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第二章 運命の相手候補~リアン視点~
リアン・クラーク 冷徹眼鏡
私はリアン・クラーク。
ウィロウ王立魔法学園の院生である。
読書と静寂を愛している。
ゆくゆくは宰相である父の仕事を引き継ぐことになる。
騒がしいと思ったら異邦人のマヤ・クラキが何やら叫び声を上げていた。
最初、異世界への興味から彼女から話を聞こうと思ったことがある。
知性の低い人間との会話は虫酸が走るが、どうやら彼女はこちらに来て一年で優秀な成績を修めているらしい。
だが、その約束はあっさり反故にされた。
私のことなど忘却の彼方に追いやっていたらしい。
私は品性の低い人間も好まない。
彼女が図書室を去ると再び静寂が訪れた。
目の前の虫が消えたように、私は再び本の世界へと戻っていく。