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rough  作者: ayu
ETERNAL FLAME 【第一章】鬼の世界編 前編/Gilia:冥契 (修正済み)
17/52

第17話 「揺れ動く感情の狭間で part2」(修正済み)

漫画として週刊誌で連載したいので、作画担当をしてくださる方を募集中です。

ヤマトとギリアは山のふもとにある街へと向かった。

「なあギリア……」

「どうしたの?」

緩やかな山道を下山しながらヤマトがギリアに声をかける。

「ホントにこれで大丈夫なのか……?」

ヤマトは周りに「訳アリ」と言っているようなレベルのお粗末さのフードが心配で仕方なかった。

「大丈夫だよ!誰もそんなの気にしないって!」

ギリアはそういうが、どうにも信用できなかったヤマトは訝しげな表情をしながら呟く。

「ならいいけど……」

(頼むぞマジで……)


しばらくすると、遠くの方に街が見えた。

「お、あれって……」

山を下りてしばらく先の所に何かを見つけたヤマトが指をさす。

「そうだよヤマト、あれが私たちの街だよ!」




街と呼ぶには少し寂しい殺伐としたその場所はとても静かで、人気がほとんどしない形骸化したその景色はまるで、ヤマトがかつて居た人間の世界と同じようだった。


「どうしたの……?」

ギリアが、さっきまでフードのことばかり気にしていたヤマトが急に無口になったのをことに気付いて声をかける。

「──いや、なんてゆうか……」

ヤマトの目は街に向いていた。

「──綺麗だ」


「え?」

「き、綺麗って何が……!?」

ギリアが顔を赤らめて戸惑う。しかし、ヤマトはそんなギリアに一切目もくれずに寂れた街を見たままだった。

「……」

「ヤマト……?」

どこか様子のおかしいヤマトに気が付いたギリアが咄嗟に横を向くと、そこには涙を流しながら街を眺めているヤマトがいた。


「──ああいやわりぃ……何かちょっと俺がいた世界に似てるなって思ってさ……」

ギリアの視線に気が付いたヤマトはふと我に返った。

「そうなんだ……」

「まあ俺たちの世界はもうちょっと建物があったけどな……」

ヤマトは過去に居た世界を思い出す。

「そっか……」

ギリアは一瞬複雑そうな顔をしたが、気持ちを切り替えてヤマトに意外な言葉を言った。


「──でも、ここもいい場所でしょ」


「え?」


あっけにとられたような顔でヤマトがギリアの顔を見る。


「そう、思わない?」


ギリアの目はとても優しかった。


「──そうだな……いい場所だ!」

ヤマトがくしゃりと笑った。




「ねぇヤマト?この先に小さなお店があるの。よかったら一緒に見てみない?」

ギリアが向こうを指さす。

「ああ、そうだな」


2人が街を歩いていると、見知らぬ女が声をかけて来た。

「あらギリアちゃん」

「ウメさん!」

「見ない顔だけどその人は?」

少し年を取った中年の女の鬼が2人に話しかける。

「ああ、この人はヤマト、遠いところから来たんだって」

「ああ、どうも……」

女の鬼は珍しい来客に興味津々だった。

「へぇ……珍しいね……わざわざどうしてこんなところに?見ての通りここには何もないよ。男どもはほとんど開拓に行ったっきり帰ってこない。残された女子供と老人で何とか自給自足の暮らしをする、先の見えない『消えゆく街』さ……」

女の鬼は少し寂しそうにそう呟いた。

(消えゆく……街……?)

(あいつそんなところで暮らしてたのか……)

「どうしたんだい?」

物思いにふけるヤマトを女の鬼が心配する。


「ああいやなんでもない……それより今開拓っていったか……?どういうことだ?それ」

「驚いた……あんた何にも知らないのかい?」

女の鬼の反応に肝を冷やしたヤマトは取り乱す。

(あ……やべ)

「えーっと……」

「き、記憶がないんだよ!」

たじろぐヤマトにギリアが助け船を渡す。

「そうなのかい?」

「あ、ああ……昔の後遺症でところどころ記憶がないってゆうか……」

(ナイスギリア……!!)


「そうかい……なら今一度説明しておくけど、この都「舞京」は昔、それはそれは栄えていたんだよ。でもある日突然原因不明の異常気象が起きてね、農作物が一切育たなくなっちまったのさ。それからというもの、一気に町の治安は悪くなり、挙句の果てには仲間内で殺し合いをするなんて奴も現れたんだ……」

「……」

残酷な歴史にヤマトは言葉が出なかった。

「でもある日突然、街の大長老が『啓示』を受けたんだ……」

「啓示……?」

非科学的な発言が引っかかったヤマトは思わず声を漏らす。

「──そう。『啓示』さ……」

女の顔が神妙になる。

「今思えば、あれが始まりだったのかもしれないね……」



「大長老が啓示を受けたっていってね……街中の人間を集めてこういったんだ」

「『──見つけた。我らの道はそこにある』ってね……」

(道……?)

その言葉が引っ掛かったヤマトは顔が強張る。ギリアは少し俯いているようだった。

しかし、女は構わず話を続ける。

「それから続けてこういったんだ。今も覚えてる……『扉を開けろ。戦いに備えろ』ってね」

「それからはあっという間の出来事だったね。守り人たちが必死になって探した結果、見つかったのさ……」「──運命の、赤い「扉」がね……」

ヤマトの脳裏に、世界を交差する不思議な扉が浮かび上がった。

「けど、その扉は開かなかったんだよ。腕に自信のある男共が数人がかりでこじ開けようとしても、びくともしなかった」

(……!)

扉の意外な一面を知らなかったヤマトは少し驚きを見せた。

「それを大長老に伝えた翌日、また長老が『啓示』を受けたんだ」

「曰く『それを開けるは茨の道、永遠の炎がその身を焦がすまで襲い掛かるだろう』

ギリアは未だに俯いたままだ。まるで何かを後悔しているかのように。

「何のことか最初は全くわからなかった。……いや、わかりたくなかったのかもしれない」

「だけど、それを無視できる余裕は、もうなかったんだ……」

陰鬱な雰囲気がひしひしと伝わってきた。張り詰めたような静寂が痛いほど突き刺さる。

「誰かが言った。『──戦おう』」

「『たとえ思い描く未来ではなかったとしても、ここで諦めればすべてが終わる。覚悟を決めて、ともに世界を開拓しよう』ってね。」

全てを理解したヤマトは、様々な感情が入り混じった複雑な表情で話を最後まで聞いた。

「不思議なことに、扉はすっと開いたそうだ。まるで最初から鍵なんてなかったみたいにね……」

「それからというもの、町中の男が夢と現実を見て扉を開けたよ。中には泣く嫁と子供を振り払って街を出る者もいたね……やがて噂はとなりの街にも広がり、人から人へ、数えきれないほどの人間が扉を開けた……」

「その後どうなったのかはわからない……」

女は一瞬言葉に詰まったが、きもちをぐっとこらえて残酷な現実をヤマトに伝えた。

「──だけど、それから14年……!!誰一人帰ってきていないんだ……!!」

女の声は心なしか震えていた。

「わかるかい?この言葉の意味が……!!」

ヤマトの隣で、ギリアは静かに手で口を押えて涙をこらえる。

「私たちは負けたんだ……!!終わりなんだよこの街も……!!みんな消えゆく運命なんだ……!!」

女の目は悔し涙で溢れていた。

しばらくの気まずい静寂の後、落ち着いた女がヤマトに別れを告げる。

「──ごめんねいきなり取り乱して……」

「ああいや大丈夫だ……」

言葉ではそういうものの、ヤマトも少し気がめいっているようだった。

「こんな街だけど、まだ完全に人がいなくなったわけじゃないからね、よかったら気が済むまで見ってってきなよ……歓迎するよ」

女はそう言って2人の元を去っていた。



「ねぇヤマト……」

「なんだどうした?」

「さっきの話には続きがあるの……」

女が去った直後、ずっと俯いていたギリアがヤマトにおそるおそる声をかけた。

「続き……?」

「こんなこと言うとヤマトに嫌われちゃうかもしれないけど……隠すことはできないから伝えておくね……」

「大長老はね、私のおじいちゃんなの……」

「え……?」



気味の悪い風が二人の間をそっと駆け抜けた。

「本当は、啓示を受けたのは巫女である私なの……!!」

「ごめんねヤマト……!!あなたの世界をめちゃくちゃにした化け物たちは私たちの仲間で、その原因を作ったのは私なの……!!私が啓示を受けたから、あなたの世界は大変なことに……!!」

ギリアは涙ながらに告白する。

畳みかける衝撃の事実にヤマトは理解が追い付かなかった。

「……」

「ごめんなさい……!!」

涙を流して謝罪するギリアを見たヤマトはとっさにフォローした。

「大丈夫……ギリアが謝る事じゃねーよ……啓示を受けたのはギリアでも、その啓示を出したのは別の誰かだろ……?」

「──全部この世界が悪いんだ……誰も悪くねーよ……」

しかし、ギリアにとってそれは慰めにならなかった。

「でも……!!」

ヤマトの言葉を強く否定するギリア。それを聞いたヤマトは、忘れたはずの感情がおもわずにじみ出てしまった。

「──仕方なかったッッ……!!」

静かな街にヤマトの大声が響く。

「そうだろ……!?」

ヤマトの声は怒りで震えていた。

「ヤマト……」

ギリアの目は涙でいっぱいだった。

「──そう思わないと、俺はどうにかなっちまいそうだ……!!」

ヤマトの本音を聞いたギリアは、罪悪感と初めて見たヤマトの怒る姿に萎縮して返す言葉を失ってしまう。


「──悪ぃ忘れてくれ……ちょっと今調子悪くてイライラしてんだ……しばらくの間一人にさせてくれ」

ヤマトはそう言い放って一人でどこかへいってしまう。

声もかけられず、去り行くヤマトの背中を見ることしかできなかったギリアはその場で静かに泣き崩れた。




それからしばらく一人で街を行く当てもなく歩いていたヤマトはふと我に返り自らの軽率な行動を反省する。

(クソッ……!!マジで何やってんだ俺……!!)

(何で大声出してんだよ……!!別にギリアもここの連中も悪くはないだろ……!?生きるために仕方なくやったんだ……!!)

(俺達だって異形化したとはいえあいつらを虫けらみたいに罵って殺してきたんだ……!!別にあいつらが俺たちをどう思っていようが俺達には関係ないはずだろ……!?)

(──いやでもあいつらが俺の親も織姫も、ぎんもなのはちゃんもホムラもリュウセイも将軍も殺したんだ……!!それだけじゃねぇ……!!もっと大勢、たくさんの人を殺した……!!顔と名前は一致しなくても、俺たちは同じ塀の中で暮らす同胞みたいなもんだったろ……!?)

(それに、ここへ来たのだって復讐が目的だ……!!そうだ、俺たちは復讐しに来たんだ……!!)

しかし、過去の苦い記憶を思い出したヤマトは人間としてのケジメをつけようと画策する。

(生き残った俺があいつらの分まで鬼共を殺して……!!)



そう思ったのも束の間、皮肉にも鬼の世界で平和を知ったヤマトの心は潜在的にそれを否定していた。

(──ダメだ……!!できねぇ……!!)

(俺はもう戦いたくない……!!このまま誰も傷つけることなく平和に暮らしたい……!!)

(ここであいつらを殺して情報を持って帰っても生活は変わらない……いや、もっと貧しくなる……!)

ヤマトは冷静に2つの世界を天秤にかける。

(男はいないっていってたけど、一応守り人みたいなやつらはいるし、女だって男の代わりに力仕事をしてるんだ……一度戦闘が起きたらただじゃ済まねぇ……絶対に死人が出る……!!)

(俺はもう誰にも死んでほしくないし、血も見たくない……!!)

(それに、この世界を俺たちが開拓するってなったら相当な時間がかかる……!!荒廃しているとはいえ、文明の水準は俺達の世界の方が圧倒的に高い……!!)

(ここから資源を採集して向こうで加工するって可能性もゼロじゃねぇけど、全員の生活の質を高められるほどの資源を回収するのには時間がかかる……!!)

(だめだ……どう考えてもうまくいく気がしない……)

思考の末、ヤマトは意外なある結論に辿り着こうとする。

(──いっそこのままここで暮らすか……?素朴で簡素なところだけど、資源に関しては申し分ない……てゆうか完璧すぎるだろ……!!腹いっぱい新鮮な食べ物が食べれるってだけで十分だ……!!訓練もないし敵も居ない……!!ギリアだっている……!!)

(あ……ギリアとは今喧嘩中か……いや喧嘩ってゆうかなんだろう……よくわからねぇけどちょっと気まずいな……)

ふと思い出したつい先ほどの出来事。ヤマトは改めて自身の犯した過ちの大きさに気が付く。

(──いやけど謝ろう……!!もし俺が本当にここで生活するってなったらギリアは絶対に必要だろ……!!ちょっとでも良好な関係を築いておいたら、そこから出会いが広がるかもしれないだろ……!?)

(──マジで俺何やってんだ……!!感情に身を任せてギリアにひどい態度取っちまった……)

(──よし!謝ろう!!謝って許してもらおう!!それしかねぇ!!)

熟考の末出した結論。ヤマトはギリアに謝罪するために、歩いてきた道を引き返すことにした。


時は少し遡りギリア視点に移り変わる。

ギリアはヤマトが去った後、一人静かに泣いていた。

(ヤマト……どうしよう……もう会えないのかな……私が余計な事言ったから……)

後悔するたびに大粒の涙が零れ落ちていく。

(でも……隠すことはできないしああするしかなかった……)

(──私たちは、交わる事さえ許してくれないのかな……)


ギリアが悲しみに暮れている中、ヤマトはギリアの所へ戻る道中、ある意外な人物と邂逅することになる。


(クソ……結構時間かかるな……ギリアのやつまだ泣いてんのかな……いや別に泣いて欲しくはないけどさ……動き回られたら会うの時間かかるよな……一応俺よそ者だし、ぱっと見じゃ普通に不審者だよな……)

フードを被り速足で街を走るヤマトの姿は、お世辞にも街の住民とは言えなかった。

(面倒ごとは絶対に避けたい……ちょっと遠回りだけど、裏からぐるっと回ってもう一度入り口から入るか……!!本気で走ったらそこまで時間かかんねぇだろ!!)

そう言ってヤマトはUターンし、山道からギリアと来た街の入り口へ向かって走り出す。


(ハァ……ハァ……もうちょっとか……!?)

薄暗い山道を全速力で走るヤマトだったが、道中で目を疑うような発見をする。

(……!!──え、今のって……?)

全力疾走している体を急に止めたせいで体幹を崩して思わず転んでしまうヤマト。

しかし、信じられない者を見たヤマトは土を払うこともせずに急いで疑惑のある場所へと向かう。

(──え?)

「ホムラ……?」

ヤマトは生い茂る木々に身を隠すようにもたれかかる、瀕死の赤い短髪の男に声をかける。

「……?ハァ……ハァ……お前……ヤマトか……?」」

声から疲労の度合いが伝わってきた。走っている時はよく見えなかったが、よく見ると全身血だらけ土だらけで、このままだともって後数時間というような状態だった。

「ほ、本当にホムラか……?お前ッ……!!生きてッ……!!」

ヤマトの目から大粒の涙が零れ落ちた。

震えた声で泣きじゃくるヤマトにホムラは冷静に指示を出した。

「はは……どうやら俺はツイてるらしいな……泣いてるとこ悪ぃが、俺はもう助からない……もって後数時間ってところだ……自分で言うのも何だが、何で今の今まで生きてこられたのか自分でもよくわからねぇ……もう暑いのか寒いのかすらわかんねぇぐらいだ……」

「待ってろ……!!俺が今薬を持ってくるから……!!」

「──聞けヤマト……俺たちの任務はまだ終わってねぇ……」

「お前……何言って……」

「わかるだろヤマト……お前にしかできねぇんだ……」

「は……?」

ヤマトはホムラの言っていることが本当にわからなかった。しかし、ホムラは構わず話を続ける。

「ハァ……ハァ……お前がどういうからくりを使ったのかは知らんが、その様子だと鬼に助けてもらったみたいだな……」

ホムラに痛いところを突かれたヤマトは心が苦しくなる。

「……ああ、そうだよ」

「それでいい……さすがお前だ……」

しかし、ホムラの意外な反応にヤマトは混乱して思わず声を漏らしてしまう。

「え?」

「身の安全は最重要項目だからな……大の鬼嫌いのお前がそこまでするってのにはちと驚いたが、どうやら俺はお前のことを見くびっていたようだ……」

「よくやったヤマト……その様子だとこの世界のこともよく知れたようだな……それでいい……」

「お前が見て聞いたこと全部をソウスイさんに伝えろ……あの人なら将軍がいなくても守護警察をまとめられる……」

「でも……」

「いいんだ……」

「な、何がいいんだよ……」

ホムラの言いたいことがなんとなくわかったヤマトは再び不安で声が震える。

「俺のことはもういい……悔いがないというと嘘になるが、死ぬ前にお前に逢えてよかった……」

「は……?何言ってんだよお前……あと数時間は大丈夫じゃなかったのかよ……!?」

「いや、そのはずだったんだがな……急に眠くなってきたんだ……なんでだろうな……」

「おい……!!」

ホムラはみるみると衰弱していく。

「この数週間、ずっと生き延びることばかり考えていた……」

「死んだあいつらのためにも、何としてでも生きて、生き延びて報告するんだって……」

「そのつもりだったんだがな……体が思うように動かなかったんだ……」

「だから、ここで誰かが来るのをずっと待ってたんだ……」

「それが鬼だろうと人間だろうと、俺は驚くつもりはなかった……」

ホムラはかすれた声で言葉を紡ぐ。

「けど、まさかお前にまた逢えるとはな……さすがにこれはちょっと予想外だったな……」

「ヤマト……俺はもうだめだ……だから、絶対に生きて報告しろ……俺たちの死を無駄にするな……お前が次へと託すんだ……頼んだぞ、ヤマト……」

ホムラはそうして息を引き取った。まるで、最初からそこにいたかのように。

「おい……お前……冗談きついって……」

ヤマトはもうどうすればいいのかわからなくなっていた。

一度決めた決意が、こうもあっさりと揺らいでしまうことがヤマトは自分でも信じられなかった。

しかし、ヤマトには悲しみに暮れている時間はなかった。

(クソッ……!!何回目だこれ……!!)

あふれ出る気持ちを抑えて走り出す。

幾度となく経験してきたはずのこの気持ちだったが、それはいつまでたっても慣れられるものではなかった。


ドクドクと脈打つ鼓動と風切り音がヤマトの世界を騒ぎ立てる。

しばらくすると、最初にギリアときた街の入り口が見えてきた。

しかし、通りには人一人いなかった。

(ハァ……ハァ……!!クソ……!!居ねぇし……!!)

(もういいや……いったん帰ろう……)

さっきまでの場所にギリアがいなかったことで何かが吹っ切れたヤマトは、ギリアと2人で暮らしていた洞窟に一度帰ることにした。



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