第十章 国の危機~デヴィン視点~
グラウンドを走りながらデヴィンは思う。
王国でも有数の商家に生まれ、その跡取りとして教育を受けてきた。
この学園に入ってからは上級階級の令嬢や同級生たちに媚を売るように、笑顔を作って顔色を窺いながら暮らしてきた。そんな日々に飽きながらも、出会ったのがマヤだった。
異邦人というものに純粋な興味と皆の興味を引くためにお茶会に誘った。
マヤはそんな僕の計画をあっさりと無に帰した。
その時は腹立ちもしたけど、ドミニク語を丁寧に教えてくれた優しさや制服で出歩いてしまうちょっとうっかりしたところから目が離せなくなった。
そしてあのレストランで僕の打算的な学生生活に疑問を呈してくれた。
あの時から僕はほんの少し自由になった。
人を利用するため、自分の容姿や財力に頼って来たけれど、マヤは身一つでこの世界にやってきて、努力によって様々なものを得てきた。
欺瞞に満ちた僕の中で唯一の真実を示してくれる人、それがマヤだった。
(何事もありませんように!)
僕は全速力で走った。
ここまでお読みいただきありがとうござます。
四人のモノローグに入ります。
残りの三人も後程アップしますので、どうぞよろしくお願いいたします。




