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子爵令嬢ジュリエットの初恋(14)


「うるさいって言ってるだろ!」


 そんな私の言葉を聞いてか、ヴィクトール様はさらに怒りを露わにされる。その表情と様子は、切羽詰まっているようにも見えて。……それだけ、キャンディ様の愛を求めている……のだと思う。キャンディ様が、ヴィクトール様を愛することなどきっとないだろうに。


(クラウス様曰く、キャンディ様は一部の人以外は適当に扱っているみたいだし……)


 その一部の中に、ヴィクトール様は頑張っても含まれない。含まれているのはたった四人。王太子殿下やクラウス様。シュトラス公爵、バネルヴェルト公爵。その、四人だけ。


「ジュリエット嬢を始末すれば、俺はキャンディ様に必要とされるはずなんだ。だから……!」


 ヴィクトール様は、そんな言葉を叫ばれながら今度は私の首に手をかけ、力を込めてくる。く、苦しい……! 息が、吸えない。放して……!


(意識が、ぼんやりとしていく……)


 脳内がふらふらとして、茫然とすることしか出来ない。……私、ここで死ぬのだろうか。やっぱり、高望みなんてするものじゃなかったのかも、しれない。そう思い、私は生きるのを諦めてしまおうとした。


「クラウス! ここだ!」


 だけど、そんな声が聞こえて来て。その瞬間、ヴィクトール様の手が緩む。その後、私は解放されたからかその場で必死に肩を揺らし息を吸う。はぁはぁと呼吸は荒く、朦朧としている意識。しかし、そんな中でも誰かが駆け寄ってくるのだけは、分かった。


「大丈夫か?」

「……ヴァレリー、様」


 そこにいらっしゃったのは、王太子殿下の護衛であの時のパーティーで出逢った、ヴァレリー様。ヴァレリー様は私の背中を優しくさすってくださる。……それから、私の手足を拘束していた縄を解いてくださった。


「……なんで、ここが」

「捜索することになって、クラウスがこの付近だろうって。アイツ、こっそりと追跡魔法をつけていたらしい」

「……クラウス様、が」


 追跡魔法なんて、普通婚約者には使わない。それから、私はあまり長時間眠っていたわけではないらしい。比較的すぐ、目が覚めたのだろう。……しかし、何故クラウス様は私に追跡魔法など付けていたのだろうか? 訊いてはいけない気がするし、そのおかげで助かったので訊きはしないのだけれど。


「クソっ! あと少しだったのに……!」


 ヴィクトール様は、そう叫ばれると短剣をヴァレリー様に向けられる。危ない。そう、叫ぼうとしたけれど、ヴァレリー様は華麗に短剣を奪い取ると、そのままヴィクトール様を地面にたたきつける。さすがは、王太子殿下の護衛をされているだけはあって、圧倒的に強かった。


「ジュリエット嬢!」

「クラウス様!」


 そして、ヴァレリー様がヴィクトール様を捕えているとき、クラウス様が私の方に近づいてきてくださり……そのまま、強く抱きしめてくださった。その温もりは、とても安心できるもので。それから、先程まで命の危機に陥っていたからだろうか。安心して、涙がこぼれてしまった。


「ごめん、俺が真っ先に助けてられなくて……」

「い、いえ……そういうこと、は」


 ヴァレリー様は護衛。クラウス様は従者。その時点で、先にヴァレリー様が突入するのは当たり前だったのだろう。そう思い、私はたどたどしい手つきでクラウス様の背に腕を回した。クラウス様は「ごめん、ごめん」と繰り返してこられて、とても弱々しかった。


「クラウス様の所為じゃ、ありません……」

「でも……」


 そう、クラウス様の所為じゃない。悪いのは、ヴィクトール様で、キャンディ様なのだ。ヴィクトール様の方に少しだけ視線を向ければ、ヴィクトール様は地面に押さえつけられながらも憎々しいとばかりに私のことを睨みつけてこられていた。その目つきは、血走っていて。今までの、優しかったヴィクトール様の面影は、すでに消えていた。


「クラウス。俺はとりあえずこの男を連行する。お前はジュリエット嬢と一緒に、ゆっくりと帰ってこればいい」

「……ヴァレリーさん」

「ま、無事でよかったじゃねぇか。……ぎりぎりだったけれど、間に合ったんだしさ」


 ヴァレリー様は、そうおっしゃると最後に私の頭を軽くたたかれて、「怖かったよな」なんて言葉を零された。その後、ヴィクトール様を連行される。その横顔は、とても真剣で見惚れてしまいそうだった。


「……ジュリエット嬢。本当に、ごめん」

「も、もう謝らないでください……!」


 だけど、今はそんなことよりも。私から離れてくださらないクラウス様を、何とかしなくちゃ、いけない。そう思い、私は「……無事だったんです、から」と告げる。そして、出来る限りににっこりと笑った。……まぁ、涙が頬を伝っている時点で説得力なんて皆無だろうけれど。


「……ジュリエット嬢。俺、これからあの女と決着をつける。もう……ジュリエット嬢に攻撃なんて、出来ないように」


 クラウス様は、そうおっしゃるとほぼ同時に私の頭をなでてくださった。最後に「勇気を、ください」なんてほんわかと笑われたので、私は自らクラウス様の手を握った。

予定を変更して、最後の方はクラウス視点にすることにしました(´・ω・`)まぁ、もう少しジュリエット視点なんですけれど。

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悪役令嬢離縁表紙


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