第三章 国際博覧会と恋の行方〜違和感〜
今年もハーベスト祭の時期を迎えた。私は今年もデヴィンとリアン、エヴァン、ライアン、シャーロットにお菓子と折り紙を送った。もっとお世話になった人たちに贈りたかったのだが、なかなか時間が取れず五人が精一杯だった。
「感謝を伝える行事って素敵な風習よね、オーベロン」
「そうだね、マヤ。ところでボクの分は?」
「オーベロンってお菓子食べれたの?」
「食べなくても生きていけるけど、マヤのは食べてみたいな」
私は小さな焼き菓子を焼き、そっとオーベロンに手渡した。
「どうぞ、妖精王。お納めください」
「うむ、良きに計らえ」
オーベロンが笑って私の周りを飛び、食べ始めた。
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王宮にいるライアンの元にもお菓子と花は届けられた。従僕がライアンに尋ねる。
「ライアン王子様、マヤ・クラキ様よりお届け物が届きましたが、いかがいたしましょうか」
「ああ、そろそろハーベスト祭の季節だったな。適当なところに置いておいてくれ」
ライアンは書類から目を上げることもなく、従僕に命じた。従僕はライアンの私室の机にそっとそれを置いて、ライアンの元へと戻った。
それから一週間後、エヴァンはライアンと手合わせをすることができた。剣の太刀筋、話し方、挙動、エヴァンから見て、ライアンは以前とまるで変っていないように見えた。
「十本やって、七本取られたか。流石だな、エヴァン」
「オレはこれが本職だ。守るべき王族に後れをとるわけにはいかない」
「そういえば、先日の模範演技を見学させてもらったよ。いい試合だったな」
「あの試合を?」
「ああ、レイラ嬢と一緒に……ほら、ニューイヤーパーティーで挨拶した彼女だよ」
「あのピ……レイラ様か。ライアンから見て、どう思った?」
「エヴァンは学生時代より強くなったな。魔力の使い方も戦略的だし、洗練されてる。クラキ殿が召喚しなければ、エヴァンが勝利していただろうね」
「召喚も含めての魔術武道だ。マヤは正当に戦った……ライアン、マヤについてどう思う?」
「どう思うって優秀な召喚魔術師だよ。国を救ってくれたことには感謝している」
エヴァンは不思議に思った。自分が魔法にかかっていた時は、マヤのことを考えるだけで頭痛と苛立ちで身体的、精神的に不安定になった。しかし、ライアンには全くそんな素振りは見えない。エヴァンの目から見て極めて自然体に見える。
「マヤはライアンのことをとても心配していた」
「クラキ殿が?別に心当たりはないが」
「これを預かってきている」
「これは?」
ライアンが首を傾げながら、手渡された手紙を開ける。ライアンが一読するのを待ってエヴァンが言う。
「マヤが一度会ってゆっくり話したいと。一日、時間を取ってくれないか?」
「エヴァンの頼みなら、と言いたいところだけれどちょっと考えさせてくれないか?でも、俺も話したいことがあるんだ。今日は楽しかった」
ライアンは従僕に荷物を持たせ、去っていった。
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お読みいただきありがとうございます。
本作も百話を越えました。
読者の皆様のおかげです。
引き続きよろしくお願いします。




