第十章 国の危機~エヴァン視点~
エヴァンは芝生の上を駈けながら思った。
厳格な武人の家庭に生まれながらも、後妻の母から、獣人としても中途半端な姿で生まれた。
獣人はえてして力も強い。自分の弱さと姿に劣等感を感じながら暮らしてきた。
魔法学園に入学できたのは幸運だった。魔法を使える武官は少ない。
オレは鍛錬を重ね、強き軍人になるための努力を欠かさなかった。
しかし、一年の終わりの手合わせで、自分よりはるかに小さく、経験も無いマヤに投げ飛ばされた。
今までの努力が全て否定された気がした。
たった一度の敗北。それでもオレの自信を無くさせるのには十分だった。
鍛錬をしていても迷いがあった。こんなことをしても無駄じゃないのか。
所詮、オレには兄たちを越えることなど無理なのじゃないか。
しかし、ひたむきに努力を重ねるマヤの存在がオレに教えてくれた。
努力は必ず力になるのだと。
すぐに実を結ばなくても、弱き自分に克己し、その時こそ真の強者になれるのだと。
オレは初めて守りたいと思う存在に出会った。
(オレが必ずお前を守る!)
オレは芝生を走り抜けた。
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エヴァン編です。
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