第四章 ハント~魔女と親友~
グリーン伯爵邸では見学者たちがのんびりとお茶と軽食で談笑していた。
「一体、誰が一番多くキツネを捕えますかな?」
「アッシャー王子はなかなかの手練れと聞きますよ」
「いや、ライアン王子も素晴らしいハンターだ」
「あら、アタシは、マヤを応援しますわ」
シャーロットはきびきびと使用人たちに指示を出しながら、話題に入っていった。
「ああ、確かグリーン伯爵夫人はマヤ殿とご学友でしたな」
「ええ。今の時代、殿方だけが活躍するなんてナンセンスですわ。並みいる殿方を出し抜いて、女性が名誉を勝ち取るなんて痛快じゃありません?」
シャーロットの赤い唇がにっこりと微笑みの形をかたどった。その会話を聞きながらレイラは優雅に紅茶を一口飲んだ。
「お楽しみいただいています?レイラ様」
「まぁ、グリーン伯爵夫人。素晴らしいお屋敷ですわね。ここから見える風景もとてものどかで素敵。わたくし、こちらに来てまだ仲の良いお友達がおりませんの。仲良くして頂けるかしら?」
そう言ってレイラは妖精のように愛らしい仕草でシャーロットに握手を求めてきた。シャーロットはその手を取らずに微笑んだ。
「ごめんなさい。アタシ、大切な友人から忠告を受けておりますの。『大事なものを守りたいなら、初対面の方との挨拶に気を付けて』と。また、来年までこちらにいらっしゃるようでしたら夜会でお会いしましょう」
「マヤ様は良いご友人をお持ちですね。羨ましい限りですわ」
「彼女とは学生時代からの親友ですの。こちらに来たばかりのころはレイラ様とは大違いで全くレディとしての素養をおよそ何も持ち合わせていない子でしたわ。でも彼女は努力し続けて、この国を救ってくれました。アタシはそんな彼女の信頼に応えねばなりません。それはとても誇り高いことですわ……レイラ様は寂しい方でいらっしゃるのね」
ふっとレイラは目を伏せ、紅茶に映る自分の顔を眺めた。
「わたくしはこの力で欲しいものは全て手に入れるつもりですわ。お気持ちが変わりましたら、いつでも王宮にいらしてくださいね」
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