終章
「なら、いればよい」
オーベロンは私の頬に軽くキスをすると輝きが収束した。
「へ?」
「妖精王の加護においてマヤの存在をこの世界に固定した」
「嘘でしょ!?」
(そんな簡単にできるの?というか今さりげなくキスされたような……)
「王国の神官長との契約など私から見れば蜘蛛の糸程度のものだ。
さあ、マヤ、私と共に妖精の森で幸せに暮らそう」
「それって?」
驚く私の手を取ってオーベロンは嬉しそうに微笑んだ。
「ちょっと待ってください!マヤ先輩は渡しませんよ!」
「そうだ、マヤはオレの大切な人だ」
「何を言っている、君たちは。マヤ君は私とともにあるべきだ」
そこでライアンが割って入った。
「皆さん、落ち着いて下さい。マヤ殿は私と婚約して頂きます」
「嘘でしょ!?」
目の前にライアンが跪いて私の手を取る。
「どうか、私と共にこれからの人生を生きてくれますか?」
「えっと……」
どうしたものかと思案していると、また四人は火花を散らして言い合いを始めた。
そんな様子を見ながら、私はふっと笑顔と再び涙が込み上げてきた。
生きると決めたこの世界に、私のことを大切に想ってくれる人がいること。
そして愛するこの世界を救えたこと。
私にとってこれはハッピーエンドではなく、これから新たな人生が始まるスタートラインなのだ。
「決めた!私、これからは三年間で培ったこの力をこの国のために使いたいと思います」
それだったらと四人が詰め寄る。
「ギルドで働くのはどうでしょうか?貿易や経済によって国を発展させましょう!」
「士官学校に入って司令部に所属するのはどうだ?国の防衛は国民の安寧に繋がる」
「院に進学し、政治を行うのはどうかな。国の要として君の力を存分に発揮できるよ」
「それよりも、俺と結婚して王妃となって共にこの国を治めてくれないか?」
さてと私は悩んでいるふりをしてみせた。焦ることはない。
この世界に来て私はたくさんのものを手に入れた。
夢中になって努力してきたことは決して無駄ではなかった。
それを認めてくれる人たちがここにいる。
そして、みんなのおかげで国の危機を回避することができた。
王国に平穏が訪れる。そのことを誇りに思おう。
どうやら忙しくも騒がしい明るい未来が私を待っているようだった。
この後、救国の聖女と私は呼ばれるようになる。
しかし、まだ聖女は恋を知らない。
ここまでお読みいただきありがとうござました。
皆さんの応援のおかげで、第一部完結までやってきました。
第一部魔法学園編いかがだったでしょうか?
第一部は大団円エンドでした。
鈍感なマヤはまだ恋を知らない様子です。
明日より第二部の更新を始めたいと思います。
活動報告の方で第一部の謝辞と第二部のあらすじを掲載したいと思います。
第二部ではさらにスケールの大きな物語になりますので、
引き続きよろしくお願いいたします。




