第一章 ニューイヤーパーティー~第一王子と異国の令嬢~
「これは兄上。本日は素晴らしい舞踏会のホストをおつとめ、ご苦労様です」
「堅苦しいことを無しにしよう、ライアン。こちらがレイラだ。そちらが例の?」
「こんにちは、レイラ殿。私はライアン・マーティンです。兄上、こちらがマヤ・クラキ殿です」
「どうぞお見知り置きを、アッシャー様」
「噂の聖女がこんなに美しい女性だったとは。お会いできてうれしいよ」
「わたくしもマヤ様のお名前を吟遊詩人から聞きましたわ。素晴らしいご活躍で国の大事を救ったとか。お恥ずかしながら私など特に取り柄もございませんから、マヤ様のような女性に憧れてしまいますわ。今度、ゆっくりお話聞かせて頂けますか?」
「あれはライアン様やみんなの協力があったから成し遂げられたことです。私だけの功績ではありません。お茶でしたらいつでもどうぞ。どうか面を上げてくださいな」
はいと答えたレイラはその菫色の瞳で私を見据え、手を差し出された。
「どうぞよろしくお願いいたします、マヤ様」
「ええ、こちらこそ。レイラ様」
私もその手を取った。その時ふわりと何かが頬のあたりを掠めたような気がした。
「いかがしまして?」
「いいえ。虫かしら?気のせいみたいです」
「それより、一曲お相手頂けるかな、クラキ殿」
「ええ、アッシャー様」
その横でライアンが少し名残惜しそうにこちらを見つめてきたが、すぐに振り切ったようにレイラに腕を差し出した。
「確か君は弟と同期生だったね」
「ええ、ライアン様にはいろいろお世話になりました」
「弟は学園を卒業してから変わった。いつも余裕のなさそうな様子だったのに、今ではあんなに穏やかになった」
「そうですか。流石お兄様ですね。よく見ていらっしゃいます」
「君のお陰だと思うよ」
「ライアン様ご自身のお力です。私の力など微々たるものです」
「しかし、弟も隅に置けないな。こんな美しい女性を今までひた隠しにしていたなんて。今度ディナーでも一緒にいかがかな?」
「王宮の金の薔薇と呼ばれるアッシャー様を独り占めになんてしたら、私、次の日から街を歩けませんわ」
そこで曲が終わった。アッシャーが手を離す。
「それでは良い夜を」
「良い夜を」
お読みいただきありがとうございます。
新キャラたちの活躍にご期待ください。
次回からはいつものメンバーと踊ります。




