第二章 魔法をかけられて〜偽りの笑顔〜
「昨夜は徹夜なさったようですね。顔色が悪いですよ、マヤ様」
秘書のエリオットが部屋中に散乱した書類を見てそう言った。そして私を応接用のソファーに横たわらせた。
倒れこんだ私は自分のステータスの確認を行った。
HPがもうほとんど残っていなかった。
私は自身に治癒魔法をかけ、体力を回復させた。
自己管理が出来ていなかったなんて、よっぽど今回の件によるダメージは大きいようだ。
しんどい状況だが、雑務は山ほど残っている。
私は重い身体にむち打ちながら、山積された書類を片付けていくのだった。
すると、一枚の書類に目を留めた。
「これは展示品に関するものね」
各国の美術品や工業品の輸入はデヴィンの生家であるハートウィック商会が請け負ってくれている。
「よし、デヴィンに会いに行こう」
私は猛スピードで書類を片付けると、秘書に出かける旨を告げて街へ出かけていった。
ハートウィック家に向かうとデヴィンは港にいるらしい。内陸である都にはいくつもの運河が通っている。
どうやら、国際博覧会の展示品が届いたようだった。
私は馬車を走らせ、そちらに向かうよう伝えた。
港には何隻もの船が停留し、皆忙しそうに働いている。港は混雑していたが、私にはキラキラオーラの気配を感知することができた。
「デヴィン!」
デヴィンはリストと荷物の検品をしていた。
私の声でふと顔を上げる。
「おや、クラキ先輩。一体何の用事ですか?」
真剣な表情だったデヴィンは慌ててにっこりと表情を作った。その表情は学生時代、周囲に取り巻きを侍らしていた時と同じ笑顔だった。
その笑顔が胸をチクリと刺す。
「この展示品の納品の件なんだけれど、いつ頃になりそうかな?」
「ああ。これでしたら一週間以内にお届けすることができると思いますよ・・・・・・用件は以上ですか?」
「……ええ、それだけよ」
デヴィンに会いたかったからとは言えなかった。
私は無言で好感度を確認した。
小さな黒いハートがデヴィンの前に見えた。
私は踵を返してごった返した港を後にした。
デヴィンはその後ろ姿をちらりと見たとき、何かが心に引っ掛かった。
しかし、それは形になる前に次の荷物がデヴィンの元に運ばれてきた。
馬車に乗りながら私は傍らの妖精に話しかける。
「一体どうやって私たちに呪いや魔法をかけたのかな?」
「おそらく舞踏会の夜にそれぞれが接触しているはずだよ」
「誰と接触したか……駄目だわ、舞踏会だもの。
不特定多数と接触しているはず。
私もいろんな人とダンスをしたし、
四人が誰とダンスをしたかなんてわからないわ」
「呪いをかけた人物の特定はそこからは難しいね」
窓を流れる街並みを見ながら私は考える。
四人が私にとっていかに大きな存在だったかを痛感する。私は静かに目を伏せた。
堪えなければこの気持ちが込み上げて、決壊してしまいそうだった。
お読みいただきありがとうございます。
ブックマーク感謝です!
画面の向こうで感激してます…
本日も定期的に更新しますので、
よろしくお願いします。
作者名変更しました。活動報告に行きやすくなるかと思います。第二部あらすじ載せてますので、
お時間ありましたら一読下さい。




