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幕間 王子の独り言
遠くの塔の天辺から近衛兵との演習を見ていた者がいた。
「あれが王国の英雄、救国の聖女マヤ・クラキの戦いか」
アッシャーは双眼鏡で覗き込みながら、愉快そうに笑った。
「あの近衛兵たちが面白いようにやられている。
実戦でもあれだけ戦えるのか……面白いな、あの娘は。そう思わないか?」
「……」
「そうだ、喋れないんだったな。彼女に興味が湧いてきたよ」
アッシャーは執事を呼んだ。
「便箋とペンを……それから船の用意を」
「かしこまりました」
執事は一礼して塔を去っていった。
「さて、楽しみだ」
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