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悪役令嬢と狂気の声


 身体が、ふわふわとしている。一体、この感覚は何なのだろうか。そう思って瞳をゆっくりと開ければ、そこは虚無。つまりは何もなかった。ただ真っ黒な空間が広がり、私の不安を煽っていく。慌てて起き上がり周りを見渡すけれど、やはり何もない。……私、何をしていたっけ?


「あぁ、そうだ。光の魔力の使い過ぎで倒れて……」


 そう思ったら、この空間が夢なのだと理解した。しかし、夢にしては何と不気味な空間だろうか。夢とはもっときれいなものではないのだろうか。そんなことを考えながら、私は立ち上がる。


「……やっぱり、夢にしては不気味だし出来すぎている感じがするわ」


 そんなことを呟いて、手を伸ばせば何かによってその手が阻まれた。それはまるで、そこに壁かガラスがあるかのよう。後ろに、横に手を伸ばしても、阻まれる。上に手を伸ばしても、阻まれる。それはまるで、私自身がガラスケースか何かの中にいるような感覚だった。


(……倒れる前に感じた、あの不気味な力が関わっているの?)


 あの魔法陣は、明らかに異常な力が働いていた。触れただけでは何も感じなかったのに、魔力を注ぎ込もうとしたら精神的な不安を煽るような感覚になった。……あれは、精神干渉の魔法が関わっているに違いない。


(でも、本当に不気味。……まるで私、展示品みたい)


 四方をガラスに囲まれて、そんなことを思ってしまう。何度手を伸ばしても、手は阻まれる。どうすれば、良いのだろうか。


『――あっ、目が覚めたんだね』

「だれっ――!」


 そんな時、誰かの声が聞こえた気がして、辺りを見渡す。でも、誰もいない。だけど、声はする。不気味な笑い声。どこかで聞いたことがあるような声だけれど、上手く思い出せない。この声の主は、誰?


(キャンディ様ではないわ。だって、男性の声だもの)


 その声のトーンからして、女性ということはありえないだろう。そう思って私は静かに「誰なの?」ともう一度問いかける。すると「さぁね、まだ知らなくてもいいんじゃないかな」なんて言葉が返ってくる。……まだ、知らなくてもいいって、なんて無責任な言葉なのだろうか。


『まぁ、一つだけ言えることがあるよ。俺はね――アナスタシアに毒を盛った犯人なんだ』


 けらけらと笑いながら、そんな声が上から降ってくる。だから、私は上を向くけれどやはり何もない。……しかし、毒を盛った犯人? 記憶に作用するという、あの猛毒を? 一体、何の目的で・


「……貴方、何の目的でそんなことをしたのよ」


 私が上を向いてそう投げかければ、その声はまた笑いだす。……脳に響く、不気味な笑い声。なんというか、人の不安を煽るのが上手いというか。


「それに、貴方が黒幕なの? もしもそうだとして、貴方がキャンディ様を操っていると受け取ってもいいの?」


 そう続けて問いかければ、その笑い声は一旦止んだ。それから数秒後「……そうだね」なんて明るい声でそんな言葉が返ってきた。やっぱり、キャンディ様の裏には誰かがいたのか。


『俺はこの一連の不気味な事件の黒幕だよ。キャンディ・シャイドルも宰相たちも、全て俺の手のひらの上で踊っているだけ』

「なんで、そんなことをするの?」

『なんでって……そりゃあ、楽しいから?』


 その声の主は、けらけらと笑いながらそんなことをあっけらかんという。楽しいからって……。楽しいからって、人に毒を盛ったりするの? そう思って上を睨み続けていれば、その声は「あっ、そうだ。あと一つ」なんて言う。


『でもさ、毒を盛ったのは楽しいからってだけじゃないよ。確かに混乱の渦に人を陥れたりするのは楽しいけれど、アナスタシアに毒を盛ったのはまた別の目的。俺ね――アナスタシアっていう女性が、欲しいんだ』

「――はぁ?」


 何を、言っているの? 意味が分からない。そう思って私が間抜けな声をあげると、その声の主は「ずっと、好きだったのにね」なんて言い出す。


『ずっとずーっと、俺はアナスタシア・シュトラスって言う女性が好きだった。なのに、選ばれたのは王太子のウィリアム・ベル・キストラー。嫌になっちゃってさ、だったら全部滅茶苦茶にして手に入れちゃおうって思ったんだ』

「め、滅茶苦茶にって……」

『キャンディ・シャイドルを使っているのは、そっちの方が都合がいいからだよ。だって、俺が自ら動かなくても済むからね。あと、宰相たちを使っているのも、そっちに意識が傾けば些細なことなんて気にならなくなるかなぁって』


 その声のその言葉を最後まで聞いた時、私は酷い眠気に襲われてしまう。……ダメだ。このままだと、また眠ってしまう――……!


『あ、最後に。俺はね――アナスタシアのずっと近くに、いるからね。毒が思わぬ方向に作用しちゃったみたいだけれど、それでも手に入れるためならば手段なんて選んでられないからさ』


 ――俺の元に、堕ちてきてよ。アナスタシア・ベル・キストラー。


 そんな声とほぼ同時に――私は、また眠りに落ちてしまった。

本日はこの時間に更新します(n*´ω`*n)総合評価5000超えました。誠にありがとうございますm(_ _"m)

(それから、本日ジャンル別転生転移ランキングで7位におりました! 誠にありがとうございます!)


これで今年の更新は終了です。また来年も、よろしくお願いいたしますm(_ _"m)

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悪役令嬢離縁表紙イラスト

悪役令嬢離縁表紙


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