第二章 運命の相手候補~リアン~
リアン 登場
それから気配を頼りに辿り着いたのは図書室だった。
「なんかこっちから気配がしたんだけどな……あ、あれは!」
窓際で静かに本を読んでいたのは院生のリアンだった。
長い黒髪を背中で一つに束ねて、眼鏡をかけた切れ長の黒い瞳を本に走らせている。
リアンに気付かれないようにまたしてもそっと好感度の評価の魔術を発動させる。
結果は真っ黒なハートが小さく浮かび上がった。
「嘘でしょ!?なんで、私、リアン先輩に何かしたっけ?!」
私はつい声に出てしまった。
静かな図書室にその声は良く響いた。リアンがこちらを向いて歩いてくる。
「ご、ごきげんよう。リアン先輩」
「君は異邦人のクラキ君だね。以前に一度、君の来た世界の話を聞かせてもらいたいと思って約束したんだが、そんな些細な事忘れてしまったようだね」
リアンの言葉は冷え冷えとしていた。
えっと私は絶句した。
そういえば、あれはテスト前のことで、忙しくしているうちに図書室から足が遠のいてしまっていた。
「その節はどうもすみませんでした……学園生活に不慣れで。本当にごめんなさい!」
「良いんだ。君が優秀な成績を修めていることは私も聞いているよ。王国を守るために頑張ってくれ」
リアンは何事も無かったかのように再び本を読み始めた。
私は顔から血が引いていくのを感じながらそっと図書室を後にした。




