現代人、常識を外れる。
前回は自己紹介しました。
移動した実技棟はいわゆる体育館のようなところだった。かなり強力な魔法も使えるよう、強化されていることがすぐに分かった。
「ここが実技棟だ。どんなに強力でもまぁ壊れることはないから安心してくれ。普通に体育館としても使えるからなー。」
壁には的がついている部分があったり、人形がスイッチで動くように作られている場所もあった。
「じゃあ、カーディルハルト。あの的に風の魔法で当ててくれ。」
と言われた俺は、距離を取り、遠くにある的に風の魔法を
「風よ 風よ 我が名はアルト 我が声に応じ 吹き荒れろ」
と詠唱した俺は的にあてた、はずだった。
しかし、その的は台ごと破壊され、なくなってしまった。
これはやりすぎた、と思っていたがその通りになった。
「おい、破壊しろとは言ってないぞ。まあいいか。じゃあ次、殿下。殿下は火の魔法であの的を狙ってください。」
「殿下って呼ばないでください、先生。俺がどうすればいいかわかんないじゃないですか。」
と言いながら魔法発動の準備をした。
そして、俺と同じように右手を前に出し、詠唱した。
「燃えろ 燃えろ 我が名はカイト 我が声に応じ 燃えろ」
詠唱が終わると魔法が発動し、火の玉が的に向かい、当たると同時にその的は焼失した。
「よし、ありがとうございます殿下。じゃあ、次の場所に移動するぞ、次はグラウンドだ。」
と言われて、次の場所へ向かった。
「ここがグラウンドだ。ここでは実技等で出来ないような魔法を使うんだ。それと基礎トレーニングにランニングなんてするときに使うんだ。じゃあ、みんなで一周ランニングして部活棟に行くぞ。」
と急に言われ先生が走り出した。
「俺たちも行くぞ。」
とカイトに言われみんなで走り出した。
「おりゃぁーーー!」
と言って飛び出したのはツルギだった。いくら一周といってもかなりの距離を走ることになる。それなのに飛び出していったのだ。
「いくらなんでもお前バカか!スピード落とせ!」
とナリトが止めるように声をかける。
それを聞いたツルギが
「一周だから大丈夫だよぉ~~~」と大声で叫んできた。
多分ここにいる全員が、こいつ大丈夫か…?と思っていることだろう。
そんなツルギが一周し終わってから1分ぐらい後にほかの全員が一周し終わった。その後、ツルギ、先生を含めた全員で部活棟に向かった。
部活棟は高いビルのようになっており、レンガ調の建物だった。
「ここが部活棟だ。各部活は階ごとに分かれていて、7個の部活動と空き階が2階ある。早速中に入ってみよう。入りたいところを探しながら見学してくれ。」
と言われて部活棟に入る。1階はロビーになっており、階段で各階に移動することになる。
「上から見るのと下から見るの、どっちがいいか?」
と聞かれたのだが、俺は
「下から行きましょう、上まで行ったら窓から魔法でおりましょう。」
と言ったらみんなに驚かれた。
「ふ、浮遊魔法が使えるのか!?」
と先生にも驚かれた。
「ええ、使えますけど…どうしたんですか…?」
と答えたが、皆が唖然としていてその姿を見た俺は逆にびっくりした。
「何でみなさんそんなに驚いているのですか…?」
「お前、もしかして天才級なのではないか…?浮遊魔法が使えるのはこのハイリアで1人しかいないんだぞ。」
とカイトに言われた。そんな発言だったが意外と納得した。なぜかと問われれば自分が転生者だからなんていうことは信じてもらえないだろうが、なんとなく、
「まぁ、両親の遺伝子が原因なんじゃないですか?そんな感じがします。」
かなり強い父と母のおかげで強力な力を手に入れ主席入学したのにまさかのその上だったとは驚きだった。
「まぁ、上まで行ってみなさん全員を下まで運べますからそれで大丈夫ですか、先生?」
と先生に聞いた俺は階段を上がる。
「お、おう…。」
と、無理やり感がちょっとあったが、とりあえず進むことになった。
次回はこの続きです。