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悪役令嬢のエピローグ(1)


☆☆


「デニスさん、調子はどうですか?」

「あぁ、アナスタシア様。いい感じですよ。アナスタシア様のおかげで、懐も潤ってきましたしね」

「そうですか。だったら、良かったです」


 あのトバイアスの街襲撃事件から一ヶ月後。街は順調に復旧し始めた。お兄様が資金の三分の二を出してくださったことや、マックスさんが手配してくれた工事関係の人が優秀だったこと。他、街の人たちが前向きに協力してくれたことが大きかった。


 そんな中、私は久々にダフィールド果樹園を訪れていた。果樹園を訪れると、デニスさんが楽しそうにりんごの木の手入れをしていて。その表情は前よりもずっと明るく、私は胸がスーッとするのを感じた。


「形の悪いりんごも、使い道が出来たので廃棄も減って本当に良かったですよ。これもそれも、アナスタシア様のおかげです」

「……いえ、違いますよ」


 私は、デニスさんの褒め言葉をただ苦笑を浮かべながら躱す。実際、私は道を示しただけなのだ。道を示した人よりも、行動してくれた人の方が偉いのは当然。だから、その褒め言葉は私に向けられるものじゃない。向けられるのならば――そう、デニスさん自身に向けた方が良いと思う。


「その褒め言葉は、ご自身に向けてください。私の夢物語のような計画に乗ってくださったのは、デニスさんなんですから」


 本当に今思えば、どれだけ拙い計画だよ、って突っ込みたくなるような計画だった。お兄様やマックスさんが直してくださったから、上手く行ったようなもの。私の力だけだったら、間違いなく失敗していた。


「……そう、ですか。アナスタシア様は謙虚ですね。貴女のようなお方がいれば、この国も安泰だ」

「……ははは」


 いや、なんだかどんどん私への評価が上がっていない……? そう思いながら、私は果樹園の仕事の手伝いをする孤児院にいた子たちを見つける。数人の男の子たちは、お菓子作りよりもその原材料の方に興味を持った結果、デニスさんのところで住み込みでお世話になっている。デニスさんもデニスさんで、若い力があっていいと快く受け入れてくれた。


「シルフィアさん! 見てみて! これ、僕が収穫したんだよ!」

「あっ、こら! 俺の方が先に見せるんだぞ!」

「……これ」


 そんな中、護衛としてついてきてくれたシルフィアさんが男の子たちにもみくちゃにされていた。……やっぱり、ああいうタイプがあの年頃には一番モテるのだろう。シルフィアさんは笑みを浮かべながら、その男の子たちを順番に褒めている。……男の子たちの恋、多分一生叶わないであろうことは、黙っておいた方が良いだろう。


 シルフィアさんはあの後無事マックスさんと恋仲になったそうだ。出会ったときに言っていた、「約束」とは「自分が一人前だと思うまで会わない」ということだったらしい。でも、今回のことでシルフィアさんの、周りからの評価がさらに上がったことや、仕事がひと段落したということからマックスさんに告白したそうだ。マックスさんもそれを快く受け入れてくれたらしい。……あの二人が、上手く行って良かったと思うわ。


「あっ、そう言えば。今度トバイアスの街でお祭りを開くことになったそうですね。アナスタシア様が、考えてくれたんでしょう?」

「まぁ、一応ですけれどね」

「その時は、是非ともこっちに来てくれるとみんな喜びます」


 デニスさんのそんな言葉に、私は「来れたら、いいんですけれどね」と苦笑を浮かべながら返す。正直、忙しかったら来ることが出来ない気もするけれど、それでも上手く時間を捻出していきたいと思う。だって、私が企画したお祭りだもの。……費用とかの計算はマックスさんが、計画の最終調整はお兄様が行ったということはこの際黙っておこう。どうやら、アナスタシアはお金関連の計算はあまり強くないらしい。だから、お金関連はお兄様とマックスさんに丸投げである。その分、資料や報告書作りで役に立っていると思うから……評価してほしいです、切実に。


「アナスタシア様」

「あら、ロイド。どうしたの?」

「いえ、王太子殿下が呼んでいますよ、と」


 そんな時、りんごを収穫する籠を抱えたロイドがそう言ってくる。今は丁度収穫時期ということもあり、ロイドはここで度々収穫を手伝っていた。……もちろん、メインは私の従者。ってか、そこまで働くなんて彼は一体いつ休んでいるのだろうか? そう問いかけたいけれど、そこは問いかけない方が良いだろう。彼には、秘密が多すぎる。


「分かったわ」


 だから、私はロイドにそれだけを告げてウィリアム様が待つ小屋に向かう。その途中、マックスさんやお兄様、ニーナにも会って少しだけ話をした。マックスさんは「シルフィアが迷惑をかけていませんか?」と心配していたのだけれど。これじゃあ、恋人同士といったよりも兄妹と言った方が似合いそうだ。……いや、正しくは師弟か。

エピローグは少し長くなりそうだったので、二つに分けました(n*´ω`*n)明日エピローグの2を掲載します。

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悪役令嬢離縁表紙イラスト

悪役令嬢離縁表紙


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