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第二章 運命の相手候補~エヴァン視点~
エヴァン・ガルシア 卑屈な獣人
今日も大太刀を振るいながら、オレことエヴァンは自問自答する。
こんなことをして一体何の意味があるというのだろう。
ガルシアという武人の家に生まれたオレには武術で身を立てるしか道が無かった。
獣人のハーフであるオレは純然たる獣人の兄たちに敵わなかった。
何度泣かされ、その度に叱られたことか。
しかし、魔法の素養に恵まれたオレは王立魔法学園に入学した。
そして、得物を持ち、武術を始めてわずか一年の自分よりはるかに小柄な女子生徒に模擬戦で敗北した。
それ以来、オレは鍛錬を続けながらも卑屈な思いに囚われていた。
所詮無駄な努力なのかもしれない。
そう考えると大太刀を振るう手に力が失われてくる。
オレなど何の役にも立たないでくの坊に過ぎないのだ。