表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
rough  作者: ayu
ETERNAL FLAME【第一章】梅田奪還作戦編(修正済み)
2/52

第2話 「こんな世界の片隅で」(修正済み)

瀕死のヤマトが数時間で薪割ができるレベルに回復したのは主人公補正なので気にしないでください。


 激闘の末、大阪駅及び梅田周辺の奪還に成功したヤマトたち守護警察は重症者を除いて、その日の夜を淀川の近くにある野営地で過ごすことに。テントの設営や薪割り、食材の調達などをして夜に備える。




「お前ら!サボってないでちゃんと働けよ?」

梅田奪還作戦で一緒に戦った他の班員たちと仲良くさぼっていたヤマトたちにミキオが渇を入れる。

「はいはい……」

(ふざけんな!! 数時間前まで病院で寝てたんだぞ俺は!? みんなアンタみたいな体力あると思うなよチクショー!)

不貞腐れながらも立ち上がるヤマトに、ギンが声をかける。

「ヤマト。火を起こしたいが薪が足りない。よければ薪割りをやってくれないか?」

「……やだよメンドくさい」

「……斧の使い方はわかるな?」

「……」


ほぼ強制的にだが、なんとか薪割を終えたヤマト。さすがに疲れたのか地面に腰を下ろす。髪は汗で濡れていて風呂上がりのようだ。

「ハァ……ハァ……薪割りってこんなに疲れんのか……」

「お疲れ」

全く労っているようには聞こえなかったが、ギンが冷えた水をヤマトに渡す。

「……ありがとう」

(……ったく! ちょっとくらいはありがたそうな顔しろよな……!マジで死ぬほど疲れたわ……)

「……お前は何してたんだよ」

ヤマトは少し反抗的な態度でギンに聞く。

「俺は狩りをしていた。巨大なクマが現れたんだ。少し手こずったが、仕留めたから今夜は宴だぞ」

「……マジか!!!」

(クソッ……! ギンのやつ、めちゃめちゃかっこいいじゃねーか……!!)

自分と同じかそれ以上に疲れているはずなのに、顔色一つ変えず淡々としているギンにヤマトは素直に憧れた。

「ギン君!ヤマト君!」

どこかから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「なのはちゃん!」

「なのはか」

衛生兵のなのはは、夕食の調理係だ。

「ギン君!その熊ギン君が狩ったの?」

「ああ」

「すごい……!今夜は御馳走だね!」

「そうだな」

ギンとなのはが楽しそうに話していて少し不満げなヤマト。

「ヤマト君もありがとう!薪割り大変だったでしょ」

「いやいや、こんなの大したことねーよ……」

なのはの労いの言葉に、顔が緩むヤマト。

「そうか、じゃあこんどは水の調達を頼めるか?」

ヤマトは全力で応える。

「死ね!」




その後、あたりが夕日で赤くなり、ヒグラシの鳴く声が聞こえる頃に、ある1人の女の隊員がヤマトに話しかける。

「君、ちょっといい?」

「ん?どうしたんだ?」

「君って、ハナビ班長と知り合いなの?」

ハナビと面識があると思われる隊員がヤマトに話しかける。

「ああ、一応そうだけど……」

なぜ「一応」と前置きしたのかはヤマトにもわからない。

「おぉ……!」

ヤマトが、なぜ彼女が感心しているのか理解できないでいると

「あ……ごめんごめん 自己紹介が遅れたね 私はハナビ班所属の砂浜ゆき! 班長が病院で君のことを気にかけてたから声かけちゃった……よろしくね!」

ゆきが名乗りを上げる。

「あぁ……俺はヤマト よろしく」

ゆきの満面の笑みに少し戸惑うヤマトだったが、ゆきは構わず質問攻めする。

「ハナビ班長って昔はどんな人だったの?」

「どんなって……別に今と変わんねーよ」

「そうなの?」

「ああ」

ヤマトは少しした後、付け加えて説明する。

「──責任感強くて、かっこつけで、お人好しで…...そのくせ全部1人で抱え込もうとして……いつも気が付くとボロボロなんだ……」

「……」

ゆきはやけに集中して聞いている。

「はは。班長のお人好しは昔からなんだね」

「ああ、アイツは昔っからホントお人好しで……」

「……あ」

ヤマトが何かを思い出すが、口に出すのをやめた。

「どうしたの?」

「いや、なんでもない……忘れてくれ」

しかし、ゆきはそれを見逃さなかった。




「当てようか?」

ゆきの瞳から光が消える。

「……え?」

「当てるって……何を」

ヤマトはゆきの雰囲気に動揺する。あたりは一層赤くなり、木々がざわめきだす。

「君が思ってること」

ゆきは何かを見透かしているような笑みを浮かべる。

「な……何も隠してなんk」

ゆきがヤマトの発言にかぶせてこう言う。

「──鬼丸ハナビは何かを隠している」

ヤマトは激しく動揺する。

「お前……いきなり何言ってんだよ……さすがに意味わかんないって……」

ヤマトは完全にペースを崩されていたが、ゆきは構わず続ける。

「14年前、この世界で『何か』が起きた……そして彼は、この世界の真実に限りなく近づいている……!!」

ゆきの言葉が文字通りヤマトの脳を揺らす。景色がゆがんで見える。ヤマトは意識を失いかけていた。

「それは、この世界の常識を覆しかねない世界の秘密!いいえ、世界を変える『()()()()()』よ!!──君も、本当は気づいているんじゃない?」

ゆきの言葉で、ヤマトは完全に意識を失う。




ヤマトは目が覚めると、いや、「覚めない夢」を見ていた。


それは、あまりにも現実とはかけ離れた幻想的な記憶だった。

何処までも続く深い青空と草原。18世紀後半のフランスを彷彿とさせるような煌びやかで荘厳な王宮。そして無秩序で喧騒を感じる古びた刑務所 ヤマトは完全にこの世界の虜になっていた。何も考えず、ただ両手を広げて感じていた。美しいこの世界の風を、音を、温もりを。

驚くほどに美しいこの世界は、夢と言うにはあまりにも細かく、現実と言うにはあまりにも幻想的だった。ヤマトは鳥となり、風となって世界を自由に駆け回った。しかし、どこかで誰かが呼んでいる気がしたその時、世界が移り変わった。


その世界は、近未来的でネオンが眩しい夜の街だった。そこではたくさんの身体改造をしたサイボーグのような者たちが犯罪に手を染めていて、高度な文明とは裏腹に、治安は最悪だった。少しすると、雨が止み、朝日が差し込む。ネオンの光で気が付かなかったが、よく見ると街は傷だらけで、ボロボロだった。金と暴力に支配されたその街の傷を朝日が照らしたとき、この世界からは想像もつかないような光景だが、神に救いを求める者たちがヤマトの目に映った。ただ幽霊のように眺めていたヤマトだったが、また誰かに呼ばれているような気がしたその時、ゆきの声がこだまする。


目を覚ますと元の世界に戻ってきたが、まだ少し意識がもうろうとしている。

「思い出せたかな?」

しかし、ゆきはそんなヤマトを気にせずに話し続ける。

「私は何も知らない。君のことも、ハナビのことも……」

「だけどね……ヤマト君。私にはわかるの……君は特別よ」

「──ハナビ以上にね……」

ゆきはそう呟いてどこかへと消えていった。



食後、完全に日が暮れて満天の星空が広がる野原に寝転がったヤマトは班の仲間に胸の内を明かす。


「あのさ……」

「ここだけの話……俺さ、凄ぇ死にたいって思ってたんだよな」

「……」

いつもとは違うヤマトの話し方に、班の全員が緊張する。

「何つーかさ、生きてる意味が分からないってゆうか、何しても満たされないってゆうか」

「鬼に家族も仲間も、土地も心も全部奪われたって思ってた」

「ただ復讐のためだけに生きていて、毎日が虚しかった。鬼を殺しても、失ったものはもう2度と手に入らないんだって思うと、本当に何のために生きてるのかわからなくなったんだ」

守護警察ならだれでも、ヤマトの気持ちは痛いほどわかる

「でも、今は違う。お前らに出会えた。護りたいって思える仲間ができた。帰りたいって思える場所ができた」

「こんな世界の片隅でいうのもなんだけどさ……」

「お前ら……大好きだ!」


ヤマトの意外な告白に、顔を赤らめながらも嬉しそうに答える仲間たち。

雲一つない大きな夜空に、満天の星が輝いている。


「──知ってるさ」

ミキオが誇らしげにみんなの心の声を代弁する。

今日は快晴。澄み切った夜空は彼らの心の様だ。


3話に続く

現在公開可能な情報 世界観編

─────────────────────────────────────

世界観

─────────────────────────────────────

作品概要

突如現れた侵略者「鬼」によって日本国民の99%が死亡した後の荒廃した日本が舞台のポストアポカリプス系作品。


イメージ 老朽化した建物 美しい自然 恐ろしい鬼 現代戦 ゴーストタウン 

モチーフ Osaka/Chernobyl/last of us / 終わりのセラフ/bio hazard/near automata /怪獣8号


世界観の具体例  大阪駅周辺の景観

阪神百貨店の壁の植物は無造作に生い茂り、阪急百貨店の上のビルは壁のガラスが壊れていて、土台のレンガも火事の焼け跡がある。

hepfive観覧車は倒壊して錆びている。老朽化した道路はひびが目立ち、錆びたガードレールには植物が絡みついている。

─────────────────────────────────────

作中設定

─────────────────────────────────────

京都府 日本の総人口約100万人を抱える、日本の首都にして最後の砦。大阪と奈良に隣接する都市は県境は厚い壁(約5m)で覆われている。 伏見稲荷大社に守護警察の本部がある。  


大阪府 日本で二番目の大都市だったが、鬼の侵略によって陥落してしまった。守護警察が西日本奪還のための足掛かりとしている最重要都市。


東京都 かつての日本の首都。鬼の侵略によって陥落してしまった。


守護警察 鬼の調査、討伐を目的とする政府公認の組織。総人口の約5%である5万人ほどが所属している。

志願制だが、鬼に復讐するためや、より良い暮らしを求めるために多くの人が入隊している。


守護警察は大きくわけて「壁内警察」と「壁外警察」の2つに分けられる。


壁内警察 壁内の治安を守る組織。人間同士のトラブルを解決するため、武力よりも、知性(法律の知識 判断力 論理的思考力)が求められる。京都府内にたくさんの交番がある。本部は壁外警察同様、伏見。


壁外警察 鬼に奪われた領土を奪還する組織。陸軍のみ存在する。

(空輸するための飛行機やヘリコプターなどは存在する)

京都府の壁際の区に駐在している兵士もいる。



この物語は壁外警察視点で描かれる。


守護警察の習慣

敬礼 hand salute

上官の呼び方 苗字➕階級

制服 

平常勤務服

戦闘服


装備品

ヘルメット(通信端末を搭載していて、自分の視界内にいない鬼の情報を共有することができる)(使用者 全員)(ただしギンのような主に銃を使う歩兵や衛生兵などはディスプレイ付きのものを使用する)


次世代ライフル(使用者 冷凍ギン)

・軽量化されている

・暗視機能あり

・グレネードランチャーと統合されている

・レーザー望遠機能あり

・カメラ付きで、捉えた映像はヘルメットのディスプレイに表示されるので遮蔽物からライフルだけで狙撃可能。


強化外骨格(使用者 大樹ミキオ)

・重装備を使用する歩兵を補助し、疲労を軽減する。

・関節の動きを損なわないので、ジャンプやほふく前進も可能


防弾ベスト

防刃カーゴパンツ

防刃ブーツ


陸軍の部隊一覧

戦闘部隊

(この部隊視点で物語は進む)

ミキオ班 ミキオ(近接) ヤマト(近接) ギン(遠距離) なのは(支援)

ハナビ班 ハナビ(近接) イバラ(近接) ゆき(遠距離) レモン(支援)etc…


守護警察史上最強部隊 第一空挺団 戦国ソウスイ 天内ツカサ 灯火ホムラ あと一人 


輸送部隊

医療部隊

土木部隊

化学部隊


梅田奪還における戦争後方地域 京橋

梅田奪還作戦における野営地 淀川


梅田奪還作戦 概要

日時 2020.8.6 10:00

目標 大阪駅および梅田周辺の鬼の殲滅

作戦成功後 梅田にある物資の回収と修理、梅田基地の建設、線路の整備、居住区域の拡大。

戦力 守護警察 5000人 (防壁のある区域の警備にあたっている者以外全員を派兵した)

流れ

1 空からの奇襲で主導権を握る

2軍用車に乗った陸軍が増援に来る。

3空挺部隊がとどめを刺す


指揮系統 戦国ゲンスイ

各下士官

兵士


歴史

2016.4月某日

藤原ヤマトが爆師ハナビに弟子入りする。

2016.4月某日

守護警察が梅田奪還作戦の計画を発表する。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ