6/201
第二章 運命の相手候補~エヴァン~
エヴァン 登場
私が次にやってきたのは道場だった。
そこでは何人かの学生が汗を流して鍛錬をしていた。
私はここでも形容しがたい気配を感じた。
見るとひとりの男子学生が先程と同じように煌めいていた。
「あれは……エヴァン君?」
赤髪に緑の目をした彫りの深い顔立ちの身長百九十センチはある大柄な少年だった。
それよりも特徴的なのはその耳と尻尾だった。
エヴァンには狼の耳と尻尾が付いていた。
一心不乱に重たそうな大太刀の素振りをしている。
私はこっそりと好感度の評価を確認する。すると……やはり黒い小さなハートが浮いていた。
「また?嘘でしょ!?」
話したことも無い相手にどうしてここまで嫌われているんだろう。
そういえばと私は自身の記憶を探る。
あれは二年になったころだった。
魔法武術の手合わせをしたことがあった。その時結果は確か……
「こてんぱんにやっつけたんだった……」
私は道場の陰で頭を抱えた。
それから頭を切り替える。
(まだ、あと二人いる!)
私はまた校内を駈けだした。