成果が見えないのに、それでも鬼が希望を持ち続けているのは、異常気象が落ち着いてきたからである。開拓者が試練を順調にこなしているから、今の世界も少しずつ安定してきているのだと、そう思い込んでいるのだ。
しかし、ここで開拓をやめると、今までの犠牲や節制が無駄になると思っている者も多く、人口がどんどん減少している今でも、開拓者の志願制度は続いている。
ただ、村から男が完全にいなくなったわけではない。開拓者はあくまで「志願制」
体の悪い者や病気を患っている者、家業を手伝うため、この世界に残っている者など、様々な事情を持った男が村に残っている。「守り人」も、心身ともに健康だが、町の治安を守るため、この世界に残っているのだ。
とある村で扉が発見されたのを皮切りに、いくつかの町や村の近くで扉が発見されている。ヤマトとジャンヌがいる花舞う街の近くの山でも、「扉」が発見された。そして今でもとある村と同じように開拓者を募り、送り出している。鬼の世界の文明は人間の世界の文明と比べると、きわめて遅れていて、日本史で言うところの鎌倉時代くらいの文明レベルであるため、あまり情報交換などができないが、「扉」に関しては、遠方から開拓者に志願する者もいるくらい、広く知れ渡っている。それだけ極限状態だったのだ。しかし、今はほとんど伝統と化していて、異常気象の面影は感じられない。
「──わかっているだろうな…! 鬼丸ハナビ!!」
「ああ… わかってるよ…」
「あいつらを連れ帰るぞ…!!全面戦争だ!」
もうじき世界は終わりを迎える。




