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INFINITY MAGIA  作者: 二月ノ三日月
第一章【IGNITION】
21/26

第20話 魔導師における体術の重要性

 第一回魔法基礎学は恙なく終了した。

 一日目の初回の授業で、途中からアレストーリも授業に耳を傾けていたため、ビドーレスはホッと胸を撫で下ろして安堵に身を委ねていた。

 理由は幾つか存在する。

 一年A〜Dまでの四クラスで、最も危険視されているのが実はDクラスであり、中でも危険視されているのがジオとアレストーリの二名。

 講義を終了する鐘の音が学園全体に響いたところで、挨拶をして、現在板書を消している最中だった。

 魔法の才能や能力云々の前に、ジオという生徒の存在がより一層不思議に思えてきた。

 自分をも凌駕する圧倒的知識量、『魔』と『人』の二属性の性質を併せ持つ本来共存しないはずの魔力、堂々とした態度に加え、魔法使いとしての技量や指導力も備わっているため、学園に来た目的が本当に不明。

 見習いとして通う学園生としての全ての実力が、逸脱して乖離しているのは目に見えてハッキリしている。

 その彼等は講義終了後、ジオへ詰め寄っていた。

 特に三人がジオの周囲に集って、アレストーリも雑魚認定したジオに僅かに視線と耳を傾けていた。


「それで、聞かせてくれるかな?」

「お、おい近いって……」

「さっきの魔力について、あれは僕でも知ってる。魔物の魔石から出る反応だった」


 詰め寄ったギルベルトの発言が概ね正しいのは、勿論その通りである。

 黒い粒子が出てくるのは、魔物の魔力特有の反応。

 それが人体から発せられた意味が、理解不能であった。

 体内の丹田にある魔力核には、特段異常が見られないと感知していたビドーレスだったが、一瞬青年の体内魔力が不自然に揺らいでいるのを視た。


(い、今のは……)


 青年は何かを隠している。

 それは学園長も同様で、二人には何かしらの繋がりを孕んでいると側近たるビドーレスは薄々勘付く。

 しかし、どんな繋がりかは知らない。


「けど、それ以上に変化した後の魔力の方が不自然だ。変化前なら『魔石から取り出した魔力』って説明できるけど、変化後の魔力は違う。そもそも属性が無かった」

「せやせや。ジオ君、あれ何なん?」

「何なんだと聞かれても、アレが俺の本来の魔力だってだけの話だ」


 その発言によると、最初の黒い反応は不正していたのか、と捉えられる場合がある。

 青年には些事だったが、周囲から恨まれている以上、面倒事が起きそうだと教師は彼等を背に、聞き耳を立てる。


「俺の魔力は事故の影響で、属性の波長を失った。つまり属性が無い状態なんだ」

「えっと、どういう事でしょうか?」

「さっき魔力は波長で属性が変わるって説明したな。属性の波を形作るには一定以上の魔力が必要になるが、俺の場合は保有量が少なすぎるから、属性を作れないのさ」

「じゃあ、火属性魔法とかを発動させる時は?」

「その時は当然、属性波を作るよう術式を書き加えてる。だから一応魔法は扱える」


 それが真実、ならば何故最初に検知したのが魔獣から獲れる魔石に内包された魔力だったのか。

 彼が語っているのは大半を暈した状態での説明であり、魔力注入時の魔石を何処に忍ばせているのか、魔石から抽出される魔力の操作方法は何か、何故最初に魔石の魔力が水晶内で反応を示したのか、等々と多くの疑問が間欠泉の如く湧き出てくる。

 水晶に触れた瞬間、接続されているのは水晶から一番近くを内部循環する魔力、つまり本当ならジオ本人の魔力が先に水晶に流れ込むはずだった。

 にも関わらず、彼の魔力反応は『魔』が先で、『人』が後となっていた。

 魔石を使用した場合、『人』の魔力が先で、魔石に含まれる『魔』の魔力が後出しで、兆候見られたはず。


「言ったろ、俺は特殊だって。事故の影響で回路が焼き切れてるからな」


 それだけでは説明が不十分すぎる。

 青年は何かをひた隠しにしている、それも友人達にも言えない、重大な『何か』を。


「俺が言えるのはここまでだ。魔法使いを志すなら、残りは自分で解明しろ。これ以上は弱点に繋がりかねんし、俺も話す気は無い」

「ぶー、ケチッ!!」

「巫山戯るなニーナ、誰がケチだ」

「えぇやん、減るもんでもあらへんし」

「こっちは減るんだよ。これ以上追求するなら、お前の魔法体質を治す方法教えてやらないからな?」

「う〜ん、背に腹は変えられんもんやなぁ……しゃあないか。けど、自分で解明しろって言ったけど、好きに観察してもえぇんよね?」

「常識の範囲内でだったらな。と言うより、俺の体質は魔法を沢山勉強してからにしろ。先入観を自身で植え付けるのは良くない」


 あの集まりは極自然に発生したものだが、全員が何かしらの才覚を有している。

 ギルベルトは『剣術』、ルーテミシアは『光属性』、ニーナベルンは『固有』、アレストーリは『戦闘全般』、そしてジオルスタスは『知識』、である。

 その五人の関係性は、まだ浅い。

 出会って数日の人間関係でしかないが、今後の活動で彼等が中心的に纏まりを見せる、そんな気がしていたビドーレスだった。

 授業が終わり、今度は別の授業準備が成される。

 十分間のトイレ休憩と教室移動、それか教材準備となる中、ジオ達はお喋りという名の花を満開に咲き誇らせていると、不穏な呼び声が教室全体を静寂にさせた。


「おい下民!!」

「あ?」


 苛立ちや嫉妬、憤怒の塊を孕ませた怒声が、ジオ達へと響き届いた。

 下民、その中ではジオのみ。

 だから即座に音源たる場所へ振り返った下民は、高貴なる人間を視界に収めて、興味無さげな視線と表情を繕ったまま聞き手側の体勢に入る。

 どうせ碌な内容じゃない。

 そんな予想を腹に抱え、ジオは一人の生徒を対面に不遜な態度で立ち振る舞う。


「……俺に何か用でも?」


 用が無くとも話し掛けれる間柄、という関係性でもないため、そう尋ねるジオだったが、取り巻きを引き連れる男子生徒を彼は知らない。

 彼から見た特徴として、初めに蒼銀色の整った髪へと目線が向かう。

 前髪を掻き上げる動作が格好良いと思っているのだろうと、憐憫を孕んだ目を向けながら、その男、グラーク伯爵家の嫡男を見据える。

 貴族らしい豪奢な風貌。

 普通なら媚び諂うか、遠巻きに眺めるか、どちらか二択なのだが、青年は異なった態度を表現する。

 コイツ誰だっけ、と。

 自己紹介も適当に聞き流していた影響で、青年はフレストリッドの存在を認知していなかった。


「下民風情が、調子に乗るなよ!!」

「……は?」


 意味不明な文句を垂れ流すフレストリッドに、青年は不思議そうに表情を歪める。


「何言ってんだ、お前? 頭大丈夫か?」

「う、うるさい!! どうせ先程の属性も何が不正したんだろ! そうでなければ魔物の魔力なんて出てくるはずが無いからな!!」


 属性検査で出てきたジオの魔力属性が『魔』だったのに対して、一般常識を持つ伯爵家長男の彼は、ジオが魔石を駆使して不正したのだと見破った気でいた。

 しかし、それは間違いだ。

 何故なら、青年自身不正している訳ではないから。

 そこにある絡繰りを見破ってもいないのに、不正だ何だと騒ぎ立てる男に、ジオは切り返す。


「そうだな、なら俺がどう不正したか教えてくれよ」

「そ、それは……」

「明確な証拠も無いのに不正したって言われても、ただの妄言にしか聞こえない。お前が誰かは知らないが、そういうのは不正した証拠を提示した上で論破すべきだ。でないと、こうして反論されても言い返せない。違うか?」

「だ、黙れ!!」


 見事な切り返しに、吠えるしかできない貴族。

 下民風情に論破されている、という評判を落とすような光景が教室全体に映っていた。

 これは一触即発か、と思ったビドーレスだが、その前に貴族からの宣言を下民が受け取る。


「調子に乗っていられるのも今のうちだ! すぐに化けの皮を剥いでやる!! 貴様もだロールデンス!!」


 ジオとアレストーリの二人へ、ビシッと人差し指を突き付けていた。

 フレストリッドの語った『化けの皮』が意味するのは、ジオの実力が不正したための能力であり、知識も魔法によって精神内で通信して解答を秘密裏に教えていたのでは、そんな下衆の勘繰りを抱えていた。

 普通に長年の研究から導き出した勉学の賜物、たったそれだけの真実が曇って見えない。

 魔法知識に関して嘘を吐けない性格だから、青年は教師の問題提起に回答していただけで、調子に乗ったり知識披露して悦に浸る、等の他意は元より持っていない。

 言いたい事だけ言って帰る。

 ジオに突っ掛かった貴族生徒達が踵を返して、背中を向けて教室を出て行こうとする姿を捉える。


(フゥ……見守っていましたが、何事も無く事態は収拾しそうですね)


 問題児ながらに、彼等は場を弁える。

 そう教師時点では見えていたが、実際には違った。


(急に何だったんだ、あれ?)


 単に貴族の言動に対して、呼び止める時間すら思考に割いていただけで、化けの皮を剥ぐという意図をまるで理解できなかった。


「新手の詐欺か何かでしょうか?」

「いや、確実に宣戦布告されてたでしょ。貴族って結構面倒だからねぇ、ジオも気を付けなよ」

「あ、それ一昨日ウチが忠告しといたわ。けどジオ君、歩く度に蟻んこ気にすんのか? ってさ。貴族様を有象無象やって表現しとったなぁ」

「アハハ、ジオらしいね」


 三人の会話を眺めて、ジオは蚊帳の外で先程の貴族の言葉を反芻させていた。

 そんな彼に、狂犬が睥睨を繰り返す。

 そう、フレストリッドに暴力を振るわなかったのも、先程の授業で見せたジオの魔力核の仕組み原理が、自分では知識不足故に理解できない摩訶不思議なものだったから。

 だから、珍しく雑魚に興味が湧いた。


「さっきから何睨んでんだ、お前?」

「……テメェ、さっきの魔力は何なんだ? 丹田の魔力核に収まってる魔力量の、その数倍の魔力が瞬間的に生成されてやがった。どういう原理だ?」

「言ったろ、自分で解明しろってな」


 強者との戦闘を欲するアレストーリの、強者センサーが反応を見せる。

 ジオルスタスという男が持つ魔力を目にした瞬間、従来の魔力核に収まる分以上の魔力が瞬間生成されており、完璧に操作していた。

 濃密で鋭くて強靭な魔力、ジオを雑魚と一度認定したアレストーリだったが、その評価を書き換える必要が出てきた。

 だが、それ以上に現在では魔力は月並みの量。

 初級魔法二発撃てば気絶しそうな、極少量の魔力で生命が維持されている。

 魔法に造詣を深めてきた狂戦士だから、隣にいる青年の僅かな生成量しか能力の無い魔力核に、興味が唆られる。

 解明すれば、自分の魔法もより強くなる。

 そう思ったからだが、ジオは彼の隻眼を一瞥するだけで視線の意図を理解して、釘を刺しておく。


「止めとけ……お前の属性は『灰』、俺の使ってる魔力とは相性が悪い。解明しても応用は難しい」


 死んだ魚のような目が、青く揺れる隻眼を射抜いた。

 まるで全部見透かしている、と言わんばかりの瞳が相手の皺一つまでもを明確に映し出していた。


「その属性を持ってる奴は極めて珍しいが、魔法に対しては無敵だろう。けど、弱点は三つもある。それを克服する上で重要な要素に、俺の魔力核の絡繰りは無意味だ。知る必要はほぼ皆無と断言できる」

「……おい雑魚、何故俺様の属性を――」

「見れば分かる。ま、その属性は対魔導師戦闘で脅威的なまでに優位に立てるものだ。大事にしろよ」


 次は移動教室となるため、生徒達は徐々に一年D組の教室を離れていく。

 ジオも含めて四人が退室する中で、ただ一人、アレストーリだけは自分の属性魔力について、遠い昔の記憶へと触れていた。

 次第に授業開始の合図が奏でられ、その時にはもう、教室は蛻の殻となっていた。









 二時間目、三時間目、四時間目と時間が過ぎて、学生食堂で昼食を食べ終えた一同は現在、訓練施設で授業の講師を待っている状態だった。

 食後の運動、とも言える。

 指定ジャージに着替えた一同は、訓練場で待つ。

 かなりの広さを持つ訓練場は、天井ドームがガラス製となって太陽の仄かな熱を生徒達に浴びせに掛かる。

 お上りさんのように四方八方へと視線を彷徨わせて、周囲を興味深そうに見て回る者が若干二名。


「ジオにニーナちゃん、そんなにキョロキョロ見て回って、何してるの?」

「いやぁ、珍しい魔導具ばっかやもんで、ついな」

「俺は有能な実験た――コホン、人材が欲しいからな」

「欲望に忠実すぎるよ、君達……」


 本音がダダ漏れな人間と、殆ど漏れた人間の二人が、周囲へと意識を撒いていた。


「ニーナちゃんの意見は分かりますが、ジオ君は何故そんなにも人材を?」

「まぁ、俺の研究が身を結ぶかの一つの実験だな。魔法を学び続けてきて、それを他者に教えて実力を伸ばせるのか、ってとこか」


 アナストリアとの約束は、ジオ本人が大会出場して優勝に導く、或いは同等の存在にまで仲間を育成して優勝させるための一助とする。

 約束を果たすために、彼自身が出場するのが確実。

 しかも、今年の一年生はルグナー魔法学園以外でも多数の人材が発掘されているため、他に任せるより賢明である。

 だが、これ以上の悪目立ちを拒否したいのが、今現時点での彼の気持ち。


「その目標を確認する上で、九月の『魔導対抗競技祭(スペリオル)』は打って付けなんだ。一年生は新人戦ってのに出場できるらしいけど……」

「あ、それウチ知ってる。毎年盛り上がるんよなぁ」

「僕は実際に観戦した経験は無いけど、毎年テレビ中継で見てたよ」


 その大会には、全国へと中継されるもの。

 当然、無様な戦績を残せば語り継がれるのは汚名で、一方で有名な魔法使い達の目にも留まりやすいのが、その魔導対抗競技祭である。

 魔法協会の人間達、宮廷魔導師、各国から王族や重鎮達も招待されるため、その競技戦は自分を売り出す好機の場となっている。

 実際、ランドール等の人間達も、その大会で優勝やMVPを獲得したりして、一躍有名人になっていた。

 完全なる時の人達。

 そして新人戦は、意外にも盛り上がりを見せる。

 初々しさと、成長段階の過程での煌めきが、新人戦という場所に反映されて魔法同士の火花が散り、また新入生という立場が観客達に優勝選手を予想できないという点で、面白さが含まれている。

 就職関連でも、世界的に注目を集める。

 だが、出場校は限られているため予選から行われるが、弱小校では本戦には出場できない。


「ジオは出ないの?」


 ギルベルトにそう質問される。

 約一ヶ月前にルーテミシアからも同等の質問をされた彼だが、決まって答えは同じ。


「対抗戦には興味が無いんだ」

「何でさ? 試験の時も感じたんだけどさ、君の実力なら多くの人に注目されると思う。あの大会に出場して好成績を収めれば、引く手数多だ」

「注目されたところで、結局は面倒事が舞い込むだけだ。それにもう……戦うのは懲り懲りだ」

「へ?」


 最後の方は言葉尻を窄めたため、彼等の耳には入らなかったが、その本心が彼の内側に潜んでいる。

 戦い、疲弊し、失って、壊して……

 そして後悔の果てに、彼は当ても無く、彷徨い歩く一人旅を開始した。

 意味のある旅路だったのか、今でも分からない。

 それでも命令に従って戦い続けたから現在の結果が反映されて、仮初であろうとも勝ち取った平和を享受したいと願って、彼は戦場から身を引いた。

 生まれてからずっと、利用され続けた。

 その枷から解き放たれて、いきなり与えられた自由は、逆に不自由にも彼を縛るものとなった。

 旅で得られた自由は、自分の現時点までを回想させる一時に過ぎなかったが、それでも彼は、自分の生き方を振り返って無力さを痛感した。

 だから彼の三年間の旅は、再度魔法を極めるための、強くなって今度こそ全部を守るのだと、誓いを立てるためのものとなった。

 けど、戦場に居場所を求めている自分の本能と、戦いたくないという平和を願う理性が鬩ぎ合う。

 懲り懲りだと呟きながらも、何処かで自分に相応しい最期を、強者との血湧き肉躍る戦場を、少なからず心底で欲している自分がいた。

 ジオは、自分の欲求に気付いていながらも、それを理性という蓋で封じ込める。

 戦場に立つ意義も、責務も、必要性すら平和に奪われたから、この感情と欲求は排除すべきものだが、自分の人生全てだったから、中々に捨てられない。

 思った以上に、もどかしい。

 十数年もの時間の中で、沢山殺し続けた弊害。

 生命を奪い続けた者の苦悩と、手に付着したままの不可視の血痕は、戦争終結より三年では濯ぎ落とせずに、平和の中で禍根という形で手土産となった。

 戦いたい気持ち、戦いたくない気持ち。

 どちらが本物なのか……

 だから現代は、彼にとって息苦しいもの。

 その発散も含めて魔法研究に没頭している、とも無自覚ながらに彼自身が理解しているが、敢えて目を向けずに彼は返答の続きを贈る。


「戦いはあまり好きじゃないからな。適材適所、強くて自己顕示欲のある奴が出場すれば良い」

「そう……それは、とても残念だ」


 ギルベルトの考えとしては、大きな力を保持しているにも関わらず潜み続けるジオを、勿体無いと思っていた。

 力ある者は、その力に見合うだけの責任を持つ。

 しかし、それを振るわない。

 使い所を自ら切り捨てている行動だから、彼は青年の考えを理解するには、まだ未熟だった。


「なぁなぁ、これ、人数百人近くおらへん?」

「そう、ですね……Cクラスの方達でしょうか、AとB、CとDの生徒達がそれぞれ合同で行う授業があるとは聞きましたけど、昼食後の実戦訓練でいきなり合同とは思いませんでしたね」


 この訓練場には現在、九十人近くの生徒達が談笑に浸って教師を待っている。

 D組は合計五十人、C組も五十人。

 百人集まる授業はそうそう無いが、これは逆に理に適ったものでもある。


「いや、実戦訓練においては、教師達の判断は最適だ」

「どういう事や?」

「戦うには相手が必要だ。しかも今回の授業内容『戦闘基礎学/体術』だが、一人一人癖や行動も変わってくる。変則的な攻撃パターンを持つ奴もいるかもしれない。なるべく多くの経験を積ませたい場合は、同一人物との組み手より、多数を相手にする方が色んな経験ができて得なのさ」

「そ、そういう考え方もあるんだね……」

「剣術も同様だろう?」

「まぁ、確かに」

「だから今回の場合、CとDを合同で体術訓練を行わせるんだろう。ただの予想だが、教師達も一気に生徒を見れるし、スケジュールも合わせてるんだと思う」


 何せ一学年人数が二百人いる。

 そして授業数と科目が多いため、必然的に授業が他クラス他学年で噛み合う場合も起こる。

 だから、こうして合同授業を行ったりして、スケジュールを纏め上げた。

 生徒達にとっての必須科目は現段階では基礎の部分ばかりであるため、まだ覚える内容の難易度は低いが、学年が上がると専門科目の自由取得も可能になる。

 それに備えて、教師達は授業を組む。

 その苦労を知っている生徒は少ないが、ジオは学園長(アナストリア)の気苦労を知っている。


(まぁでも、他クラスと組む本当の理由は、多分別にあるんだろうな)


 この合同訓練の意義、それが何なのかは朧げながらも彼には理解できている。

 切磋琢磨する意味合いでも彼の考える予想は、この合同訓練という場において、正当なものだろう。

 だからCクラスと合同で訓練が行われる。


「あれ、そう言えば、アレス君がいないけど……」

「何処かで寝とるんちゃうかな?」

「うるせぇぞ、ニーナ。俺様はここだ」


 二人の背後に、突如として狂犬が仁王立ちしていた。

 ギルベルトよりも若干大きな体躯が、存在を誇示するように腕を組んで立ち並ぶ。

 貫禄ある威厳が、他を寄せ付けない。

 それはD以外のCクラスの生徒達も同様、アレストーリという暴力的な生徒がいるから、ギルベルトの寮仲間やジオの他クラスでの友人も、彼等に近付けずにいた。

 接近して目を付けられれば、殴り合いが勃発する。

 そんな予感めいた未来を想起させ、誰もが近寄らないよう配慮している。


「それよりも……おい雑魚、テメェ、俺と一対一(サシ)で勝負しやがれ」


 未だ他クラスの人材探しに没頭しているジオに、狂犬は噛み付いた。

 それは謂わば宣戦布告、フレストリッドとは違い、ジオルスタスという生徒を見極めるための勝負。

 しかし彼としては、相手を甚振る趣味は持っていない。


「何で?」

「俺様のためだ」


 アレストーリの入学目的、それは今よりも更に強くなるためである。

 実戦経験を積むため、また魔法の可能性を開くため、この学園に来たが、そんな彼にとって周囲の人間達は御し易い存在だと感じ取っていた。

 簡単に捻り潰せる。

 入学試験においても同様に、貴族教師相手に自分の実力を試す機会として、一方的に圧倒したが、貴族教師の余計な一言でキレ、半殺し以上に暴力を振るった。

 結局、大した戦闘力を持たなかった、と思い出す。

 魔法が無ければ、誰もが自分より下。

 自分の魔法が一切効かない時の、相手の顔は非常に滑稽で、退屈に押し潰される。

 誰と戦闘しても同じか、と思った矢先、午前の授業で見せたジオルスタスの増大した魔力を目にした。

 ある意味、天啓だったろう。

 もし自分もジオのように魔力を増やせたら、更に戦闘の幅が広がるだろうと考えて、見極める方針でいた。


「そうか、分かった」


 そう言ったジオは、彼に向き直る。

 そして、狂犬へと返答した。


「じゃあ、断る」

「……は?」


 言葉の意味が理解できず、彼は暫しの時間、脳裏で反芻させて必死に飲み込む。

 向けられた目は、冷めていた。

 アレストーリには、青年の瞳が自分を見据えていない、眼中に無いと言っているような気がして、冷徹な心に歪みが生じてしまう。

 何処かで見た『眼』をしていた。

 疲弊した兵士達のような、人を大量に虐殺して、心が擦り減った魔導師のような、そんな目。

 光を失った月瞳は、狂犬を映さない。

 濁り切ったから、心は疲労困憊だから、彼は対戦の申し込みを断った。

 戦う気が起こらない。

 そう口にした青年の言葉に被せるように、アレストーリは何かを言い返そうとする。


「おい――」


 しかし、その瞬間にタイミング良く、或いは悪く大鐘楼による授業開始のチャイムが鳴り渡った。

 訓練場に現れた一人の教師に視線が集う。

 ジオも、もうすでに狂犬から視線を外して、集合させた意識へと身体も向いていた。


「よし、全員集まってるな?」


 第一声に、強面の獅子たる教師ジャンが生徒達を見渡して、百人全員出席していると確認を取った。

 髭とオールバックにした茶色の髪は、さながら獅子の鬣を連想させる。

 発される威厳は、軍人で十年生きてきた貫禄で、百人いる生徒達の中でジオとアレストーリを除いた全員が勝負に挑んでも、ジャン一人、それも体術のみで圧勝できる。

 それだけの強さと肉体を兼ね備えている。

 魔法も同様に、軍に所属しているために無詠唱魔法も熟知している。

 そんな彼の、重々しい声が喉を振動させた。


「俺様はジャン、CとDの『戦闘基礎学』の大半を受け持っている者だ。この講義は主に『体術』に関する実戦演習を行うが、そうだな……」


 授業の説明を簡略化して何かを思案するジャンは、生徒達の知識量や実力を軽く見定める。

 授業開始第一声、そこから第二声第三声へ、言葉が繋がっていく。

 第一に全員の確認、第二に自己紹介と簡単な授業説明、次いで行われるのは三言目の質問、毎年ジャンが質問すべき内容を口にする。

 それは、本来なら、もう少し後に聞くべき内容。

 しかし今年は例年とは何かが異なる新入生達、だからジャンも遠慮せずに質問を投げ付ける。


「まず、何故魔導師に体術、或いは武器術が必要であるか、説明できる者はいるか?」


 これには明確な理由は存在しない。

 答えが無い問題ではあるが、逆に言い換えれば無限に解答を用意できる。

 魔導師に体術や武器を利用する術理が必要な、模範的な理由として挙げられるのは、大半の魔導師が遠距離戦闘に特化しているから。

 その理由を噛み砕いて言える生徒が一人、挙手して教師に当てられる。


「んじゃ、手を挙げた貴様。所属クラスと名前を言ってから説明してくれ」

「はい、ワタクシは一年Cクラスに所属している、クラージュ=オーランフェウスですわ。どうぞ、よしなに」


 カーテシーを披露して優雅にお辞儀をする淑女然とした魔導師は、特待生の一人であり、ジオがいなければ一位の座を手に入れていたはずの美少女。

 特に魔力量は新入生の中で、断トツ一位。

 試験時に、魔力測定器を完全破壊した唯一の少女、その彼女は特待生の証たる白い制服に袖を通し、青色の髪は純白の制服に似合っている。

 何処かの貴族令嬢を思わせる所作振り。

 しかし彼女も平民出であり、才能は他の貴族達よりも群を抜いている。

 だから、ジャンの質問にも的確に回答できる。


「魔導師に体術や武器術が必要となるのは、魔導師の殆どが遠距離を得意とする戦法だからですわ」

「ふむ、具体的に説明してみろ」

「はい。まず、基本的な戦闘領域は三つに分類されます。近接領域、中距離領域、そして遠距離領域、その中でも遠距離領域を得意とするのが我々魔導師なのですわ。対人戦において重要なのは間合い、詠唱している間に距離を詰められたら即死亡が確定しますわ。だから近接戦闘になった時に備えて必要となるのですわ」

「ふむ……まぁ、及第点だな」


 だが、無詠唱魔法が使えるなら、距離は関係無くなる。

 何故なら、タイムラグ無しで放てる魔法があれば、相手が距離を詰める前に殲滅も可能だからだ。

 そのための及第点が与えられる。

 特待生という存在も、結局はその程度かと、ジャンは軽く見積もりを図っていると、周囲の貴族の人間達が嘲笑を浮かべていた。

 ジャンにとって、貴族の厄介事は何より嫌いだった。

 同時に、他者を蹴落とすような連中に、教える価値すら無いと考えていた。

 悔しそうにする少女だが、ジャンの及第点の意味を知らないだけ。


「おい、今笑った奴等、全員前に出ろ」


 言い放った言葉に対して、ピタリと笑みが止む。

 そして当然、誰も前に出ようとしない。


「何だ? 馬鹿な笑み浮かべてるってんなら、俺様の質問に簡単に答えれるって事だよなぁ? なのに何で全員出てこねぇんだ?」


 そう質問するが、爛々と血走る目は一切笑わずに、冷酷にも殺意すら孕んでいる。

 怒られるから、という理由もある。

 しかし本当の理由としては、一歩前に出れば槍玉に挙げられると理解していたから、誰も前に出たがらない。


「別に満点の回答なんざ求めてねぇよ、及第点で充分だ。それを笑うってんなら、笑ったテメェ等全員、完璧に答えれんだろうなぁ?」


 教師の発言に論破できる者は誰一人としていない。

 まず相手は格上の存在であるし、言っている内容は全部が正しいから。

 その正論を並べられて、嘲笑を繕った者達は教師に睨まれて、心臓が多少跳ね上がる。

 威圧感が半端無い、そう思った矢先に、フッとジャンから敵意が消えた。


「いや、そうだよなぁ……誰も手ェ挙げらんねぇ臆病者だったな。特に下品に笑ってた奴等は全員が卑怯者の愚図と来たもんだ。だから入学試験如きで特待生にすらなれねぇ、落ちこぼればっかって訳だ。悪りぃ悪りぃ、答えれるはずもねぇわなぁ、落ちこぼれにゃ難題だったもんなぁ」


 無駄に相手を馬鹿にしたような、そんな挑発文句がツラツラと語られる。

 お前達は落ちこぼれ、何をしても駄目だ、と。

 臆病者で、卑怯者であるから、と。

 それは彼自身への戒めの言葉のように、元軍人という立場から同類たるジオには聞こえた。

 後悔を引き摺るような、罵倒の数々。

 己を罵っているように、彼には見えていた。


「愚図に教える程、俺様は暇じゃねぇ。授業の邪魔してぇんなら、演習場からとっとと出てけ。こっちも人数が減るのは有り難いしな」


 その言葉に従う者はいないが、ここでの生徒達の立ち位置は決まったも同然で、ジャンという男に対して生徒達ができるのは、質問に対する返答と指示に忠実に従うという二つのみだった。

 人は誰だって間違うから、ジャンは気にせず歎息を空中に溶かして、注意喚起を締め括る。


「俺様の授業では余計な事は考えるな、怪我の元だ。ここでは貴族も平民も下民も関係無ぇ。甘ったれた考えを今すぐ捨てろ。次は無いと思っておけ」


 殺意を瞳に滲ませて、ジャンは授業を再開させる。


「さて、先程の回答が及第点と言った理由を説明しようと思うんだが……いや、そうだな。ここは俺様を倒した奴等に聞いてみるのも一興だな。ギルベルト、ジオルスタス、どっちでも構わん。答えられるか?」


 そして矛先は、注目の的となっている二人へ。

 俺様を倒した、と自らが語る情報と、後に続いた二人の名前から周囲が騒然とする。

 百人もいる密集地帯で、二人に注目が集まっていく。

 ザワザワと会話が彼等の周りで発生して、そんな渦中にいる二人は互いに顔を見合わせてから、再度ジャンへと視線が動いていた。

 剣術を主に扱うギルベルトなら、近接戦闘が魔導師に必要な理由が分かるのではないか。

 それが生徒達の認識。

 しかし、そこに最下位の生徒であるジオの名前が含まれている事態に、疑惑が発生する。

 Cクラスはジオの魔力量の圧倒的少なさから、絶対に嘘だ、ギルベルトのお陰だろう、と勘繰り、一方でDクラスの生徒達は大半が似たような考え方をする。

 しかし少数ながら、何名かは本当に倒したのか、と半信半疑の気持ちが燻っていた。


「えっと、僕としては……体術や武器術が必要な理由は、確かに距離を詰められた時に対処するという彼女の意見には賛成ですし、その通りだと思います。けど、多分それだけじゃない」

「ほぅ、なら他に何があると?」

「魔法には無数に種類があります。普通の元素魔法以外にも、身体系統や近接特化の魔法も存在し、敵が使用してくる場合や魔法が使用不可になる場合、状況も魔法同様無数に考えられます。近接戦闘の技術を身に付けるのは、戦闘における手札を一つでも増やすため、僕はそう考えます」


 近接戦闘に特化した魔導師としての視点を持つギルベルトだから、そう答えられる。

 実際に一つの正解に辿り着いている、と言える。


「良いだろう、満点とは行かないが、九割方正解だ」

「九割、ですか……」

「あぁ、そうだ」


 まだ何か説明が不足している。

 状況は無数に存在して、そのために体術や武器術を覚える理由としては、正しい判断だろう。

 だが、それは全体からして九十(パーセント)、残りの十(パーセント)は回答されてない。


「残りの一割、どうだジオルスタス、分かるか?」


 そうして、大本命たるジオに回答権が届いた。

 その一割が何なのか、軍人視点から察して、ジオは敢えて何も口にしなかった。


(多分、魔力切れか、それに準ずる状況にならないための護身術、魔力回復までの繋ぎ、といった軍人的観点からなんだろうな)


 魔法戦闘は言ってしまえば、エネルギー運用、魔力配分で勝敗が決まる。

 いつ、何処で、どのタイミングで、どの魔法を展開するのか、魔力消費(コストパフォーマンス)に見合う魔法技能と使用する魔法の選択が、戦略において必要視されている。

 魔法を使うために、魔力という燃料は必須。

 魔法使用による消費量(コスト)の削減、数多くの研究者が行っている魔法の改良が、まさにそれ。

 しかし一朝一夕にいかないから、ギルベルトの語った九割の理由にプラスして、魔力回復や魔力運用による効率化を図る一環として、体術や武器術を学ぶ。

 戦闘を繰り広げている最中に魔力が切れた、といった状況になったとする。

 体術を学ぶ理由、魔法戦闘以外に敵が近接戦特化だった場合、魔導師が近接の術を持たなかったら一瞬で殺されてしまうから。

 魔法が無ければ一般人。

 それが魔導師だから、敵を確実に殺すためには、近接戦闘の心得も必要とされる。

 魔力切れによる弊害は、重度で気絶、軽度でも倦怠感や頭痛、眩暈、平衡感覚の喪失、嘔吐感に食欲低下、体力低下、人によって効果に差異が生じるが、身に降り掛かるのは、どれも戦闘時には不利なものばかり。

 それは鍛錬を積めば、自ずと克服する問題である。

 しかし、魔力が無くなる時もある。

 仮に体術を覚えていたら、敵が殺しに来た時に対処できるカードがある状態で、それを切って生命を守れる。

 無論、確実に守れる訳ではない。

 相手の力量にもよるから。

 だが体術によって相手を牽制しながら魔力回復に努め、虚を衝いて回復した魔法で最後敵を討った人間を、ジオは何人か見てきた。

 体術は、己を守る術だ。

 魔法に頼らずとも、足掻く術理であると理解した上で、ジオは何も語らない。


「……俺の言いたかった部分は、全部ギルベルトに言われたので、後は分かりません」

「本当か?」

「はい」


 得意のポーカーフェイスで誤魔化す。

 ジオの表情を観察するも眉一つすら動かさない彼に、ジャンは諦める。


「そうか、分かった。なら、これから学んでいけ」


 ジオから切った目線は生徒全員を映し、体術や武器術の重要性を説く。

 ジャンの説明を耳に、自分の仮説と同じだと認識する。

 魔力運用の重要性、それを理解させた上で学ばせる体術というのは中々に価値があり、魔法に頼りきりの学生達にとっては良い刺激剤となったに違いない。

 体術が如何に重要か、如何に自分達の身を守る盾となるか、それは取り組み次第。

 完璧に身に付けるには、最低でも三年は要する。

 しかも、毎日鍛錬しなければならない。

 多少齧った程度では、近接戦特化の相手に通用しないため、学ぶなら道場や専門的な場所が一番得策だ。


「ねぇジオ」

「何だ?」

「さっきの先生の質問、残りの一割について、本当に分からなかったのかい?」


 ジャンの説明を横に、友人へと聞いてみる。

 本当は全部分かってたのではないか、敢えて何も言わなかったのではないか、と。


「流石は体術専門の教師だな、盲点だったよ」

「……そっか」


 相手を褒め称える気の感じさせない適当な受け答えをした青年に対し、ギルベルトは今の言葉に感情が一切籠もっていないと知覚する。

 やはり、知っていた。

 その上で敢えて、何も言わなかった。

 周囲の目を考えたのか、単に悪目立ちしたくないだけか、それとも……


(ジオ、君は一体、何処まで考えてるんだい?)


 他人を見る目に富んだ青年でさえ、ジオルスタスの本質を見極めるには熟練度が足りなかった。

 まるで煙を掴むような、そんな感覚。

 手の隙間より擦り抜けて、彼は本性を隠し通す。


「ギルベルト、授業に集中したらどうだ?」

「う、うん」


 青年は剣聖の孫へ、視線すら向けずに注意を促す。

 自分達の生命を守る上で必要となるからこそ、彼等は授業に傾聴する。

 午後の体術訓練の授業は、まだ始まったばかりである。






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